なぜ今「スマホ通信費の見直し」が必要なのか?
スマホが業務用途としてさまざまな使われ方をするようになったことで、企業のニーズに応じた新たなプランが続々と登場しています。しかし、契約内容は導入当初から据え置きという企業が少なくありません。
よくあるのが、「とりあえず大容量プランにしておけば安心」という考えで契約したものの、実際には容量の大部分が使われていない、通話が多い部署なのに通話定額がついていないといったケースです。
通信費のほか、端末費やMDM(モバイルデバイス管理)などスマホまわりの固定費もコスト増に拍車をかけます。固定費は毎月発生するため、わずかな見直しでも年間を通じて節約効果をもたらします。
このようなスマホ料金は、使い方と契約内容を見直せばすぐに改善できることが多く、「やらなければもったいない」のが実情です。
スマホ費用削減の改善ステップ
今のスマホ料金が適切かどうか、以下の5つのステップで確認してみてください。
ステップ1:通信量を可視化して「無駄」を見つける
まずは、現状の通信量を確認します。iPhoneなら「設定>モバイル通信>使用状況」で、Androidなら「設定>ネットワークとインターネット>インターネット>設定アイコン」で使用量を確認してください。
※操作手順は機種やバージョン、契約内容によって異なる場合があります。
「月20GB契約しているのに、実際には3GBしか使っていない」といった事実が見つかることも往々にしてあります。業務でそれほど通信量を使わなかったり、出先の場合でもWi-Fi環境で通信量を節約できたりする場合があるためです。
ポイントとして、毎月特定の日を「通信量チェック日」に指定することをおすすめします。たとえば、月末に各従業員にチェックしてもらい、管理者に報告するルールにしておくことで定着しやすくなります。
データ使用量の少ない契約に変更するだけで、1回線あたり1,000円以上のコスト削減につながるケースもあります。10回線契約している企業であれば、それだけで月1万円の節約を期待できます。
ステップ2:プランを「使い方に合わせて」最適化
全従業員を同じプランにする必要はありません。それぞれの使い方に応じて最適なプランを選ぶことで、全社のコストを削減できます。
データをほとんど使わない従業員には従量課金プランが適しています。基本料金を抑えつつ、使った分だけ料金を支払うため、無駄がありません。一方、通話が多い人には通話定額付きプランが効果的です。
使い方の傾向を個別に把握することが難しければ、部署や職種別にまとめて「通話重視/データ重視」を整理しても構いません。例えば、営業部門は通話料が安くなるプランを選び、事務部門はデータ容量の多いプランを選ぶといった具合です。
ステップ3:Wi-Fi接続の自動化で通信容量を節約
オフィスなどではWi-Fi環境下での自動接続を徹底することで、通信量を削減できます。見落とされがちなのが、Wi-Fi接続の設定が不完全で、実際にはモバイルデータ通信を使っている場合です。
管理者が一括でWi-Fi設定を配布できるMDMを活用すれば、誰もまちがえることなく設定できます。従業員一人ひとりに説明する手間や、手動で設定してもらう手間も省けます。
ステップ4:端末は購入かリースか
端末の調達方法も、コスト削減において重要なポイントです。一括購入かリースかは、企業ごとの方針や使用状況によって最適解が異なります。
- 一括購入が向いている企業:長期間(3〜4年以上)使用する予定があり、社内で端末の再利用・管理ができる体制がある場合です。故障時の対応や設定変更を社内でできる企業にも適しています。初期投資は大きくなりますが、長期的には総コストを抑えられる場合が多いです。
- リースが向いている企業:最新端末を数年サイクルで入れ替えたい場合や、故障時の対応をリース会社にアウトソースしたい場合です。端末の在庫管理や買い替えの負担を減らしたい企業にも適しています。配送や営業などスマホが欠かせず「壊れたらすぐ交換」が必要な業務では、リースのほうがトラブル時のリスクを軽減することが可能です。ビジネスマホパックをご契約の場合、お申し込みから通常2日以内に代替機をお届けします。
どちらの方法を選ぶにしても、総保有コスト算出し、自社に合った調達方法にすることが大切です。
ステップ5:「使っていないオプション」を洗い出す
スマホには、留守電やキャッチホン、呼び出し音設定などいろいろなオプションが用意されています。もし自社の業務に不要なものがついたままになっていれば、ここも見直しのチャンスです。毎月数百円のオプションでも、ちりも積もれば山となります。10回線で月500円のオプションを3つ削除すれば、月1万5千円の節約です。
ただし、昨今ではサプライチェーン攻撃のように中小企業もサイバー攻撃の標的になることが増えており、業務用スマホは機密情報のかたまりでもあります。MDMに代表されるセキュリティ関連のオプションについては、コスト削減よりもセキュリティを優先するなど、慎重に判断することが重要です。
まとめ:まずは「現状把握」がすべての出発点
スマホ通信費の見直しは、業務に支障をきたすことなく、すぐに実行できて効果が出る節約術です。
一気にすべてを変える必要はありません。5つのステップのうち「1ステップだけ」でも意味があります。まずは通信量の可視化から始めて、段階的に改善を進めていけば、コスト削減の効果を実感できるでしょう。その上で、セキュリティや自社に必要なその他の機能を考慮し、プランを最適化していくことが重要です。