2点差制してプレシーズン5勝目!!
新戦力ブラック、フォラウはチーム初試合
来年1月開幕の「リーグワン」ディビジョン1に所属するNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安。
開幕が約1か月後に迫るなか、プレシーズンの「練習マッチ10番勝負」が12月4日(土)、折り返しとなる6試合目を迎えた。
前半はアークスが快調。後半はリコーブラックラムズ東京が猛追。
最後まで勝敗の分からない接戦の末に、プレシーズン5勝目を勝ち取った。
今回の相手は同じくディビジョン1に所属するブラックラムズ東京。2016年から8強に入り続けている強豪で、チームの一体感には定評がある。
そんなブラックラムズ東京との試合が先週に引き続き、サポーターズ倶楽部会員限定抽選の当選者(50組100名)が来場する有観客試合が行われた。
アークスの先発メンバーは、78-7で大勝した前戦から8人が変更された(フォワード4人、バックス4人)。
フォワードではPR(プロップ)庵奥翔太、平井将太郎、LO(ロック)ジミー・トゥポウが先発に入り、No.8(ナンバーエイト)には豪州代表経験のある2年目のリアム・ギルが今季初出場、初先発。
バックスにはチームデビュー戦となった新戦力が2人。
ニュージーランドとオーストラリアの合同大会(スーパーラグビー トランス・タスマン)で2021年に優勝を経験している26才のSO(スタンドオフ)オテレ・ブラックと、豪州代表で73キャップを重ねた32才のFB(フルバック)イズラエル・フォラウだ。
両センターもそろって変更となり、CTB(センター)トゥクフカトネが12番、新主将のシェーン・ゲイツが13番で今季初出場・初先発を飾った。
試合はSpoliveで生中継され、4年目の喜連航平が解説を担当。喜連は「ギル選手と金正奎選手は練習後にジャッカルやタックルの練習をしている」といった裏話を散りばめ、中継を盛り上げた。
序盤はそんなNo.8ギルが実力を示した。
ファースト・スクラムでの反則から自陣に下がったアークスは猛攻を受けるが、No.8ギルが窮地を救うジャッカル!!攻撃権を奪取した。
しかし先制点はブラックラムズ東京だった。
アークスはラインアウトが乱れて自陣脱出に失敗し、逆に相手がラインアウトモールを形成。アークスのモールが一部崩れて弱体化したところを押し込まれ、先制トライを奪われた。
アークスはここからの反撃が鮮やかだった。
まずは来日12年目のCTBトネが強力キャリーでロングゲイン。デビュー戦のSOブラックも的確なクロスキック(大外へのキックパス)で魅せる。
相手が反則を犯すと、SH(スクラムハーフ)湯本睦が得意の速攻。WTB(ウイング)としての先発となった7人制代表のヘンリーブラッキンが、左隅でトライを奪った。
グラウンドにどよめきが起きたのが前半15分。
同点(5-5)としたアークスは複層的な攻撃を仕掛け、エリア右でボールを受けたFBフォラウが、大きなストライドでタックルを外し、豪快な走法にグラウンドがどよめいた。
2対1を生み出したFBフォラウは、的確なパスで右隅のWTB石井魁の突破を演出。さらにフォローしていたCTBゲイツ主将に繋がり、2021年に日本代表にデビューした新主将が今季初トライ。12-5とリードを広げた。
アークスは守備でも粘り強かった。
序盤に先制トライを与えたラインアウトモールも防ぎ、相手FWによるハイテンポなピック&ゴーにも対抗。FL金正奎クラブ主将のジャッカルもあり、トライラインを死守する。
するとFBフォラウがキックカウンターからふたたび衝撃のプレー。
「15人制の試合は2019年の4月以来」(FBフォラウ)というが、ブランクを感じさせない豪快かつ鋭利なステップで、チェイスしてきた相手を後方へ置き去りにする。
この突破からフォローしていたNo.8ギル、最後はWTBヘンリーにつながり、豪州出身の3人で前半25分にチーム3トライ目を決めた。
さらに前半31分には安定したスクラムからSH湯本が右へ持ち出し、裏へグラバーキック。インゴールに転がすドンピシャのキックをWTB石井魁が押さえてチーム4トライ目が生まれた。
2分後に守備網の切れ目を突かれ、そのまま守勢となり前半34分にトライを返されるが、前半は26-12とリードして折り返した。
後半からはメンバーが一部変わり、SOブラックやFBフォラウがそれぞれSO松尾将太郎、FB安田卓平に変更。元スコットランド代表主将のSHグレイグ・レイドローも今季初出場となった。
アークスは後半スタートも好調だった。
SO松尾が活動的に移動攻撃を仕掛ければ、PR竹内柊平がピック&ゴーでロングゲイン。好調のCTB石橋拓也も巧みな突破でゴールに迫った。
しかし前半に続いてラインアウトが乱れ、得点機で相手にスティールを許してしまう。
直後の後半7分、ブラックラムズ東京が自陣ゴール前のラックでボールを失うミス。ここで守備体形の乱れを突いたCTB本郷泰司が、後半最初のトライ。SHレイドローのゴール成功で、リードを21点(33-12)に戻した。
ここからブラックラムズ東京が猛追した。約20分で3連続トライを決め、2点差(31-33)に迫ったのだ。
アークスもCTB本郷が相手のビッグゲインに反応してトライを防ぐ守備を見せるが、後半12分にはブラックラムズ東京が近場のFW勝負を制し、後半1トライ目。
4分後の16分にもふたたびラックサイドの攻防戦から相手がインゴールを奪い、ゴール成功で7点差(26-33)に。
さらに後半28分にはショートキックの再獲得からビッグゲイン。WTBヘンリーの好タックルで一度は失点を防ぐが、防御裏へのキックを押さえられて失トライ(ゴール失敗)。
ブラックラムズ東京が残り10分で2点差(31-33)とする見事なカムバックを見せた。
ただアークスには流れを押し返す地力があった。No.8坂がこぼれたボールに飛び込んで攻守交代を起こせば、スクラムでは強制ペナルティを奪って敵陣に侵入した。
そして後半ロスタイム、相手のキックミスにより敵陣チャンスが転がり込んだ。自軍投入のスクラムとなり、初戦から5試合連続でスクラム・トライを奪っているアークスのFW陣に見せ場がきた。
この重大局面のスクラムで、アークスは相手FWを後退させる強烈なスクラムを組み、ペナルティを奪取!!スクラム・トライ寸前だったが、仕切り直しとなり、奪ったペナルティからあえて同地点でのスクラムを選択。
すると今度はブラックラムズ東京も持ちこたえ、アークスはボールを展開。ここでブラックラムズ東京がインターセプトし、アークスはチャンスから一転、逆転負けの危機に。
しかし全員が懸命に戻ってディフェンスし、最後は相手の落球を誘ってピンチ脱出。奪ったボールを蹴り出し、息もつかせぬ大熱戦を33-31で制し、5勝目を手にした。