「主将リレー」からのロスタイム逆転劇!!
プレシーズンマッチで怒濤の5連勝
いよいよ来年1月に開幕する「NTTジャパンラグビー リーグワン」。
シャイニングアークス東京ベイ浦安にとっても、コベルコ神戸スティーラーズとの開幕戦が、いよいよ2022年1月8日(土)に迫ってきた。
アークスはここまで10試合中6試合のプレシーズンマッチを消化。毎試合メンバーを大きく入れ替えながらも、5勝1敗と勝ち越している。
そして12月11日(土)は7試合目。ディビジョン2所属の三菱重工相模原ダイナボアーズと激突した。
三菱重工相模原ダイナボアーズは練習拠点のある神奈川県相模原市に根づく地域密着型チーム。
トップリーグ(前リーグ1部)の経験があり、今後ディビジョン1に昇格する潜在力を秘めている。
そんな三菱重工相模原ダイナボアーズとの一戦は、3戦連続で、サポーターズ倶楽部会員限定抽選の当選者が来場する有観客試合となった。
アークスは新キャプテンのCTB(センター)シェーン・ゲイツが2試合連続の先発。
先週からのスタメン変更は6人(フォワード4人、バックス2人)。
フォワードでは宮崎県出身のPR(プロップ)竹内柊平、前シーズン共同キャプテンのLO(ロック)中島進護、愛称「DK」のFL(フランカー)栗原大介、そしてFLでは初出場となる2年目の坂和樹が先発に。
バックスでは業師のベテランSH(スクラムハーフ)西橋勇人、7人制代表のWTB(ウイング)羽野一志がスタメンに入り、穏やかな冬晴れの午後1時、キックオフを迎えた。
試合はSpoliveで生中継され、解説はチームOBでFWコーチ経験もある大内和樹・事業統括が担当。豊富なコーチ経験を活かした解説で紐解いた。
この日のアークスは得点機で苦しんだ。
まず前半3分にスクラムでのペナルティから自陣に後退すると、接点に走り込むアタックから突破を許し、三菱重工相模原ダイナボアーズが先制トライ。
7点を追いかけるアークスは、両FLの坂、栗原、WTBヘンリーブラッキンらが攻守にわたりくさびを打ち込むが、相手の好守に阻まれる。
Spoliveでは大内・事業統括が「中盤からのアタックはいいのですが相手陣の22mに入ってから2回連続でトライを取りきれていません」と解説。
前半15分には3度目の敵陣チャンスを失ったアークスだが、相手ボールになったところで、勢いをつけて飛び出したSH西橋がキックチャージ成功!!
こぼれ球を獲得し、9年目のチームマンがそのままインゴールに駆け込んだ。SO(スタンドオフ)オテレ・ブラックのゴール成功で、7-7の同点に戻した。
一気に勝ち越したいアークスだったが、三菱重工相模原ダイナボアーズは2連続のジャッカルを決めるなど堅守が光った。
前半23分にはラインアウトモールを巧みに押し込まれて2トライ目を奪われ、逆に7点のビハインド(7-14)を背負う。
アークスはFL坂が献身的にイーブンボールに飛び込んで攻守交代を起こし、前半38分に強烈スクラムでペナルティを奪取。
日本大の先輩後輩であるPR庵奥翔太とルーキーHO(フッカー)藤村琉士、PR竹内らフォワード陣が底力を見せるが、敵陣でボールを失う展開が続く。
得点機での精度に苦しみ、前半を7点差(7-14)のまま折り返した。
後半開始から数名の入れ替えがあり、約10か月ぶり実戦復帰という9年目のHO三浦嶺が、同期のPR上田竜太郎とピッチへ。新加入のLOカラム・マクドナルドも途中出場した。
するとLOマクドナルドが相手のラインアウトモールで絡みつき、攻守交代に成功!!愛称は「ビッグマック」という204センチの豪州出身ロックが躍動した。
スクラムのPK奪取から敵陣に入ったアークスは前半11分、No.8(ナンバーエイト)リアム・ギルが素早いピック&ゴーで豪快にトライ!!ゴール成功でふたたび同点(14-14)とした。
復調したアークスは後半22分、安定したスクラムからの波状攻撃で、SOブラックが鋭いロングパス。大外のWTBヘンリーに繋がり、最後はCTBゲイツ主将に戻して3トライ目をスコア。
5点(19-14)をリードしたアークスだが、後半34分には反則からの速攻を仕掛けられ再逆転を許す。
2点(19-21)を追いかける展開で、試合は最終盤に突入した。
逆転を狙うアークスだが、反則を犯してしまいエリアを後退。試合時間は残り2分。もどかしい時間が流れる。
と、ここで元帝京大のキャプテン2人が最高の連係プレーを見せた。
まずは守備に立った2020年度の帝京大主将であるCTB本郷泰司が、鋭いタックルで相手をすばやくダウン。
これにアークス初キャップ(初出場)だった途中出場のFL松本健留が反応。CTB本郷の1学年下の帝京大主将であるFL松本は、あうんの呼吸で動いていた。
「泰司さん(CTB本郷)が良いタックルをすることは大学時代から知っていますし、前に倒すだろうなと思いました。ディフェンスとアタックの枚数も合っていたので、『行くだろうな』と思ってすぐ反応できました」
CTB本郷の猛烈なタックルで倒れた相手に、ルーキーFL松本が絡みつく。現役大学生の古瀬健樹レフリーが笛を吹き、ノット・リリース・ザ・ボール(タックルされたプレーヤーがボールを放さない反則)のコール。
絶妙な「主将リレー」で攻撃権を奪ったアークスは、後半ロスタイム、逆転をかけてついに敵陣に入った。
ここで匠の技を見せたのが、元スコットランド主将のSHグレイグ・レイドローだ。
ボールを確保してアタックを続けるなか、パスのテンポを変え、相手ディフェンダーの出足を鈍らせる。
相手の守備ラインが受け身になったところでパスを出し、最後はLOジミー・トゥポウが突進!!
絶妙なフォワード攻撃から逆転トライを奪い、SHレイドローがコンバージョンキックを決めて26-21。見事な逆転劇でプレシーズンマッチ5連勝を飾った。