NTT docomo Business Watch

DXの課題を解決するヒントをお届け

NTT docomo Business WatchはNTTドコモビジネスが運営しています。

  • NTT docomo Business Watch
  • GoogleドライブにAI搭載!新搭載のランサムウェア検出とファイル復元機能を解説

GoogleドライブにAI搭載!
新搭載のランサムウェア検出とファイル復元機能を解説

GoogleドライブにAI搭載!新搭載のランサムウェア検出とファイル復元機能を解説

ランサムウェアによる企業被害が止まりません。データを暗号化し、復元の代価として金銭を要求するこの攻撃は、業務停止や巨額の復旧費用を招き、事業継続に深刻な影響を与えています。2025年には大手飲料メーカーや通販サイトでシステム障害が発生し、受注・出荷業務が停止する事態に。警察庁の調査では、被害件数は高水準で推移し、復旧費用が1,000万円以上に達する企業も増加中です。こうした脅威に対抗するため、GoogleはAIを活用した新機能をGoogleドライブに搭載。未知のランサムウェアにも対応し、暗号化されたファイルを簡単に復元できるこの機能は、企業のセキュリティ対策にどのような選択肢を提供できるのか、分かりやすく解説します。

目次

あの企業のシステム障害は
ランサムウェアが原因だった

データを暗号化して使用できない状態にしたうえ、復元の対価として金銭を要求する不正プログラム「ランサムウェア」の被害が拡大しています。

たとえば2025年9月には、大手飲料会社でランサムウェアによるサイバー攻撃の被害によるシステム障害が発生し、同社の国内グループ会社の受注・出荷業務やコールセンター業務が停止する事態に追い込まれました。一部報道では、この飲料会社に対する攻撃は、国際的なハッカー集団によって実行されたともいわれています。

さらに2025年10月には、大手通販サイトでもシステム障害が発生し、受注・出荷業務が停止しました。このトラブルの原因もランサムウェアの感染であることが明らかになっています。

警察庁サイバー警察局が2025年9月に発表した「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」という資料によると、2025年上半期のランサムウェアの被害件数は116件で、データを暗号化せずに対価を要求する「ノーウェアランサム」の被害件数8件も含めると、合計124件も発生しています。ランサムウェアとノーウェアランサムの合計被害件数は、2024年下半期は116件、同年上半期は128件、2023年下半期は115件、同年上半期は112件と、高水準で推移しています。

ランサムウェアの被害報告件数の推移。警察庁サイバー警察局「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」8ページ目を元に一部編集部で変更
ランサムウェアの被害報告件数の推移。
警察庁サイバー警察局「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」8ページ目を元に一部編集部で変更

同資料では、ランサムウェアの被害による調査・復旧費用が高額化している点も指摘されており、調査・復旧に要した費用が1,000万円以上の組織の割合は、2024年調査の50%から、2025年調査では59%に増加したとしています。ランサムウェアの被害を受ける企業の数は高止まりしており、さらにいえば被害額も増加しているという、企業にとって歓迎できない状態が続いています。

ランサムウェア被害からの復旧期間と費用の関係性。警察庁サイバー警察局「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」15ページ目より引用
ランサムウェア被害からの復旧期間と費用の関係性。
警察庁サイバー警察局「サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」15ページ目より引用

AIが未知のランサムウェアにも対応。
Googleドライブの新機能とは

こうしたランサムウェアの被害に対抗すべく、大手IT企業のGoogleは新たな取り組みをスタートしています。

同社は10月1日、同社が展開するクラウドストレージサービス「Googleドライブ」のパソコン版に、ランサムウェアの拡散を防止し、ファイルを容易に復元する、新たなAI機能を搭載したと発表しました

この新機能はパソコン版のGoogleドライブに追加されたもので、ランサムウェア攻撃を示唆する異常なアクティビティをAIが検知した場合、ランサムウェアによって改変・暗号化されたファイルの同期を自動的に一時停止することで、ドライブ内にランサムウェアが入り込むのを防ぎ、組織全体のデータ破損も抑え、業務の中断を防ぐ仕組みとなっています。

GoogleではAIのこうした働きにより、ランサムウェアが重要なファイルの悪用を防ぎ、ランサムウェアの力を発揮することを阻止するとしています。

ランサムウェアを検知するAIについて、Googleでは「数百万ものランサムウェアのサンプルでトレーニングした専用のAIモデル」を構築したとしており、ファイルが悪意をもって改変された兆候を検知できるとしています。加えて、ファイルやURLがマルウェアの脅威を含んでいるかどうかをチェックする同社のサイト「VirusTotal」から得た新しい脅威情報を取り込むことで、未知のランサムウェアにも適応するとしています。

パソコン版Googleドライブがデバイス上でランサムウェアを検出した際に表示される画面。Google Workspaceのサイトより引用
パソコン版Googleドライブがデバイス上でランサムウェアを検出した際に表示される画面。
Google Workspaceのサイトより引用

暗号化されたファイルの復元もできる

このGoogleドライブの新機能では、何者かによって改変・暗号化されたファイルの復元機能も備えています。

ランサムウェア攻撃によって悪影響を受けたファイルが検出された際、Googleドライブは当該ファイルの同期を止めたうえで、ユーザーに向けてメールとアラートを発信し、ファイルの復元方法をガイドします。ユーザーはそのガイドに従って操作することで、数クリックで複数のファイルをかつての健全な状態に復元できるといいます。

この新機能はすでにGoogleのビジネスプラン「Google Workspace」にて、オープンベータ版として提供を開始されており、追加費用なしで利用が可能です。

Googleは本機能を追加した背景として、ランサムウェアはIT部門だけでなく、製造業や小売店、病院のような事業にまで破壊的な影響を及ぼしている点を挙げており、Googleドライブの新機能が、ランサムウェア攻撃による事業停止を防ぐことに役立つと述べています。

ランサムウェアは多くの企業や組織にとって脅威的な存在ではありますが、事前に対策を打つことで、その被害を緩和することも可能です。今回紹介したGoogleドライブの新機能のような対抗手段を用意しておくことが、被害を回避するための近道といえるでしょう。

あわせて読みたい記事

NTTドコモビジネスがお届けする
メールマガジン(無料)のご案内

  • コラム

    最新のサービス情報や
    ソリューションのご紹介

  • サービス導入事例

    他社の課題解決事例や
    ベストプラクティス

  • セミナー・イベント

    旬なテーマが詳しくわかる
    企画をご案内

\ご登録は1分で完了/

NTTドコモビジネスでは、法人向けインターネットやスマホをはじめ、
中堅・中小企業のお客さまに役立つサービスを多数ご用意しています

検索