2027年問題とは
SAP社は、ドイツに本社を置くヨーロッパ最大級のソフトウェア開発会社です。同社が提供しているERPパッケージは、世界各国の企業で、経営の意思決定のスピードアップや、業務効率の向上に役立てられています
このSAP社のERPパッケージは高いシェアを有していますが、その中の「SAP ERP 6.0」と、同製品を同梱した「SAP Business Suite」の標準保守サポートが2027年末に終了することが決定されています。これによって企業に起こりうる、いわゆる「2027年問題」が注目されています。
このサポートの終了で、新機能の追加や、修正プログラム、システム改善といった品質面のサポートを受けることができなくなります。セキュリティリスクの増大はもちろん、万が一、システムにトラブルが起きた場合でも、SAP社によるサポートが行われなくなるため、ビジネスに深刻な影響が生じる可能性があります。そのため、該当のパッケージを使っている企業にとって、「2027年問題」への対応は喫緊の課題の一つと言えるでしょう。
3つの対応方法
2027年を目前に控えた今、対象となる企業はどのような対応方法を講じるべきなのでしょうか。主に3つの選択肢が挙げられます。
「SAP S/4HANA」への移行
まず初めに検討すべきは、後継製品である「SAP S/4HANA」への移行です。最新パッケージである「SAP S/4HANA」は従来のものよりも高速なデータ処理を実現しているため、これまで以上に業務の効率化が期待できるでしょう。もちろんSAP社からのサポートを受けることも可能です。
サードパーティ保守の利用
現行のERPパッケージを利用し続け、SAP社以外の企業から保守サポートを受けるという選択肢もあります。こうした方法は第三者保守と言われ、ソフトウェアをそのまま利用できることやコスト削減といったメリットがあります。
代替製品への乗り換え
ERPパッケージを提供しているのはSAP社だけではありません。この機会に、別会社の製品への乗り換えを検討してみるのも一つの方法です。ただし、これまで利用していたシステムを一から作り直す必要があるため、時間とコストがかかることは留意しなければいけません。
ERP刷新に適したパートナー選びを
前述した3つの対応方法のうち、もっとも一般的なのが「SAP S/4HANA」へのマイグレーションです。しかし、長年にわたって自社仕様にカスタマイズしたERPを新しいシステムへ移行するのは簡単ではありません。移行にあたっては、いくつかの注意すべきポイントがあります。
既存運用業務の棚卸と見直し
ERP刷新により、より高い成果を見込むため、マイグレーションの前に、既存の運用業務を棚卸しして、それぞれの内容を見直す必要があります。場合によってはアウトソーシングによってブラックボックス化している業務が見つかる可能性もあります。
「Fit to Standard」の徹底
業務の棚卸と見直しが完了したら、「Fit to Standard」を徹底しなければなりません。「Fit to Standard」とは、業務をERPの標準機能に合わせること。これにより、アドオンやカスタマイズを最小化してコストを抑えられるうえ、短期間でのマイグレーションを実現できます。
そのほかにも「ITサービスの疎結合・複合管理」「データ利活用」「セキュリティ担保」「グローバル標準化」など、検討しなければならない課題は決して少なくありません。こうした問題は容易に解決できるものではなく、相応のコストと時間がかかります。そのため、移行にあたっては適切なパートナー選びが重要です。

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NTTコミュニケーションズは、日系企業初の「SAP Certified Outsourcing Operations Partners」として、「Hosting/Cloud/SAP HANA」の3カテゴリでグローバル認定を取得した、実績あるプロバイダーです。25年間で100社以上のSAPシステム基盤の導入から運用までを手がけた知見や実績をベースに、「SAP S/4 HANA」への移行や新規導入と運用保守はもちろん、キャリアプロバイダーならではのグローバルなネットワーク、コロケーション、マネージドサービスを組み合わせ、お客様のDXを強力にサポートします。
「2027年問題」はERPパッケージのあり方をあらためて考えるよい機会です。ERPの刷新とともに、企業IT全体を見直すことができれば、競争力あるDX基盤を構築にもつながるはずです。そのパートナーとしてNTTコミュニケーションズをぜひご検討ください。