IT用語集

PoC(Proof of Concept:概念実証)とは

新たなアイデアやコンセプトの実現可能性、得られる効果などを検証すること。

PoCとは概念検証、試作開発に入る前段階の検証プロセスです。PoCによって実現可能性が高く、期待通りの効果が見込めた段階で、試作開発などの実プロジェクトを始動するのが一般的です。似た言葉に実証実験がありますが、明確な違いはありません。PoCは技術・概念・アイデアの検証をする手法で、実証実験は実際の商品・プロダクトの検証をする手法になります。

PoCにはいくつかのメリットがあります。たとえば新規性の高いビジネスを立ち上げる、あるいは革新的な技術を利用するといったとき、本当にそれが実現できるのか、それによって効果が得られるのかを机上の議論のみで判断するのは困難です。そこで実際に小規模で試作や実装を行い、できあがったものを用いて検証すれば開発リスクを抑えられます。さらに早い段階で必要な知見を得られるため、無駄なコストの発生を最小限に抑えて開発を進められます。新規事業の実現可能性や、見通しの数値的根拠を持って説明できるため、経営層などの周囲を説得しやすくなるメリットもあります。

PoCに取り組むにあたっては注意も必要です。簡易的な検証ができるのは便利ですが、幾度も検証を繰り返すだけで先に進まない、コストだけが消費される事態を招くこともあります。とくにAI、IoTといった新しい技術を用いたサービス、ソリューション、製品の開発時にはPoCで検証を始めたものの、現場と意思決定を行う経営層やシステム開発者との認識のズレが生じることがあります。PoCを繰り返しているうちに、プロジェクトのゴールがあいまいになり、いつまでも開発フェーズに進むことなく、コストと時間だけがかかってしまうおそれがあります。このような状態を「PoC疲れ」「PoC貧乏」といいます。

PoC疲れ、PoC貧乏にならない、3つのポイントとして、取り掛かる前に目指すべきゴールを決めておくことが重要です。PoCを通して得たい結果や必要なデータなどを明確にしておく必要があります。続いて、明確なゴールを設定したら、次は小規模な施策や実装を行う検証に入りますが、ここで機能をあれこれ盛り込むのではなく、ゴールとして定めた仮説を検証できる必要最低限の機能を開発することも重要です。検証後の評価では、PoC実施前には気づかなかった課題を洗い出します。評価をもとにPDCAを回して、サービスや製品の価値の中心をどこに置くのか決めていきましょう。PoCに失敗の概念はありません。期待した結果が出なくても次の方策を考える糧となり、すべての結果が次に反映できるのです。

「PoC(Proof of Concept:概念実証)」概要説明図

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