「選手層厚くなった」。
40分×3本の変則マッチで84得点!!
入団9年目のSH西橋勇人が試合後、総勢34人が40分×3本の練習試合で見せたパフォーマンスを振り返って、力強くこう言った。
「選手層はかなり厚くなっています。誰が出ても面白いシーズンになると思います」
リーグワン1部所属のNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安が、11月13日(土)、本拠地「アークス浦安パーク」に清水建設江東ブルーシャークスを迎え、プレシーズンマッチ4戦目を行った。
3部所属の清水建設江東ブルーシャークスは選手を広く募っているクラブチーム。経験値のある選手に加え、近年は強豪大学の主力、有力な海外出身選手も参加している。
昨シーズンは18年目の「最後のトップリーグ」のプレーオフ・トーナメントに参加。チーム力は確実に上向いている。
今回のアークスは先発15人+リザーブ19人という34名体制。先週の三重ホンダヒート戦から先発15人のうち8名 (FW4人、BK4人)が変わった。
先発に繰り上がったフォワード4人は、HO(フッカー)藤村琉士、LO(ロック)中島進護、FL(フランカー)目崎啓志、No.8(ナンバーエイト)坂和樹。
バックスの4人は、今季初先発のSH(スクラムハーフ)西橋勇人と、SO(スタンドオフ)松尾将太郎。
両WTB(ウイング)は共に初先発の張容興、石井魁の2人となり、快晴のアークス浦安パークで正午にキックオフを迎えた。
※清水建設江東ブルーシャークス戦のメンバーはこちら!!
40分×3本の変則マッチで、アークスは開始早々にスタートダッシュを決めた。
2分のファーストスクラムで相手に反則があり、ここで今季初先発のSH西橋が速攻。SpoLiveでリアルタイム実況をしていた喜連航平もすかさず「バシさん(西橋)は速攻が得意」と解説を加えていた。
アークスはSH西橋のクイックスタートから敵陣奥に侵入すると、左隅でフィニッシャーとなったLO目崎が相手を吹き飛ばす突進!!そのまま豪快なトライ(ゴール失敗)を決めて5点を先制した。
今季初先発したSH西橋の速攻からモメンタム(勢い)を生み出し、得意の展開力、フィジカリティで仕留めてみせた。
ディフェンス面では昨季は共同主将も務めたLO中島が獅子奮迅。豊富な活動量で好ディフェンスを連発する。
しかしラインアウトモールの攻防で苦戦を強いられると、12分には相手FWの突進を止められず失トライ。アークスも武器のスクラムを土台として反転攻勢し、23、31分にWTB張容興が連続トライ。
スタンドオフ松尾のパスワーク、この日はFB(フルバック)での先発となった前田土芽のランがそれぞれのトライを演出し、17-5と突き放した。
直後のキックオフでは、LO金嶺志が相手を宙に吹き飛ばすボールキャリーを見せれば、SO松尾は窮地を救うインターセプト。SH西橋はスクラムからのサイドアタックで抜け出してビッグゲインを見せた。
するとこの日今季初先発のWTB石井魁が42分(ロスタイム)に、キックカウンターからスキルを発揮。
防御裏へのショートキック&ドリブルから見事にボールを再獲得し、個人技で前半最後のトライを相手インゴールに沈めた。
1本目を24-5で終えたアークスは、メンバー変更なしで2本目の40分へ。
アークスは5分、相手ゴール前のスクラムで猛然と押し切り、いきなりのスクラム・トライ!!この日スクラムは試合全体を通して優勢を保っていた。
しかし良いポジショニングで波状攻撃を行う清水建設江東ブルーシャークスも11分にトライを奪取し、ビハインドを21点(10-31)に。
さらにゴール前に押し込まれるアークスだが、ラインアウトで競り合い見事なスティール!!
ボールを奪ったアークスはLOジミー・トゥポウ、2戦先発のF斉田倫輝がキャリーでゲイン。直後にキックカウンターを受けるが、ここはチームで唯一開幕からスタメンのCTB本郷泰司がパスカットして危機脱出。
自陣での苦しい時間帯をしのいで30分頃、ようやく自陣を抜け出した。
敵陣に入ったアークスはラインアウトから攻撃開始。
LOトゥポウ、途中出場のNo.8ブロディ・マカスケルが身体を当てると、SH光井勇人のパスアウトから逆目攻撃と見せかけ、死角から走り込んだFBシルヴィアン・マフーザが突破。
複雑なステップで守備網を切り裂き、32分、南アフリカ出身のユーティリティBKが強くしなやかなトライを決めた。
FBマフーザは1トライを返された45分、途中出場のWTB小泉将のトライを演出。厚い選手層で2本目を43-15で終えた。
この日最大の41得点を叩き出したのが3本目の40分だった。
スクラムはPR(プロップ)上田竜太郎、HOセコナイア・ポレ、PR平井将太郎のFW第1列で10分、今日2回目のスクラム・トライ!!
その後1本ずつトライを獲り合って53-20となったが、17分にはLO中島がキックオフボールをキャッチして猛攻。WTB山田章仁のノーホイッスルトライが生まれた。
ニュージーランド出身のHOポレは密集戦でモールをもぎ取れば、ライン参加では巧みなパスを見せるなど技巧派ぶりを披露。
フルバックとしてキャリアを築いてきた同志社大卒の安田卓平はスタンドオフに入り、安定感あるプレーで27分のFBヘンリーブラッキンのトライをアシストした。
27、31分の連続トライで得点はついに70得点に(72-20)。
ここで技術力の高いアークスらしいトライが生まれる。
37分、ショートサイドでPR上田→PR斉藤→HOポレというフロントロー(FW第1列)3人がパスを繋いで、WTB張のトライをお膳立て。
全員のスキルが高いアークスらしい得点でさらに突き放すと、3本目のロスタイム、SO安田の突破から最後はWTB鶴田諒が14本目のトライ。3本合計で84-20という大勝でノーサイドとなった。
試合後にはラグビーらしいノーサイドの光景が。元アークス戦士で、2本目から先発したガース・エイプリルらと選手が談笑する姿があった。
これでプレシーズン序盤の4連戦が終了。
次回は一週間を挟んで、11月28日(日)、東京・江東区夢の島競技場で、クリタウォーターガッシュ昭島と5戦目を戦う。
いよいよ足音が聞こえてきた2022年1月のリーグワン開幕。チーム史上初の4強、そしてその先へ。いまは着実に歩を進めていく。