“総力戦"へ準備万端!ノンメンバー組でまたも快勝!
開幕後の練習試合は2連勝
内山浩文GMはシーズン開幕前から、総力戦になる、と語っていた。
「1月に開幕するNTTリーグワンはリーグ戦だけで16試合あり、総力戦になります」
NTTリーグワン2022の「ディビジョン1」は、国内トップ12チームが集結する最高峰リーグだ。
16節あるレギュラーシーズンは折り返しの第9節を迎え、多くのチームに怪我人が増えてきた。「総力戦」の予想は的中した格好で、ここからは総合力がより問われる状況だ。
NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安は、3月12日(土)、公式戦出場が少ないメンバーの実戦機会として、清水建設江東ブルーシャークスとの練習試合(非公開)を行った。
開幕後の練習試合は、勝利した2月の埼玉ワイルドナイツ戦以来2度目だ。
「すごく楽しみにしていました。試合が近づくにつれ、メンバーで細かいコミュニケーションも取ることができ、試合に向けて良いチャレンジできたと思います」
そう語ったのはゲームキャプテンを務めたCTB(センター)石橋拓也だ。相手はディビジョン3で5勝2敗と好調の清水建設江東ブルーシャークス。昨年の練習試合でも、迫力のあるアタックを展開していたチームだ。
アークスのメンバーを見てみると、先発はスクラム猛者の上田竜太郎がHO(フッカー)ポジションに入り、技巧派のセコナイア・ポレがPR(プロップ)に入った。
LO(ロック)は新加入の豪州出身コンビ。ビッグヒッターであるカラム・マクドナルドと、パワーと技術を兼備するサム・ジェフリーズ。FL(フランカー)に斉田倫輝と栗原大介が入った。
ハーフ団は「近大コンビ」。近畿大学で先輩のSH(スクラムハーフ)光井勇人、後輩でキャプテンも務めたSO(スタンドオフ)喜連航平だ。そしてセンターには総合力が高い石橋。
今季7人制日本代表にデビューした2人、CTB石田大河とWTB(ウイング)石井勇輝が練習マッチに初登場。
もう一人のWTBが韓国を代表するスピードスターである張容興。FB(フルバック)はユーティリティBKのシルヴィアン・マフーザ。リザーブには明治大学出身の松尾将太郎という布陣となった。
春を感じさせる温暖な気候のなか、まずアークスは守備で粘った。
試合序盤、モール・ディフェンスにおける反則の繰り返しによって、いきなりHO上田がシンビン(10分間の一時退出)に。しかしこの窮地で、南アフリカ出身のFBマフーザがジャッカル。堅守でしのいだ。
するとアークスはセンブズ代表コンビが躍動。
CTB石田が軽快なステップで2対1を作ると、右隅でボールを受けたWTB石井勇輝がロングキック。敵陣ゴール前でノックオンを誘い、陣地を大きく挽回した。
バックスでは「近大コンビ」も見せ場を作る。
守備でも貢献するSH光井からパスを受けたSO喜連が、敵陣奥のスペースを見逃さず、相手を背走させるロングキック。
このキックをチェイスしていたWTB石井勇輝が、自陣脱出を狙った相手キックをチャージダウン!!インゴールに転がったイーブンボールをCTB石橋がグラウンディング。
献身的なチェイスから先制トライが生まれ、まずはアークスが5点を奪った。
この日は“絶好調男”が多数。
FBマフーザもその一人で、前半13分には序盤に続く“連続ジャッカル”。またこの日PRに入ったポレがラインアウトでは安定したスローイングを行い、LOジェフリーズはキャッチでラインアウトの精度に貢献した。
さらにこの日は韓国の7人制代表であるWTB張容興が大車輪の活躍!!
ボールを持てば確実にゲインする決定力で、序盤に左隅のラックから相手のターンオーバー。ラック脇の無人を見逃さず、瞬時に抜け出し、相手も呆気にとられる独走トライを決めた。
清水建設江東ブルーシャークスも一つの突破に複数のオフロードパスを組み合わせ、トライを返す。リードが5点(12-7)に縮まったアークスだが、ここで元フランカーのCTB石橋ゲームキャプテンらがタックルで奮闘。
ターンオーバーが生まれ、FBマフーザがスワーブで鮮やかなラインブレイク。3トライ目が生まれ、10点リード(17-7)で前半を折り返した。
80分出場のPRポレは後半も正確なスローイングを連発。後半開始早々、相手ゴール前のスローイングミスを見逃さず、オーバーボールを捕球して目前のインゴールへ突進。後半最初のトライを奪い、アタックでも存在感を示した。
ボール保持率をさらに高めるアークスは、スクラムハーフからの仕掛けでショートサイドを突破。WTB張容興の突破を足がかりとして、SO松尾がカットインから地を這うようなボールキャリー。
低い姿勢で次々に相手を振り切り、後半出場の10番松尾が個人技でトライ!連続スコアでリードを29点(36-7)に広げた。
後半にはスクラムでも優勢を決定的にする。
後半14分にはPRポレ、HO上田らを最前線に据えたスクラムで強制ペナルティ!!ここから敵陣ゴール前に入り、ラインアウトモールは崩れたものの、FL栗原らが次々にラックサイドを急襲。
No.8ブロディ・マカスケルが押し込み、7トライ目を決めてリードはついに36点(43-7)に!!
その後相手に2トライ目を奪われたが、アタックでは204センチの21歳、LOマクドナルドが跳躍するようなキャリーを見せると、スクラムハーフの仕掛けからWTB張容興が突破。
すかさずフォローしていたSO松尾が仕留めて、この日自身2本目のトライ。みずからゴールも決めて50-14とした。
終盤はディフェンス時間が多くなるが、アークスはインゴールを死守した。相手ラインアウトの決定機では運動量豊富なFL斉田が飛び込んでターンオーバー。80分間出場のCTB石橋は最後まで効果的なタックルを続けた。
ラストを飾るトライは攻守交代から。
自陣から展開する清水建設江東ブルーシャークスがミス。この攻守交代からすかさず空いたスペースを急襲。最後はFB(フルバック)に入っていた石田が右隅に駆け込んだ。
これで練習試合は2月の埼玉ワイルドナイツ戦に続いて今季2勝目。
選手層の厚さを改めて示したアークス。5月まで続く「総力戦」のレギュラーシーズン後半戦へ向け、アークスは再スタートを切った。