株式会社村田製作所
サブスクリプションビジネスの基盤としてSaaSを採用
業務プロセスの確立とビジネスの立ち上げを迅速に実現
株式会社村田製作所
技術・事業開発本部 技術企画・新規事業推進統括部
デジタルイノベーション推進部 推進2課
シニアスペシャリスト
岸下 慎吾氏
「AIRSualではSubsphereを活用することで迅速にビジネスを立ち上げることができました」
株式会社村田製作所
企画管理本部 情報システム統括部
デジタル推進部 デジタルプラットフォーム課
シニアスペシャリスト
木村 純子氏
「Subsphereはサービスとしてのバランスがよく、弊社が求める機能が網羅されていました」
株式会社村田製作所
営業本部 日本営業統括部
企画管理部 販売企画課
稲林 義敬氏
「Subsphereのインターフェイスはわかりやすく、一度の説明だけで操作方法を把握できました」
課題
新規ビジネスに対応する業務プロセスがなく
新たな事業を迅速に立ち上げるのが困難
株式会社村田製作所(以下、村田製作所)は、最先端の材料について研究開発を進める高い技術力に加え、広範囲な製品ラインナップとグローバルな生産・販売ネットワークを強みにビジネスを成長させている総合電子部品メーカーである。
現在、同社は従来の「コンポーネントビジネス」や「用途特化型ビジネス」に続く“3枚目のポートフォリオ”として、ソフトウェアやサービスまで含めて提供する「ソリューションビジネス」に取り組んでいる。
その具体的なサービスの1つである「AIRSual(エアジュアル)」は、CO2濃度などの空間情報をリアルタイムに可視化し、適切な換気や「3密」回避を促すことで新型コロナウイルスの感染症予防対策が行えるソリューションだ。村田製作所でAIRSualを担当する岸下慎吾氏は「AIRSualは現時点での空間情報を可視化できるだけでなく、次に換気が必要になるまでの時間を予測する機能があるため、計画的に換気を行うことができます」と解説する。
AIRSualをはじめ、村田製作所ではソリューションビジネスを実現するためのプロジェクトがいくつも立ち上げられている。しかしながらそこで問題となっていたのは、ソリューションビジネスに対応できる業務プロセスが社内に存在しないことだった。
今回のプロジェクトでシステム面を担当した木村純子氏は「ソリューションビジネスのような“コト売り”に対応できる業務プロセスがなかったため、事業立ち上げのたびにプロセスを検討していました。そのため、ビジネスの立ち上げに非常に時間がかかることが課題となっていました」と振り返った。
“モノ売り”と“コト売り”では、注文管理や契約管理、請求管理などといった業務の内容が大きく異なる。このため、モノ売りのために整備された既存の業務プロセスをそのままコト売りに適用することは難しく、別途プロセスを検討する必要があった。これが迅速なビジネス展開の阻害要因となっていたのである。
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対策
新たなサービスに対応できるシステムを模索
必要な機能を網羅したSaaSの導入を決意
AIRSualのビジネスに適した業務プロセスがなかったことに加え、既存のシステムは部品の製造・販売に特化したものであったため、新たなビジネスを既存システムで処理することが困難なことも課題だった。そこで村田製作所では、ソリューションビジネスに特化したシステムの導入を模索する。
このシステムについて、当初はスクラッチで開発することも検討されたが、多額のコストが発生する上、開発には相応の時間が必要になることから、SaaSの導入が検討されることになった。
このような経緯から、いくつかのSaaSについて比較検討が行われた。その際、特に重要視されたのは、必要な機能が網羅されているか、コストと納期が適切かといった点である。その結果、最終的に選ばれたのはNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)の「Subsphere(サブスフィア)」だった。
Subsphereを選定した理由について、木村氏は次のように語る。「Subsphereは弊社が求める機能を網羅していました。たとえば外部サービスと組み合わせるといったとき、Subsphereには必要な機能があらかじめ組み込まれており、リーズナブルな価格で提供されているため、スモールスタートで事業を始めたいと考えている我々にとって導入しやすいというメリットもありました」
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効果
SaaSをベースに短期間で業務プロセスを確立
迅速な新規ビジネスの立ち上げも実現
2021年1月、AIRSualのビジネスでSubsphereを利用するための検討がスタートした。まず行われたのは業務設計であり、Subsphereを使った業務プロセスの検討が行われた。この作業について、AIRSualの営業面を取りまとめる稲林義敬氏は「業務プロセスの構築はそれほど困難ではありませんでした。Subsphereにもともと備わっている標準的な業務フローにもとづいて設計すればよかったため、効率的な業務プロセスを短期間で仕上げることができました」と述べる。
このタイミングで、Subsphereを実際に利用する営業チームへのレクチャーも行われている。その業務を担当した稲林氏は、Subsphereについて「非常に使いやすいツール」だと評価した。「Subsphereのインターフェイスはわかりやすく、一度説明を受けただけで操作方法を把握することができました。ほかのセールス担当者も同様で、私から使い方を説明したところ、すぐに使いこなせるようになっています。このあたりは、Subsphereを選んでよかったと感じる部分です」
Subsphereの導入効果として、迅速なビジネスの立ち上げを実現できたことが挙げられる話すのは岸下氏である。「ソリューションビジネスはスピード感が求められるため、システムを含めてすべて内製することにこだわるのではなく、製造業にとって不得意な領域は外部にアウトソースし、得意領域にフォーカスするといった考え方が必要です。実際、AIRSualではSubsphereを活用することで迅速にビジネスを立ち上げることができました」
最後に木村氏は「今後はAIRSual以外のソリューションビジネスに対し、Subsphereとそれに紐付く業務プロセスを適用するための枠組みを構築していこうと考えています」と述べた。
「ソリューションビジネス」を“3枚目のポートフォリオ”にするべく、ビジネスの創出を進めている村田製作所にとって、Subsphereは今後欠かせないツールとなるのではないだろうか。
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株式会社村田製作所
事業概要
1950年設立(1944年創業)。セラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカー。独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献している。
URL
https://www.murata.com/ja-jp
(PDF形式/340KB)
(掲載内容は2021年9月現在のものです)
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