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プリントシール機の企画・開発・販売を手がける国内シェアNo.1メーカー※、フリュー株式会社。同社は、閉域網からオープンなネットワークへ移行したことで新たな通信セキュリティの課題に直面していた。そこで同社は、NTTドコモビジネスの「docomo business SIGN®」を採用。通信網内で不正通信を検知・遮断する「先回り型」セキュリティを軸に、全国約8,000回線規模での展開を見据え、安全性と運用性の両立を図る同社の取り組みを紹介する。
- 2025年3月時点、フリュー株式会社調べ(プリントシール機市場における自社推計)
目次
- 導入の背景・課題
- 利用サービス/
ソリューション
- 今後の展望
本事例のポイント
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未然防止型のセキュリティ体制の構築を目指す
- 課題
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- プリントシール機の通信量増加に伴い、通信そのものを狙う脅威への備えが新たな検討事項に
- 解決策
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- モバイル回線のネットワーク層で不正通信を検知・遮断する「docomo business SIGN®」を採用
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全国8,000回線規模を見据え、SIM管理の一元化を目指す
- 課題
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- 通信状況によっては画像データの提供に時間を要する場合があり、通信状態をより早期に把握することが課題となっていた
- 解決策
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- docomo business SIGN®による回線管理とAPI連携、シェアプランの活用により、全国のSIMの状態や通信容量を一元的に把握できる体制の構築に向けて取り組む
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端末に負荷をかけない「先回り型」の防御を実現
- 課題
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- 全国に多数設置される無人運用機器のため不正通信をリアルタイムに把握できず、顔写真など個人情報を扱う以上「情報漏えいやサービス停止などのセキュリティ事故が起きてからでは遅い」という強い危機感があった
- 解決策
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- 既存の端末(デバイス)側の対策に加え、通信網側に新たな防御層を追加。「先回り型」の仕組みで、多重の備えの実現に向けて取り組む
導入の背景・課題
閉域網からオープン網へ。
サービスの進化の先にあった新たな課題とは?
証明写真機とは一線を画す、独特の『盛れる・みんなで楽しめる』体験を提供してきた。プリントシール機を1997年から手がけてきたフリュー株式会社は、後発メーカーとして市場に参入しながら、現在は国内シェアNo.1の地位を築いている。主戦場である女子高生・女子大生に加え、キャラクターやアーティストとのコラボレーションやさまざまなプロモーション企画などを通じて、20代後半から30代のファン層、さらには親子連れまで、客層は着実に広がりを見せている。
その裏側でプリントシール機を支える通信のあり方は事業の成長とともに大きく姿を変えてきた。同社は2003年に撮影画像を携帯電話へ提供するサービスを開始。2010年には、NTTドコモのFOMA回線を利用した閉域網へ通信基盤を移行した。その後、スマートフォンの普及に伴って画像データの容量が増加。閉域網での対応が難しくなったことから、インターネット経由のオープンな通信環境へ切り替えた。これにより通信の柔軟性が高まる一方、新たなセキュリティ対策が必要になった。
「オープンなネットワーク環境への移行に伴い、きちんとしたセキュリティ対策を講じる必要がありました。そこで筐体の中に小さなPCを内蔵し、そこでセキュリティ対策を行ってきました」と、フリュー株式会社 ガールズ総合研究所 通信研究部 部長の加藤真一氏(以下、加藤氏)は語る。続けて、「筐体内のPCで独自のセキュリティ対策を行ってきた結果、これまで情報漏えい事故は一度も起きていません。一方で、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃が社会問題になる中、既存の対策だけで十分と言い切れるのかという問題意識が、社内で次第に大きくなっていきました」と振り返る。
「プリントシール機は全国のアミューズメント施設に設置されておりますが、全ての機器を常に店舗スタッフさまが見ることは容易ではありません。仮に不正な通信が発生しても、その場でリアルタイムに気づくのは困難な場合もあります。しかも、扱っているのはお客さまの顔写真ですから、事故が起きてしまってからでは遅いと考えていました」と加藤氏は説明する。
いわばプリントシール機のセキュリティは、従来の対策によって一定の防御を実現していた一方、未知の脅威を早期に検知する仕組みの強化が新たな課題となっていた。正面から攻めてくる敵には十分に対応できるが、忍び寄るように侵入してくる敵の気配を、いち早く察知する仕組みまでは備えていなかった。それが、この時点での立ち位置だったといえる。
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フリュー株式会社
ガールズ総合研究所
通信研究部
部長加藤 真一氏
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フリュー株式会社
広報部平野 奈央氏
施策概要(目的・対応策)
「守り」を通信網に託し、
「攻め」に集中する。
フリューが選んだ役割分担
折しも、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃が話題になる中で、セキュリティ対策を見直す必要性を感じていた加藤氏のもとに、声をかけたのがNTTドコモビジネス 関西支社ソリューション&マーケティング営業部門の多田紗也香(以下、多田)だった。NTTドコモ時代の2010年のFOMA契約以来、長年にわたりフリューの通信環境を支えてきたNTTドコモビジネスだからこそ、その課題感をいち早く汲み取れたのかもしれない。「docomo business SIGN®」は2025年12月に提供を開始したばかりの統合IoTサービスだ。
特許を取得しているのは、サイバー攻撃の脅威情報を蓄積した「脅威インテリジェンス」を活用した検知・遮断機能で、IoTデバイスと悪性サーバーとの通信をリアルタイムに検知し、管理画面上で悪性通信の内容を確認したうえで、SIM単位で通信を遮断できる仕組みだ。多田はソリューション提供開始前の段階から、その構想をフリューに紹介していたという。
加藤氏が評価したのは、モバイル回線のネットワーク側であらかじめセキュリティ機能が実装されている点だった。プリントシール機内部のPC・デバイス側の対策はすでに自社で講じている。そこに、ネットワーク側でもう一段の防御を重ねることができれば、より強固なセキュリティ対策が実現できるわけだ。「セキュリティ対策の運用負荷を抑え、本来注力すべきプリントシール機の企画・開発に専念できるようになります。我々に最適なソリューションだと判断しました」と加藤氏は選定の理由を語る。
とはいえ、導入に向けてはPoCを通じた検証が必要だった。導入に先立ち、両社はフリューの自社店舗に設置された既存機を使ってPoC(概念実証)を実施した。ところが、一部の機能が正常に動作しない問題が発生した。「まずは、原因を特定する必要がありましたので、SIMを差し替えて通信の違いを比較するなど、疑わしい箇所を一つ一つ確認しました。端末、回線、サーバーと確認範囲を広げながら切り分けた結果、従来のSIMとdocomo business SIGN®のSIMとでは通信経路が異なり、フリュー側のサーバーとの接続に影響していることが分かりました」。NTTドコモビジネス プラットフォームサービス本部 IoT&フィジカルAIサービス部の川口聰(以下、川口)は、約1カ月にわたってフリューと密にやり取りを重ねた当時をそう振り返る。
地道な切り分け作業の末、従来のSIMと新しいdocomo business SIGN®のSIMとでは通信の経路(ルート)が異なり、アドレスの付与やシーケンスといった細部での違いからフリュー側のサーバーとの通信がうまく成立していないことが判明した。「NTTドコモビジネスに状況を共有し、原因を一つ一つ切り分けながら、密に連携して対応していただきました。PoCで課題を洗い出しながら、運用フローも含めて作り込んでいったことで、ようやく実装のめどが立ちました」と加藤氏は振り返る。両社が粘り強く向き合った末に、この課題は解消された。
並行して進めたのが通信量の運用管理フローの構築だ。プリントシール機が扱う画像データは容量が大きく、1台あたりの通信量が想定を超えれば、その回線だけ速度制限がかかり画像を送りきれなくなる懸念があった。そこでフリューは、契約プランとして「定額7GBプラン」を選定。全国数千台分のデータ容量を1つのプールとしてまとめて管理できる「シェアプラン」を活用することで、特定の機体だけが通信量を使い切って速度制限にかかることを避ける運用とした。
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NTTドコモビジネス
プラットフォームサービス本部
IoT&フィジカルAIサービス部川口 聰
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NTTドコモビジネス
関西支社
ソリューション&マーケティング営業部門多田 紗也香
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NTTドコモビジネス
関西支社
ソリューション&マーケティング営業部門羽柴 更紗
利用サービス/ソリューション
「先回り型」セキュリティの発想で
さらなる安全・安心を築く
「これまで企業がIoTを活用する際には、モバイル回線を契約した上で、セキュリティ対策やデータを受け止めるクラウド環境を、それぞれ個別に用意する構成が一般的でした。しかし、お客さまにとって、それらを一つ一つ選定し、構築した後も運用・保守していく負担は決して小さくありません。docomo business SIGN®は、『接続』『セキュリティ』『クラウド活用』までを一体で提供することで、そうした負担の軽減を目指す統合IoTサービスです」と川口は説明する。
続けて、セキュリティ対策の本質的な難しさについても川口は言及する。「多くの場合、お客さまがセキュリティ被害に気づくのは被害が起きた後です。なぜなら事前に検知する仕組みの実装が難しく、異常に気づく手段がないためです」。デバイス側からクラウドまでを一気通貫で監視できれば理想的だが、それには相応の負荷とコストがかかる。フリューの場合、端末側の対策はすでに講じられていた。それでも扱うデータが非常に重要なため「念には念を入れる」ネットワーク層での多重防御という選択に至った。
多田は、docomo business SIGN®の仕組みを「先回り型セキュリティ」と表現する。通常と異なるトラフィックを検知、可視化した上で、必要があればその時点で回線を止める仕組みだ。エンターテインメントの楽しさは「安全・安心への期待」という信頼の上に成り立っている。取材中、遊園地のジェットコースターが高い安全性への信頼のもとで楽しまれているという例え話が挙がった際、フリュー株式会社 広報部の平野奈央氏(以下、平野氏)はこう応じた。「先回り型で念には念を入れて、セキュリティ対策をさらに万全にして、未知の攻撃に備えることが今回の導入の意味だと考えています」。
セキュリティ面に加え、フリューが評価したのが回線管理を一元化できる点だった。これまで、全国に設置しているプリントシール機の回線管理や利用料の確認は手作業で行われており、全体の状況を横断的に把握することが難しかった。「アミューズメント施設では、設置場所によって電波が届きにくい場合があり、プリントシール機の設置場所も店舗の奥まったところが多いので、電波が入らないこともよくあります。電波状況が一元的に見られるようになれば、ユーザーに画像が届かないという事態を防げますし、運用管理のコストや工数も抑えられると思っています」と加藤氏は話す。
そしてコスト面のメリットも大きい。「コストは、従来のSIMとほぼ変わらない水準で導入していただけたので、それも大きな決め手となりました」と加藤氏は明かす。背景にあるのが、全国数千台分のデータ容量を1つのプールとしてまとめて管理できる「シェアプラン」の存在だ。SIMごとに個別のピーク使用量を見込んで契約容量を確保する必要がなく、全体で融通し合える分、無駄なコストを抑えられる。セキュリティレベルを引き上げながら、コスト構造は大きく変えない。この両立こそが、導入を決断する最後の後押しとなった。
docomo business SIGN®が目指す世界について、NTTドコモビジネス 関西支社 ソリューション&マーケティング営業部門の羽柴更紗は、より大きな視点から位置づける。「私たちは単に機器をネットワークにつなぐだけでなく、データをいかに安全に収集、価値に変えていくかが重要になると考えています」。回線とセキュリティを土台にしながら、その先にあるデータ活用までを見据えている点が、docomo business SIGN®という統合IoTサービスの射程の広さを物語っている。
導入効果
「がっかりさせない」を、
通信の側から支える
「具体的には、2027年度から全国8,000回線規模でdocomo business SIGN®を搭載したプリントシール機を展開します。2027年発売の新機種を皮切りに、5年をかけて全機種へと順次展開していく計画です」と平野氏は語る。設置された機種ごとに紐づく通信サービスの保守期間は5年で設定されており、その期限に合わせて古い機種から順次、新しい同サービス対応機へと切り替わっていくことになる。
docomo business SIGN®の導入によってフリューが期待するのは、セキュリティ面の安心だけではない。これまで通信状況によっては、画像データの提供に時間を要する場合があった。「回線を一元的に管理することで、お問い合わせを受けてから動くのではなく、通信状況の変化を事前に把握し、先回りして対応できる体制をつくりたいと考えています」と加藤氏は語る。
運用工数そのものの削減も見込まれている。全国のプリントシール機の通信状態をdocomo business SIGN®が提供するAPIを通じて一元管理できるようになることで、これまで手作業に頼っていた確認作業を効率化できる見通しだ。加えて、SIMの簡易位置情報もdocomo business SIGN®のサービス内で取得できるようになった。GPSのような精密な位置特定ではなく、SIMがどの基地局エリアにあるかが分かる程度のものだが、「この機械はどの店舗にあるか」を運営担当者が設置場所を把握する手がかりとして活用される見込みだ。
今後の展望
セキュリティをゴールではなく、
次の挑戦への土台に
将来的には、全国8,000回線規模から得られるデータをトラブル対応の高度化にも活用していく構想だ。「通信トラブルは、ある日突然起きるというより、その前に『なんとなくおかしい』という予兆が現れ、不通状態に至ることが少なくありません。将来的には全国の回線から得られるデータをAIで分析、異常の兆候をいち早く捉えて対応できる仕組みに発展させたいと考えています」と加藤氏は展望を語る。
この構想と自社のビジョンの重なりを川口は語る。「我々はdocomo business SIGN®をAI-Centric ICTプラットフォーム構想の『NaaS(Network as a Service)』領域を担う中核サービスに位置づけています。今後は、工場や設備、車両、ロボットなど、あらゆるモノがネットワークにつながり、そのデータが新たな価値を生み出す時代になります。docomo business SIGN®は、そうしたデータを安心・安全につなぐ基盤として、企業の事業変革と新たな価値創出を支える役割を担っていきたいと考えています」。
NTTドコモビジネスとの関係も、「守り」だけにとどめるつもりはない。加藤氏は「今回はセキュリティ強化という『守り』の面をご提案いただいたので、今後は『攻め』の面のサービス検討を一緒にできたらいいなと考えています」と要望を語る。続けて平野氏も「お客さまに新しい驚きや喜びを提供できる取り組みをNTTドコモビジネスと一緒に進められたら、ともに成長していけるのではと期待しています」と続ける。
これに応じるように、多田も語る。「これまで5G通信やAI顔認証、メタバースといった技術やトレンドを取り入れたプリントシール機をフリューと開発し、実証実験を重ねてきました。今後、サービスやビジネスの創出など「攻め」の面でも新しい技術を活かしたご提案をし、フリュー様のさらなる事業成長に貢献していきたいと考えています」。技術トレンドとプリントシール機を掛け合わせてきた実証実験の歴史を踏まえ、両社の協業は次のフェーズへと進もうとしている。
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フリュー株式会社
2007年設立。「人々のこころを豊かで幸せにする良質なエンタテインメントを創出する!」を企業理念に掲げる総合エンタテインメント企業。プリントシール機やクレーンゲーム景品、キャラクターグッズ、ゲーム、アニメなど、多彩な商品・サービスを展開している。