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【2025年度版】
正社員化コース適用で80万円も!
キャリアアップ助成金を解説

【2025年度版】正社員化コース適用で80万円も!キャリアアップ助成金を解説

非正規雇用から正社員への転換や、賃金制度の見直しを支援する「キャリアアップ助成金」が、制度改正されました。中でも注目は、正社員化コースで最大80万円の支給が受けられるようになった点。新たに「重点支援対象者」の条件が加わり、支給対象がより明確になりました。さらに、賃金規定等改定コースでは区分が2つから4つに細分化され、最大支給額も6.5万円から7万円に増額。申請に必要なキャリアアップ計画書の提出も簡素化され、活用のハードルが下がっています。本記事では、2025年度版キャリアアップ助成金の最新情報と変更点をわかりやすく解説します。

目次

非正規雇用労働者のキャリアをサポートする
助成金がある

パートやアルバイト、契約社員(有期雇用労働者)といった、いわゆる「非正規雇用」の従業員を採用している企業は少なくないでしょう。

厚生労働省が2025年3月に発表した「非正規雇用の現状と課題」という資料によると、2024年における非正規雇用労働者の人数は2,126万人で、全労働者の36.8%を占めています。この割合はここ10年でほぼ変わっておらず、だいたい37%前後で推移しています。

同資料によると、非正規雇用労働者は正規雇用労働者に比べて賃金は低く、かつ教育訓練の実施率も、正社員(正規雇用)の7割程度といいます。将来のキャリアアップのために行われる教育訓練に限ると、実施率は正社員の4割を下回っているとのことです。

このように非正規雇用労働者は正社員と比べると不利な状況にありますが、非正規雇用労働者のサポートを積極的に行う企業を支援する助成金制度も存在します。それが「キャリアアップ助成金」です。

2025年4月から正社員化コースと
賃金規定等改定コースで変更あり

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進し、正社員転換や処遇改善などの取り組みを実施した事業主に対し、助成金を支給する制度です。2015年に創設され、それから10年が経った現在も継続しています。

この助成金には、複数のコースが用意されています。たとえば、有期雇用労働者を正社員化(正規雇用労働者に転換)した事業主を助成する「正社員化コース」や、有期雇用労働者の基本給を増額し、昇給させた事業主を助成する「賃金規定等改定コース」、有期雇用労働者に対し、正社員と共通の賃金規定等を新たに作成した事業主を助成する「賃金規定等共通化コース」などがあります。

正社員化支援 正社員化コース

有期雇用労働者等を正社員化

障害者正社員化コース 障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換。詳細はこちら
処遇改善支援 賃金規定等改定コース

有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し3%以上増額

賃金規定等共通化コース

有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用

賞与・退職金制度導入コース

有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入し支給または積立てを実施

社会保険適用時処遇改善コース
(令和8年3月31日まで)

有期雇用労働者等を新たに社会保険に適用させるとともに、収入を増加させる(手当支給・賃上げ・労働時間延長)または、適用定労働時間を延長し、社会保険に適用させる

2025年4月より始まった2025年度の新制度では、正社員化コースと賃金規定等改定コースにおいて、助成額や支援対象者の範囲が変更されました

【正社員化コース】
新たな条件「重点支援対象者」とは?

正社員化コースでは、従来は有期雇用労働者を正社員に転換した場合、1人につき80万円(大企業の場合は60万円)、無期雇用労働者を正社員に転換した場合に40万円(大企業は30万円)が事業主に支給されました。

2025年度の正社員化コースでは、新たに「重点支援対象者」という条件が追加されました。重点支援対象者とは、以下の3点をすべて満たす労働者を指します。

  1. 雇入れから3年以上の有期雇用労働者
  2. 雇入れから3年未満であり、かつ以下の2点に該当する有期雇用労働者
    • 過去5年間に正規雇用労働者であった期間が1年以下
    • 過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
  3. 派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

重点支援対象者であり、かつ有期雇用労働者を正社員化した場合は、1人につき80万円(大企業は60万円)、重点支援対象者で無期雇用労働者を正社員化した場合は40万円(大企業は30万円)が事業主に支給されます。

もし対象の労働者が重点支援対象者でなかった場合、支給額はさらに少なくなり、有期雇用→正社員化は40万円(大企業は30万円)、無期雇用→正社員化は20万円(大企業は15万円)となります。

現行
有期→正規80万円(60万円)
無期→正規40万円(30万円)

【加算措置/加算額】
  • 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合28.5万円
  • 母子家庭の母等又は父子家庭の父9.5万円(有期→正規の場合)
  • 人材開発支援助成金の特定の訓練修了後に正社員転換9.5万円(一部11万円)
    (有期→正規の場合)等
改正後
【重点支援対象者】
有期→正規80万円(60万円)
無期→正規40万円(30万円)
【重点支援対象者以外】
有期→正規40万円(30万円)
無期→正規20万円(15万円)
「重点支援対象者」とは
  1. 雇入れから3年以上の有期雇用労働者
  2. 雇入れから3年未満で、次の① ② いずれにも該当する有期雇用労働者
    1. 過去5年間に正規雇用労働者であった期間が1年以下
    2. 過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
  3. 派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者
  • 雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者については無期雇用労働者とみなします

(  )は大企業の助成額

2025年度のキャリアアップ助成金「正社員コース」の変更点(厚生労働省「キャリアアップ助成金が変わります!2025年4月移行の変更点のご案内」より引用)

【賃金規定等改定コース】区分が2→4区分に。
最大支給額も6.5→7万円に増額

賃金規定等改定コースでは、支給区分が従来の2区分から4区分に増加し、最大支給額も増額されます。

従来は有期雇用労働者の基本給の賃金規定を「3%以上~5%未満」に増額した場合、従業員1人につき5万円(大企業は3.3万円)、「5%以上」に引き上げた場合は6.5万円(大企業は4.3万円)が支給されました。

2025年度の賃金規定等改定コースでは、区分が以下の4区分に変更され、それに伴って支給額も変更されています。賃金規定を6%以上アップした場合、最大で7万円の支給を受けることが可能です。

  • 賃金規定が3%以上~4%未満 → 4万円(大企業は2.6万円)
  • 賃金規定が4%以上~5%未満 → 5万円(大企業は3.3万円)
  • 賃金規定が5%以上~6%未満 → 6.5万円(大企業は4.3万円)
  • 賃金規定が6%以上→ 7万円(大企業は4.6万円)

同コースではさらに、有期雇用労働者の昇給制度を新たに設けた場合、1事業所当たり1回のみ、20万円(大企業は15万円)が加算される加算制度も新設されています。

現行
賃金引き上げ率 3%以上
5%未満
5%以上
助成額 5万円
(3.3万円)
6.5万円
(4.3万円)
現行
賃金引き上げ率 助成額
3%以上
5%未満
5万円
(3.3万円)
5%以上 6.5万円
(4.3万円)
改正後
賃金引き上げ率 3%以上
4%未満
4%以上
5%未満
5%以上
6%未満
6%以上
助成額 4万円
(2.6万円)
5万円
(3.3万円)
6.5万円
(4.3万円)
7万円
(4.6万円)
改正後
賃金引き上げ率 助成額
3%以上
4%未満
4万円
(2.6万円)
4%以上
5%未満
5万円
(3.3万円)
5%以上
6%未満
6.5万円
(4.3万円)
6%以上 7万円
(4.6万円)

2025年度のキャリアアップ助成金「賃金規定等改定コース」の変更点(厚生労働省「キャリアアップ助成金が変わります!2025年4月移行の変更点のご案内」をもとに編集部が作成)

キャリアアップ計画書の提出方法も簡素化

キャリアアップ助成金を活用するためには、事前に取り組みのイメージをおおまかに記載する「キャリアアップ計画書」を作成し、管轄の労働局に提出する必要があります。

キャリアアップ計画書は、従来までは各コースの取り組み実施日の前日までに管轄の労働局長に提出し、その認定を受ける必要がありましたが、2025年度からは「届け出のみ」で良いこととなりました。

計画書に記載された取り組みを実施した後、6カ月の賃金を支払った日の翌日から起算して2カ月以内に支給申請を行うことで、キャリアアップ助成金の支給が決定されます。

いくつかのルール変更はあるものの、キャリアアップ助成金は2025年度も継続されます。非正規雇用の従業員を抱える企業にとっては、自社のスタッフのキャリアアップを支えながら助成金が得られる、またとないチャンスといえそうです。ぜひ、利用してみてはいかがでしょうか。

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