昨季チャンピオンに練習マッチで勝利!!
新加入トンプソンはチーム初実戦
選手はプレシーズンからたびたび選手層の変化を口にしていた。
「例年よりも選手層が厚いです。シーズンも長いので、総力戦でしっかり勝てればと思います」(PR(プロップ)上田竜太郎)
この日はそんな選手層の充実を証明した試合であった。
NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安は、2月6日(日)、公式戦出場の少ないメンバーの実戦機会として、埼玉パナソニックワイルドナイツとの練習試合(非公開)を行った。
アークスは前日のNTTリーグワン2022第5節、連覇を狙う埼玉ワイルドナイツに敗戦を喫しており、出場機会が少ないメンバーにとっては重要な一戦となった。
「NTTリーグワンが始まりましたが、メンバーに入っていないノンメンバーで『良いアピールができるように』『シャイニングアークスのラグビーを僕たちもやろう』という部分にこだわって1週間準備をしてきました」(CTB(センター)前田土芽)
先発15人を見てみると、スクラム猛者のPR(プロップ)上田、突進力ピカイチのHO(フッカー)アナル・ランギ、ジャッカルも得意なPR三宮累。
そして4月16日で41歳のレジェンド、日本代表71キャップのLO(ロック)トンプソン ルークが加入後初の実戦。将来性豊かなビッグヒッター、カラム・マクドナルドとロックコンビを組んだ。
両FL(フランカー)は猛タックラー、FL斉田倫輝とFL松本健留。そして8番は新加入のNo.8ブロディ・マカスケル。
先発ハーフ団は俊足のSH(スクラムハーフ)光井勇人、安定感抜群のSO(スタンドオフ)松尾将太郎。司令塔もできるCTB前田は熟練の石橋拓也(ゲーム主将)とコンビを組んだ。
バックスリーは守備も強烈なWTB(ウイング)安田卓平、日本代表25キャップのWTB山田章仁、そしてユーティリティ性の高いFB(フルバック)シルヴィアン・マフーザ。
リザーブにはポテンシャルを秘めた竹内柊平、多芸多才のセコナイア・ポレ、前日は終盤トライのアシストをした目崎啓志。
ジャッカルも得意なマッケンジー アレキサンダー、タイガータックルで魅せる栗原大介、プレシーズン好調の坂和樹。
バックスは速攻を得意とする西橋勇人、キック名手の喜連航平、持てばゲインを切る張容興、接点でも強いヘンリーブラッキン、多彩な技を持つベテラン鶴田諒となった。
相手の埼玉ワイルドナイツも公式戦での機会が少ないメンバーが中心となったが、厚い選手層は昨季王者も同じ。
先発の両ロックはイングランド代表45キャップのジョージ・クルーズ選手、王者ワイルドナイツの象徴的存在の一人であるヒーナンダニエル選手という強烈コンビ。
バックスリーにWTB藤田慶和選手(早大卒)、WTB丹治辰碩選手(慶大卒)、FB山沢京平選手(明大卒)という早慶明の大学スターを揃えるなど、腕試しには不足のない相手となった。
好天の下、アークスの先蹴でキックオフされると、まずキックカウンターからFBマフーザの突破から攻撃開始。
SH光井が軽妙にボールを動かし、SO松尾はキックゲームから突破まで随所に躍動。CTB起用の前田もアタックでは一番槍で突っ込み、ディフェンスでは相手のインターセプトにすぐ反応するなど好守備を見せた。
LOマクドナルドは204㎝の高さを活かしてラインアウトをクリーンキャッチ。モールの核として機能し、前半16分のスクラムではPR上田、HOランギ、PR三宮を最前列にしたスクラムでプレッシャー。直後にPR三宮は得意のジャッカルで魅せた。
スコアボードが動いたのは前半20分。埼玉ワイルドナイツの波状攻撃から右大外で相手WTB丹治選手がオフロードパスを決めて先制トライ。
5点を失ったが直後の前半24分、存在感を示したのは同志社大卒のWTB安田。
リスタートでいきなり相手のノックオンを誘うビッグタックルを決めると、キックカウンターからHOランギの突破を足がかりとして、WTB安田が守備網を裂いてオフロードパス。ゲーム主将のCTB石橋のトライが生まれた。
だが埼玉ワイルドナイツは前半26分、キックカウンターからFB山沢京平選手がステップを駆使してトライ。さらに同30分にラインアウトモールからスコアされて失2連続トライ。ビハインドが10点(7-17)となった。
しかしハーフタイムをまたぎ、以降の約50分間は無得点に抑えた。
アークスは守備が光った。ゲーム主将のCTB石橋が得意のタックル(前半34分)で落球を誘えば、FL斉田は献身的に働き、FL松本は終始低いプレーでボールを死守した。
そして前半38分に力を発揮したのはアークスの強力スクラム。
相手ボールスクラムをめくり上げる会心の「スクラム・ターンオーバー」。PR上田、HOランギ、PR三宮のフロントローをはじめチームで快哉を叫んだ。
このスクラムで奪ったペナルティで敵陣ゴール前ラインアウトを迎え、前半38分、こぼれ球を獲得したNo.8マカスケルがトライを奪取。
スクラム・ペナルティを起点にトライを奪う最高の展開。途中出場のSO喜連のゴール成功で14-17とした。
3点差に詰め寄ったアークスはさらに前半40分。
起点はこの日チーム初出場、LOトンプソンのジャッカル!! アークスは敵陣10m付近からアタック開始。
LOトンプソンがジャンパーとなりラインアウトを確保すると、一度はボールを失うが相手ペナルティからCTB石橋が速攻。モメンタムを活かして順目に突っ込んだHOランギが逆転トライ!!
ゴール成功で21-17とし、4点リードで後半へ向かった。
後半スタートからLOトンプソンは下がり、日米ハーフのマッケンジー、セコナイア、バックスは西橋、ヘンリー、鶴田、張容興が入った。
後半に勢いを増したアークスは8分、No.8マッケンジーがジャッカル。ここからSH西橋が得意の速攻!!
FL斉田の突進から、7人制韓国代表のWTB張容興が緩急をつけたランで突破。WTB張はエリア左でゲインを繰り返して実力を披露した。
4点差のままエリアを一進一退していた後半20分、SO喜連の好タッチキックで敵陣10mへ。さらにSO喜連は防御裏へのショートキックで相手のノックオンを誘った。
だが埼玉ワイルドナイツも堅牢なディフェンスで粘り、試合は最終盤へ。
アークス4点リードで迎えた試合終了目前、相手のスローフォワードにより敵陣ゴール前スクラムのチャンスが到来。
この会心のスクラムプッシュでペナルティ(PK)奪取!!そしてこのPKから途中出場のSH西橋が相手の虚を突き、目前のインゴールへ突進!!見事グラウンディングに成功してチーム3トライ目を奪ってみせた。
ゴールは失敗も最終盤で9点リードとしたアークス。
後半ロスタイムには埼玉ワイルドナイツの攻撃をヘンリーが絡みついて、相手のお株を奪う好ディフェンス。直後のスクラムも安定させ、9点差で見事な勝利。
接点で引くことなくフィジカリティを発揮。前日の反省をチームで即座に修正する勝利で、出場機会を手にしたそれぞれが「個」もアピール。王者を相手に見事、26-17で勝利した。