終盤猛攻も3勝目逃す。圧倒した後半は「収穫」
NTTリーグワン2022の最高峰「ディビジョン1」に参加するNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安。
長丁場のレギュラーシーズン16試合が折り返しを迎え、3月5日(土)の第8節は、5勝2敗のトヨタヴェルブリッツと対戦した。
舞台は愛知・パロマ瑞穂ラグビー場。相手は2016年度に埼玉・熊谷で勝利して以来勝ち星のないヴェルブリッツだ。
強力フォワードによる縦への圧力が武器のひとつであり、日本代表の姫野和樹選手らが所属。相手に不足はなかった。
アークスは劇的勝利を収めた先週から先発2人を変更した。
LO(ロック)には昨季の共同キャプテンである中島進護が開幕戦以来の復帰。WTB(ウイング)には7人制代表歴のある鶴田諒が入った。
リザーブの変更は3人。バイリンガルの日米ハーフ、マッケンジー アレキサンダー。そして元スコットランド代表キャプテンのグレイグ・レイドロー。ユーティリティBKとして進化している25歳の安田卓平が入った。
開幕戦以来の出場となったLO中島が試合後に明かしていた。
「今日はロブ(・ペニー監督)やゲームキャプテンの泰司(本郷)から『最初の10分を全員でスマッシュしよう』と話していました。しかしそこで受けてしまったことは課題です」
アークスは風下に立った前半で、大きなビハインドを背負ってしまう。前半5分にはラインアウトのミスから猛攻を受け、ヴェルブリッツがモールで先制トライを許す。
「前半にスマッシュする」ことを目指していたが、直後のキックオフでも相手がライン突破。しかしアークスはゲームキャプテンを務めるCTB(センター)本郷泰司、LO金嶺志、HO(フッカー)アナル・ランギらの懸命なタックルで、再三のピンチをしのぐ。
前半12分にはWTB鶴田がキックチェイスで負傷交代になる不運。しかしアークスの武器は層の厚さ。ウイングに入った同志社大学卒の安田卓平がいきなり魅せた。
WTB安田は投入直後、スクラムからのサインプレーからボールを受けると、防御裏へ的確なキック。
ここは相手が確保したものの、パスをインターセプトしたFB(フルバック)イズラエル・フォラウがトライ奪取。前半15分、2点差(5-7)に迫った。
しかしアークスは悲運の負傷交代が続く。
直後にFL(フランカー)ジェームス・ムーアがラインアウトで負傷。その後ピッチを後にしたが、14人での守備中だった前半18分にトライを奪われてしまい、ビハインドは9点(5-14)に。
ラインアウトのミスに、先発2人の負傷交代などが重なり、序盤で9点を追いかける展開に。
さらに勢いに乗ったヴェルブリッツに前半22、25分にも連続トライを奪われ、敵陣での得点機もジャッカルなどでチャンス喪失。
スコアは伸びず、23点ビハインド(5-28)で試合を折り返した。
前半のスコアは23点のビハインド(5-28)だったアークス。
しかし後半だけのスコアは14点のリード(17-3)だった。
「後半の入りから自分たちらしい素晴らしいアタック、ディフェンスができたことは収穫です。これを前半から出せればもっと良いチームになれると思います」(FL金正奎)
23点ビハインドを追いかけるアークスは、風上に立ち、後半スタートから圧力をかける。
まずFBフォラウのキックカウンターからチャンスとなり、後半3分、2戦先発のHOランギがラインアウトモールで自身今季初トライ!!SO(スタンドオフ)オテレ・ブラックの難易度の高いコンバージョンも成功。
ヴェルブリッツの大型フォワードを押し切り、反撃の狼煙をあげた。
16点差に迫ると、さらにセンタースクラムからSOブラックの「50:22」(自陣からのキックが相手22m内で間接的に外に出るとマイボールラインアウト)で、一気に得点チャンスが到来。
「後半の入りは自分たちらしいボールを動かすラグビーができ、相手を翻弄してスコアも重ねることができました」(PR(プロップ)竹内柊平)
アークスらしい展開力のある連続攻撃で、一気にゴール前へ。アークスの圧力に対して、相手がゴール前で故意のノックオンによりトライを防ぎ、さらにアークスはペナルティトライ(7点)を追加。
一気呵成の2連続トライで、ついに9点差(19-28)に迫った。
CTB本郷がサポートのFL金正奎でジャッカルを決めるなど、快調に飛ばすアークス。しかしホストのヴェルブリッツもスクラムでPK(ペナルティキック)を奪取。意地を見せる。
さらに途中出場のレイドローのノックオンを誘う好守。相手をタッチに押し出すWTBヘンリーブラッキンの粘り強い守備もあった。
諦めずに戦い続けるアークスだが、高速リロードから猛タックルを連発していたゲームキャプテンのCTB本郷が、後半29分に今日3人目の負傷交代。残り時間は7分だ。
ここで自慢の強力スクラムがパワーを魅せる。
アークスが自陣スクラムでPKを奪取。ここから敵陣に入ってさらに猛攻。SHレイドローのキックをチェイスしたWTBヘンリーがトライ!と見えたが、ここはビデオ判定の結果グラウンディングが認められず。
しかしSOブラックがPG(ペナルティゴール)を成功させ、残り2分で6点差(22-28)に詰め寄った。
直後、ボールを保持して自陣から敵陣を目指したアークスだが、無念のミス。さらにオフサイドの反則があり、ヴェルブリッツがPGを選択。
ヴェルブリッツが後半唯一の得点となる3点を加えて、万事休す。22-31で無念の敗戦を喫した。
いくつかの不運に抗いながら、後半に粘りを見せたアークス。次戦の3月13日(日)はホストスタジアム、東京・江東区夢の島競技場で静岡ブルーレヴズと激突。チーム一丸で今季3勝目を掴みにいく。