雨の金曜ナイターで悔しい敗戦!!
次戦は必勝「千葉ダービー」!!
霧雨が降り続け、夜の秩父宮ラグビー場は季節外れの寒さ。
しかしピッチは熱く、両軍は激しく火花を散らした。
4月15日(金)、NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安が、NTTリーグワン2022の第13節に臨んだ。
『JALラグビーナイト』と題されたホストゲームで、聖地・秩父宮ラグビー場(東京)は夜空の下で煌びやかだった。
開場前から音楽が鳴り響き、まばゆい光線が頭上のスタジアム壁面を彩る。「こんな秩父宮見たことない」。来場した若い女性の一人が驚嘆していた。
入場ゲートではJALの現役客室乗務員の皆さんが来場者を出迎え、先着5000名に用意されたフォームハンドなどを配布。
会場では機内アナウンスを模したユニークな試合ガイド、マナー解説も行われ、金曜ナイターを大いに盛り上げた。
必勝を期するアークスは3勝9敗(うち不戦敗3)の11位だ。
16戦あるレギュラーシーズンは残り4試合となり、下位2チームが回ることになった入替戦回避へ向けて、ひとつでも多く勝ち星を重ねたい状況。
今回の相手は4位の横浜キヤノンイーグルス。
昨シーズンは“負けたら終わり”のプレーオフで敗戦した相手であり、悔しさをぶつける雪辱戦だ。
一方、横浜キヤノンイーグルスも4強進出へ一戦も落とせない状況。必勝態勢を敷く両軍がプライドを懸けて激突した。
アークスの先発は先週から8人変更。PR(プロップ)には齊藤剣、竹内柊平が入り、LO(ロック)は中島進護、ジミー・トゥポウが揃ってスタメン入り。
スタメン予告があったトンプソンルークに代わり急遽マッケンジーアレキサンダーが6番に。日本代表のジェームス・ムーアは今季初のNo.8(ナンバーエイト)だ。
司令塔にはオテレ・ブラックが復帰し、無類のハードワーカーであるキャプテン、CTB(センター)シェーン・ゲイツも帰ってきた。そしてリザーブには新たに上田竜太郎、金正奎が入り、19時にキックオフを迎えた。
相手の先制トライは力負けではなかった。前半6分、攻撃的なキックを捕球されて切り替えされた。
「クロスキック(フィールドを横断するロングキック)が相手のトライに繋がったのはアンラッキーな部分もありました」(SO(スタンドオフ)オテレ・ブラック)
いきなり7点を先制されたアークスは、前半のスクラム戦でも苦しんだ。
横浜キヤノンイーグルスのPR五十嵐優選手は、アークスについて「『リーグワンで一番スクラムが強い』という話をしていました」と警戒。
その上で、ファースト・スクラムで真っ向勝負。アークスからペナルティを奪い、序盤戦を有利に進めた。
雨中戦でアークスは粘り強くファイトした。
PR竹内は効果的なボールキャリーを重ね、WTB(ウイング)石井魁は特大キックでチャンスを創出。
しかし相手の堅守に得点を奪えずにいると、前半19分にNo.8ムーアがハイタックルでシンビン(10分間の一時退場)。14人の間に1トライ(前半24分)を奪われた。
そんな劣勢で頼りになるのは、相手が“リーグ最強”と警戒していたアークスの強力スクラムだ。
No.8ムーアも戻っていたスクラムで、PR齊藤らFW8人が強力プッシュ。相手の反則を誘発し、敵陣に入ってラインアウトモール。
モールの攻防が武器である横浜キヤノンイーグルスを押し込むと、最後はFLアレキサンダーが低い姿勢で突っ込み、今季自身2トライ目!!
5点を返し、9点ビハインド(5-14)で後半へ向かった。
そして勝負の後半40分間が始まった。
しかしスタンドオフで途中出場したグレイグ・レイドローは異変に気付いていた。
「厳しい試合展開でした。序盤で少し自信を失い、自分たちが勝つ可能性を少しずつ失ってしまいました」
後半開始直後、キックオフのボールを確保できず乱調気味のスタート。すると直後、ラインアウトのサインプレーからトライを奪われてしまった。
劣勢ムードの中、この日機動力を見せつけたのはFLマッケンジーだった。
後半5分に相手選手がインゴールでノックオン。ここでボールを追いかけ、日本人の母を持つ24歳が絶妙なタッチダウン。しかしビデオ判定によりトライはならず。
ここから2連続のペナルティで自陣に後退すると、後半10分、相手得意のモールから失トライ。この日4トライ目を許し、ビハインドは23点(5-28)となってしまった。
アークスは再三敵陣に入った。
横浜キヤノンイーグルスはラックへの寄りが速く、粘り強かった。アークスは得点機でのラインアウトでミスも続き、もどかしい場面が続いていく。
攻めては戻される。そのたびにアークスは必死に自陣へ帰り、諦めずにアタックを繰り返した。
途中出場の金正奎、ヘンリーブラッキンの献身的な守備、トライを防ぐFLギルのインターセプトもあった。
しかし攻撃で相手の我慢強いディフェンスを崩せず、後半ロスタイムには逆にゴール前のクイックスタートから相手がダメ押しトライ。
最終スコアは5-35となり、10敗目を喫した。
悔しいー。だが敗戦は成長の糧になる。次戦は4月24日(日)。相手は同じ千葉県に本拠地を置く12位のNECグリーンロケッツ東葛。
勝ち点1差で激突することになった「千葉ダービー」が次なる舞台だ。