文書作成をローカルで行うことの問題点
あらゆる業務で文書作成は欠かすことができず、多くの企業はパッケージ版の文書作成ソフトを主に利用してきました。しかし、そこでは下記のような課題が顕在化しています。
1点目はコストの問題です。パッケージ版の文書作成ソフトは買い切りとなるため、特に大規模なユーザーに一斉導入する場合、初期費用が重い負担となります。同様に製品のバージョンアップ時も基本的に買い替えとなるため多額のコストが発生します。
2点目は利用面での制約です。通常、文書作成ソフトをインストールできる端末台数は1ライセンスあたり1~2台に制限されるため、オフィスや自宅、移動中など働く場所に応じて端末を使い分けるといった利用には適しません。
3点目として文書そのものの活用も不便です。作成した文書は各ユーザーのパソコンの内蔵ディスクに保存されるため、たとえば作成途中の文書を自宅のパソコンで編集したい、あるいは他者と共有したいといった場合、メールの添付ファイルやUSBメモリで受け渡すなど、煩雑な手間をかけなければなりません。また、この過程で文書のコピーがどんどん増殖していくため、どれが最新なのか世代管理も困難になります。
文書作成をクラウド化するメリット
クラウド版の文書作成ソフトを活用することで、上記の課題を解決することができます。
1点目のコストについて、クラウド型の文書作成ソフトはサブスクリプション型のライセンスを採用しているため、プランに応じた月額課金で利用することが可能となります。これにより初期費用を抑えるほか、資産管理の負担も軽減することができます。
加えてバージョンアップもクラウド事業者の側で行われるため、ソフトを買い替えることなく、常に最新の機能を利用することができます。
2点目の利用面についても、クラウド型の文書作成ソフトは端末の自由度が大幅に向上し、場所に応じた使い分けが可能となります。
そして3点目の文書の活用もスムーズになります。クラウド型の文書作成ソフトはクラウドストレージとセットで利用するのが一般的であり、違った場所からどの端末を使っても、目的の文書にアクセスし、スムーズに作業を継続することができます。同様に他者との文書の共有も簡単に行うことができます。
Google Workspace の文書作成
Google が提供しているグループウェアの Google Workspace では、Google ドキュメントという文書作成機能が用意されています。
Google ドキュメント はブラウザ上で動作するため、Google アカウントさえあれば、端末にアプリケーションをインストールする必要はありません。加えて作成した文書もクラウド上に保存されます。したがって端末に依存することなく、インターネットに接続できる環境があれば、どこでも文書の作成や編集を行うことができます。WindowsやMacなど、OSの種類も関係ありません。特に Chrome ブラウザを利用する場合は、オフライン機能によりインターネットに接続されていない状態でも作業を継続することができます。※管理者の設定が必要です。
また、Google ドキュメントは、スマートフォンやタブレット上でも利用することが可能です。この場合、ブラウザではなく専用アプリを利用します。スマートフォンの小さな画面では本格的な文書の作成や編集は少々手間ですが、移動中に文書を確認したり、部分的に修正したりといった用途には十分に対応できます。
さらに作成した文書を同僚と共有することも容易です。文書やフォルダごとにアクセスできる同僚を指定できるのです。具体的には、文書ごとに共同編集者、閲覧者、閲覧者(コメント可)といった権限を付与して公開することが可能です。
Microsoft 365の文書作成
マイクロソフトが提供しているグループウェアのMicrosoft 365では、文書作成機能としてパッケージ版でも広く使われているWordが用意されています。機能も使い勝手もパッケージ版とほぼ同じですので、これまでローカルでWordを利用してきた企業も、違和感なくスムーズに移行できるのではないでしょうか。
もちろん初期費用はかからず、プランに応じた月額費用で利用することができます。
ブラウザ用のWordも用意されていますが、パッケージ版と同様に端末にソフトウェアをインストールできることがMicrosoft
365のWordの大きな特徴となっています。これによりWordの機能をフルに活用できるのです。ソフトウェアのアップデートもクラウド側で自動的に行われるため、ユーザーは常に最新状態のExcelを利用することができます。
なお、ソフトウェアをインストールする場合も、1ライセンスあたりパソコン、スマートフォン、タブレットのそれぞれ各5台までと十分な余裕があるため、オフィスや自宅、移動中などで最適な端末を使い分けることができます。
さらに作成した文書を保存するフォルダを、同じMicrosoft 365から提供されているクラウドストレージのOneDriveと連携させることができます。新たに作成した文書や編集した内容は、即座に同期してOneDriveに反映されるため、オフィスで途中まで行った作業を、自宅や移動先で別の端末を使って続行できます。さらにOneDrive上の計算シートを任意のユーザーに公開すれば、共同編集を行うことも可能です。
まとめ
文書作成ソフトをクラウド版に移行することで、月額課金で利用することが可能となり初期費用を抑えられる、常に最新状態にアップデートされるなど、さまざまなメリットを得ることができます。
そして何より大きいのは、文書の活用度が大幅に高まることではないでしょうか。冒頭でも述べたように文書作成はあらゆる業務にとっての基本であり、さまざまなナレッジが集約されています。クラウド化によって、そうした文書のより柔軟な活用やチームでの共有を促進することで、業務そのものを変革することができます。