クリスマスに2点差熱闘!!
連勝ストップも38名出場で「チームの力が向上」
NTTリーグワン2022のチーム開幕戦を新年1月8日(土)に控えているNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安。
その準備段階であるプレシーズンの練習試合は、ここまで毎回メンバーを大きく替えながら7勝1敗だ。
選手層に厚みが増しているアークスが、クリスマスの12月25日(土)、静岡・エコパスタジアムで、同じディビジョン1に所属する静岡ブルーレヴズと対戦。
一般的に開幕直前はメンバーを固めて最終調整に入る。この日対戦した、安定したセットピース(主にスクラム、ラインアウト)を武器のひとつとする静岡ブルーレヴズも同様だった。
しかしアークスの登録メンバーは今季最多の38名。アークスの新キャプテンであるCTB(センター)シェーン・ゲイツは、開幕目前まで多くのメンバーに経験を積ませる戦い方に手応えを掴んでいた。
「全員にゲームタイムを与えることでチームの力が向上しています。今シーズンは長いので総力戦になってきます(レギュラーシーズン16試合)。その点においても、全員が良いゲームタイムをもらってしっかりプレーすることが強さに繋がります」(CTBシェーン・ゲイツ主将)
多くのメンバーにアピール機会を与え、足並みを揃えて開幕へ向かうアークス。この日の先発メンバーは、先週から15人中12人(フォワード6人、バックス6人)を変更した。
フォワードではFW第1列が全員交代。PR(プロップ)齊藤剣、HO(フッカー)アナル・ランギ、PR三宮累が並んだ。
さらにはフィジカルが自慢のLO(ロック)金嶺志、タックラーのFL(フランカー)栗原大介。日本国籍を持つ日米ハーフのNo.8マッケンジーアレキサンダーは8番を背負った。
ゲームをコントロールするハーフ団は、2年目のSH(スクラムハーフ)グレイグ・レイドロー、SO(スタンドオフ)前田土芽のコンビに。
両CTB(センター)は攻防両面で存在感を示すゲームキャプテンの本郷泰司と、トータルプレイヤーである石橋拓也。
両WTB(ウイング)には攻守に激しいWTB小泉将、経験豊富なスクラムハーフでもあるWTB鶴田諒が先発を飾った。
冬晴れが心地よい13時、ホームである静岡ブルーレヴズのキックオフで試合は始まった。
先制トライは前半1分、一瞬の出来事だった。
アークスは自軍ゴール前のラインアウトでボール確保に手こずり、こぼれ球を静岡ブルーレヴズが確保。一瞬のターンオーバーからインゴールを奪われ、いきなり7点を追いかける展開となった。
先制パンチを受けたアークスだが、CTB本郷は果敢な突進でゴール前に迫り、プライドが激突するスクラム戦では、前半10分にアークスが反則(コラプシング)を誘発!!
そして前半23分、低い姿勢から強烈なドライブで前進するHOランギが、ゴール前でのペナルティキック(PK)から猛進!!比類のない前進力で強引にトライをもぎ取り、ゴールも成功で試合を振り出し(7-7)に戻した。
前身のヤマハ発動機ジュビロ時代からセットプレーに強みを持つ静岡ブルーレヴズは、アークスに対してラインアウトモールで攻勢。前半26分にアークスのエリア左を攻略してトライを奪った。
ふたたび7点(7-14)のリードを奪われたアークスだが、この日はスクラム戦で優勢。スクラムで奪ったPKで敵陣に進攻すると、右ラインアウトからのサインプレーで、パスと見せかけて先発SHレイドローが防御を突破!!
抜け出した元スコットランド代表キャプテンをフォローしていたのは、豊富なスタミナで動き続ける元帝京大キャプテンのCTB本郷。相手のタックルを浴びながらも強力なレッグドライブ、巧みな身体の反転で、インゴールにグラウンディング成功。
ひとつのライン突破をトライに繋げ、コンバージョンキックは失敗も2点差(12-14)に迫った。
開幕を目前に控えた両チームは、高い集中力とフィジカリティで均衡した攻防を披露。
アークスはCTB石橋が元フランカーらしいカウンターラックで攻守交代を起こせば、好調のFL目崎啓志は絶えず大声でチームを鼓舞。
前半40分にラック脇の間隙を突かれて独走トライを許し、7点のビハインド(12-19)を背負ってハーフタイムを迎えたが、高いエナジーに逆転への期待は高まった。
アークスは後半最初から9人(FW6人、BK3人)を変更。
後半の序盤から始まったアークスの猛攻はノックオンで終わったが、相手8番(イシ・ナイサラニ選手)にHO藤村琉士が激しいタックルを浴びせるなど、途中出場メンバーが勢いを与えていく。
ここでアークスの強力スクラムが威力を発揮する。
後半7分のスクラム(自陣投入)で、PR竹内柊平、HO藤村、PRセコナイア・ポレを最前列に並べて強制PKを奪取!!スクラム自慢の静岡ブルーレヴズにプレッシャーをかけ、エリアを大きく前進した。
さらに5分後にも2度目のPK奪取。スクラム戦を制圧して敵陣左に入ったところで、後半13分に新加入の日本代表、ジェームス・ムーアが途中出場からアークスデビュー。
するとLOムーアは片手オフロードパスでいきなり突破を演出。CTB本郷のフィニッシュが生まれ、ゴールは失敗したものの、ふたたびビハインドを2点(17-19)に縮めた。
後半20分からはFL金正奎クラブキャプテンなど、一挙に11人を変更。
No.8(ナンバーエイト)リアム・ギルがいきなりのジャッカルで見せ場を作るが、反則が続いて後退したアークスは、後半31分に相手8番に押し込まれてトライを許し、ビハインドが9点(17-26)に。
アークスはすぐに反撃し、フルバックに入ったイズラエル・フォラウが豪快なキックカウンターで再三突破!!途中出場したSH湯本睦、SOオテレ・ブラックはハイテンポの攻撃を仕掛けた。
猛攻するアークスは最終盤、右隅でFBフォラウがダイナミックなステップで防御戦を突破。内側をフォローしていたWTB石井魁がトライを決めたが――。ここでフルタイムのホーンが鳴り、ゴール成功もスコアは届かず。24-26で2敗目を喫した。
2点差で敗れはしたが、トライ数は4トライずつ。結果的にコンバージョンキックの成功数が勝敗を分けた。
しかしロブ・ペニー監督は「多くの選手にゲームタイムを与えることができた」と手応え。あくまで1月8日に初戦を迎える本番、NTTリーグワン2022を見据えていた。