大一番「千葉ダービー」制す!!雨中の熱闘は乱打戦に
負けられない「千葉ダービー」を勝ち切った。
NTTリーグワン2022の最高峰ディビジョン1に所属するNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安。
全16試合のレギュラーシーズンは佳境の第14節。3勝10敗(実戦3勝7敗)で11位のアークスは4月24日(日)、ビジターとして12位のNECグリーンロケッツ東葛と激突した。
アークスにとっては負ければ最下位に転落する大一番。
NECグリーンロケッツ東葛としてもホストの千葉・柏の葉公園総合競技場でなんとしても勝利を挙げ、最下位を脱出したい背水の状況。
この重大局面で、アークスは先週から先発15人中4人を変更(FW2人、BK2人)した。
FWではモバイル性能を持つPR(プロップ)庵奥翔太、元NECグリーンロケッツ東葛のLO(ロック)サム・ジェフリーズがスタメンへ。
BKではセブンズ代表経験のあるCTB(センター)ヘンリーブラッキンとWTB(ウイング)羽野一志がスターターとなった。
そしてリザーブ陣には強烈な馬力のアナル・ランギ、ゲームチェンジャーの西橋勇人、スキルフルな前田土芽が入り、勝負の80分間に臨んだ。
この日は試合前から小雨が降りしきった。高精度のハンドリングも武器であるアークスにとっては、十分に強みを発揮しづらい状況だ。
反則から前半2分にPG(ペナルティゴール)を決められ、不安な立ち上がりとなったアークスだが、ここから見事な2連続トライ。
前半9分には防御裏へのショートキックをCTBシェーン・ゲイツ主将が再獲得。FL(フランカー)リアム・ギルの先制トライをお膳立て。
さらにFLギルは前半15分、敵陣ゴール前で一度はジャッカルされたボールをふたたびジャッカル!!守備の名手が実力を示し、攻守交代直後にLO中島進護が相手9番を吹き飛ばして豪快にグラウンディング。
確かにノックオンはあったが、攻撃力は沈黙しなかった。アークスは雨中戦でも見事なワイド攻撃、圧力をかけて相手を脅かし、序盤でリードを11点(14-3)に広げた。
グリーンロケッツも元アークスのSOフレッチャー・スミス選手を起点に猛攻。1PGと1トライを決められて1点差(14-13)に詰め寄られるが、前半33分だった。
自陣のピンチでも猛タックルでトライを防いでいたHO(フッカー)三浦嶺が高度な一貫性を見せた。
前半30分にこの日初めてスクラムでペナルティを奪取すると、正確無比なスローイングで敵陣でのラインアウト獲得に貢献。敵陣に居座り、同32分にはサポートを受けて、モール最後尾から自身でトライ!!
SOオテレ・ブラックのキックも絶好調で、見事にコンバージョン成功。この日のSOブラックは雨の中でプレースキック6本を全て成功させた。
そして宮崎県出身の24歳が、前半終了前に大仕事をやってのけた。
「実力があり、世界レベルのプレイヤーを狙っていける選手です。長期的に日本のラグビーにとって貴重な選手になることは間違いありません」
試合後にロブ・ペニー監督がそう評価したのはPR竹内柊平だ。ふたたび1点差に詰められていた前半41分、アークスは敵陣のPGチャンスで3点を狙わずタッチキックを選択。
トライを狙って果敢にチャレンジすると、勝負のラインアウトモール。じわり押し込むと、最後尾にいた竹内が単独キャリー!かかる相手バックスを次々に押し込んで突進し、左奥に価値あるトライ!!
左隅からのコンバージョンも司令塔ブラックが決め、最高の形で28-20として後半へ向かった。
アークスは若い力が躍動。
PG成功でリードを11点にしていた後半5分、大卒新人ながら3戦連続スタメンのSH(スクラムハーフ)飯沼蓮がリーグ初トライ。
相手のミスからNo.8(ナンバーエイト)ジェームス・ムーアがオフロードパス。これを受けたSH飯沼が鋭角のステップで相手を置き去りに。会場を沸かせる後半初トライを決めた。
リードを18点(38-20)に広げたアークスだが、ホストの声援を受けたグリーンロケッツも見事なカムバック。後半13分にラインアウトモールでトライ奪取し、リードは11点に縮まった。
この日のアークスはケガ人が多発し、逆風となった。
後半17分のFB(フルバック)イズラエル・フォラウのトライが直前の反則で幻となると、同29分、No.8ムーアと途中出場のPR齊藤剣が交錯。2人が担架で運ばれるアクシデント。
また三浦嶺とアナル・ランギというフッカー2名が脳しんとうの疑いで途中交代。PR庵奥は交代後に再出場し、リザーブの三宮累も次々に起こるアクシデントに緊急出場で対処した。
負けられないアークスは個人技も光った。
後半32分にはWTB後藤輝也選手のインターセプトを受け、一気に切り替えされたアークスだが、戻ったWTB石井魁がウイング同士の競争に勝ち、トライセーブ!!
この日獅子奮迅だったのはFLギル。自陣ではノックオンを誘うビッグタックルで相手の攻勢をシャットアウトした。
粘るグリーンロケッツは残り1分、アークスの反則からラインアウトモールでトライ。リードはついに4点差(38-34)となって、リスタートのキックオフで80分を知らせるホーンが!!
ここでグリーンロケッツが再獲得を狙ったショートパント。しかし80分間出場のFLギルがボールを確保!!
最後まで敢闘精神をみせたFLギルの活躍などで、ノーサイドの笛。厳しい4点差の乱打戦を勝ちきった。
勝ち点4を奪ったアークスは順位を2つ上げ、11位から9位に浮上。
このまま突き進みたいアークスは5月1日(日)、クボタスピアーズ船橋・東京ベイと今季2度目の対戦。敗戦の借りを返す時がやってきた。