パナソニック株式会社 空質空調社
多店舗・多拠点の業務用空調機の省エネ問題を一挙に解決
新たなIoTサービス展開を安定した通信と
SIMアプレットを活用した追加機能実装で加速
パナソニック株式会社 空質空調社
ソリューション事業開発センター
HVAC CLOUDサービスプロダクトマネージャ
岡崎芳紀氏
「必要十分な機能を適正なコストで利用できるIoT回線は、我々のサービスに非常にマッチしていると思います。今後も必要に応じた新機能実装の提案もお願いしたいです」
パナソニック株式会社 空質空調社
カスタマーサクセス部
プロフェッショナルサービス企画課 課長
大井陽氏
「本SIM導入後大きな通信トラブルは起こっておらず、お客さまにご迷惑をかけるようなことはありません。最も重視している通信の安定性が担保できていることに満足しています」
パナソニック株式会社 空質空調社
サービス開発・運用部
先行開発課 課長
木幡雅貴氏
「提案段階から、我々の懸念事項に対して解決策を一緒に考えて実行に移すスピード感は頼もしいです。現在の継続的なサポート対応にも感謝しています」
課題
通信品質を底上げしコストと管理工数を抑えたい
業務用空調向けIoTサービスのネットワーク刷新へ
パナソニック株式会社 空質空調社は「空気から、未来を変える。」をスローガンに、100年を超える空気の研究に水のテクノロジーを組み合わせた幅広い環境ソリューションを展開している。現在、同社では環境テクノロジー革新と継続的な顧客接点強化により、従来のハードウェア販売から「設備・ソリューションプロバイダー」への転換を目指している。このビジネスモデル転換の核となるのが「Panasonic HVAC CLOUD(パナソニック ヒーバック クラウド)」だ。空調機から得られるデータを転送し、リアルタイム分析による運転状況・運転効率の見える化や、遠隔監視を行うことで省エネを実現する業務用空調向けIoTサービスとなっている。
「エアコンの設定温度を変更して消費電力を抑える一般的な省エネ対策は、しばしば建物内の人々の快適性が犠牲になります。Panasonic HVAC CLOUDは、各建物の環境やユーザー行動の情報をもとに個別にAIで温度設定を行い、消費電力の削減と快適性の2軸で省エネを実現するサービスです。メインターゲットは、全国に店舗や拠点を展開するお客さまです。こうしたお客さまは本部などで空調機を集中管理しているのですが、通例、本業に集中したいので出来るだけ空調機に時間を割きたくないと考えているものです。こうした課題を解決するのが、簡単に導入できて管理工数の削減や省エネ効果の見える化を実現する我々のサービスです」と、同社の岡崎芳紀氏(以下、岡崎氏)は解説する。
Panasonic HVAC CLOUDを展開する上で、ネットワーク環境は不可欠な要素だ。サービス提供当初、同社では他社のIoT回線を利用していたが、いくつかの課題を抱えていた。
「さらなるサービス拡大のためには、従来のネットワーク環境を見直す必要があると考えていました。求めていた条件としては、日本全国どこでも確実につながるカバーエリアの広さと回線トラブルの頻度が低いこと、そして多店舗・多拠点展開のお客さまのご負担を抑えるコスト削減もポイントでした」(岡崎氏)
「とりわけ、回線トラブルの頻度が低いこと、つまり通信の安定性を重視しました。Panasonic HVAC CLOUDには24時間営業の店舗を展開するお客さまもいらっしゃいますので、夜間に通信が切れて空調管理ができなくなり、対応が遅れてしまうと、お客さまのビジネスに影響を与えてしまいます」と、同社の大井陽氏(以下、大井氏)は語る。
たとえば、1,000店舗で各店舗10台の空調機があれば1万台がつながることになる。このような規模でのネットワーク運用には単に“つながる”だけではなく、高度な監視・管理機能が求められていた。
対策
サービスを軸にした高いサポート力でパートナーを選定
SIMにアプレットとして各種機能を実装することで管理工数を抑制
新たなIoT回線サービスの選定に当たり、同社では複数のキャリア、ベンダーの比較検討をスタートした。サービス内容の比較だけではなく、自社のビジネスに寄り添い、素早く適切な対応ができるサポート力も考慮し、最終的にNTTドコモビジネスをパートナーに選定。同社のSIMに対応した、IoT向けモバイルデータ通信サービス「IoT Connect Mobile® Type S」の導入を決断した。このサービスは端末の仕様、セキュリティレベル、利用目的といった要望に合わせて柔軟にプランが選べるという特長がある。
「当初、我々がIoT通信に求めていた条件をクリアできることに加え、NTTドコモビジネスさまの伴走型の的確なサポート力も大きかったです。こちらの懸念事項だった通信監視機能をSIMのアプレットとして実装できたことは大きな収穫でした」と、同社の木幡雅貴氏(以下、木幡氏)は、NTTドコモビジネスの高い課題解決力を評価する。通信状態監視機能の実装により、遮蔽物やアンテナの位置といった建物による通信状態や電波強度の差異から、つながりにくいところを自動で検出することで、設置場所の最適化や施工手順の改善が可能になった。
さらにアプレット領域を活用したSIMには簡易位置情報提供機能も実装され、Panasonic HVAC CLOUDが接続される数千台規模の業務用空調機を日本地図上にマッピングすることも可能になった。これらSIM内のアプレットによって得られたデータは、同時に導入されたIoTデバイス運用支援サービス「IoT Connect Gateway」のポータル上で容易に確認できる。それにより、「サービスを提供する管理工数を抑えられる」と、木幡氏は指摘する。
NTTドコモビジネスでは、並行してPanasonic HVAC CLOUDで使用予定のルーターを使った検証も実施し、問題なくつながることを確認した上で「IoT Connect Mobile® Type S」の実装は完了した。
効果
SIM起因の通信トラブルゼロ記録を更新中
安定した通信とコスト最適化でサービス拡販を後押し
「IoT Connect Mobile® Type S」の導入により、Panasonic HVAC CLOUDのネットワーク環境は改善され、導入後SIMが原因の通信トラブルは発生していない。「SIMが原因で通信が途切れることはなくなりました。ルーターの電源が切られているといった別の原因で通信ができなくなることもありますが、現時点での通信品質に関してはかなり満足しています。また、コストに関してもかなり抑えられており、多店舗・多拠点のお客さまにサービスを提供しやすい料金設定を実現できています」(岡崎氏)
さらにSIMにアプレットとして実装された通信監視などの各機能により、設置場所の最適化や施工品質の向上にも貢献。電波の弱いエリアでの対策検討や、屋内設置時の最適解を見つける作業が格段に効率化されているという。「現在、SIMの管理をさらに効率化するために管理コンソールにお客さまに関連するメモが書けて、検索やソートができる機能の実装を依頼しています。サービス導入後の改善に向けた継続的なサポートにも感謝しています。実装されれば管理がより効率化できるのではないでしょうか」(木幡氏)
「お客さまに対してのサポート対応が早くて、助かっています。もちろん我々の要望に対しても迅速に判断し、的確な対策をご提案いただけています。2025年5月の時点でPanasonic HVAC CLOUDは日本全国で約1,200拠点の業務用空調機に導入され、現在も利用者は順調に伸び続けています」と大井氏が語るように、NTTドコモビジネスとの継続的なパートナーシップがPanasonic HVAC CLOUDの導入拡大にも貢献しているようだ。
今後、同社ではPanasonic HVAC CLOUDのグローバル展開も視野に入れている。「グローバル展開においては、現地ニーズを見極めた上でのサービス展開が必須だと思っています。その上でSIMの確保はもとより、現地でのベンダー探しなどのさまざまな準備が必要です。グローバルでの豊富な経験や実績を持つNTTドコモビジネスさまの手厚いサポートに期待しています」(岡崎氏)
導入サービス
多彩なプランや接続機能から選べるIoT向けモバイルデータ通信サービス。容量シェア・テストモードなどのオプション機能も充実。
NTTドコモビジネス独自のアプレット領域分割技術を活用しアプレット領域にお客さま独自のプログラムを実装することができるSIM。IoT Connect Mobile® Type Sの付加機能として提供。
デバイス負荷、セキュアな接続、設定変更の手間などIoTによるデータ収集の悩みにこたえる便利な機能を揃えるサービス。
パナソニック株式会社 空質空調社
事業概要
「空気から、未来を変える。」をスローガンに、空調・環境技術のグローバルリーダーとして事業を展開。現在、従来のハードウェア販売からIoT通信を活用したソリューションプロバイダーへの転換を図っている
URL
https://panasonic.co.jp/hvac/corp/
(PDF形式/437 KB)
(掲載内容は2025年11月現在のものです)
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