敵地で激しい雨中戦!掴んだ1点差の“薄氷勝利”。トップリーグ第6節
第6節を迎えた国内最高峰「トップリーグ2020」。
3勝2敗で総合7位(勝点15)につけるNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(以下アークス)。
2月22日(土)は、三重・鈴鹿市(三重交通Gスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場)で、2勝3敗で9位(勝点10)のHonda HEAT(以下Honda)と対戦しました。
会場の三重交通グラウンドはHondaの本拠地であり、相手にとっては地元で負けられない一戦。
Hondaは近年着実に力をつけており、今季はここまで3敗しているものの、クボタに第2節で2点差(21-23)、東芝には第3節で9点差(23-32)など好勝負を繰り広げています。
敵地に乗り込んだアークスは、フランカー(FL)金正奎キャプテンのもと、今季4勝目を目指します。
先発メンバーでは、7人制韓国代表のスター、ウイング(WTB)張容興が今季初先発。
先発で唯一ルーキーのフルバック(FB)安田卓平は、2戦連続のスタメンとなりました。
Honda戦の出場メンバーはこちら!
パラつく程度の小雨のなか、午後1時にHondaボールでキックオフ。
前節でアークス指揮官のヒュー・リースエドワードHC(ヘッドコーチ)は「スロースタートはこのチームの課題」と語りましたが、この日も先制は相手チームでした。
前半4分に自陣で反則(オフサイド)を犯してしまい、相手がペナルティーゴール(PG)。Hondaが3点を先制します。
しかしアークスも反撃。狭いサイドで細かいパスをつなぎ、突破を繰り返します。
ファーストスクラムでもHondaの重量FWにプレッシャーをかけ、ラインアウトではFLヴィリー・ブリッツが、相手ラインアウトの投入ボールをスティール!
攻勢ムードが高まりますが、雨脚が強くなったこともありエラーが続き、相手インゴールに近づくことができません。
アークスは雨中戦であっても、自陣深くから積極的にボールを展開。
センター(CTB)シルヴィアン・マフーザからWTB石井魁とつなぎますが、相手に追いつかれ、ここはトライならず。
すると前半32分、Hondaはキックカウンターからチャンスメイク。
相手10番のクロスキック(エリア大外へのキック)を捕球され、アークスのフッカー(HO)マルコム・マークスが片手で懸命に相手を止めるものの、ボールをつながれて失トライ。0-10
さらに3分後には反則(オフサイド)により相手がPG成功。13点ビハインドの展開となります。
しかしアークスも前半終了間際に反転攻勢。
オーストラリア代表のスタンドオフ(SO)クリスチャン・リアリーファノの内返しで、ロック(LO)ジミー・トゥポウが突破。
オフロードパスを受けたCTBマフーザが独走トライを決めますが、ここはビデオ判定の結果、スローフォワードがあったとしてトライならず。
前半ロスタイムには相手ゴール前スクラムでプレッシャーをうけてしまい、痛恨のボールロスト。得点を奪えないまま、前半を0-13のまま折り返しました。
ただアークスは前半無得点ながら、手応えを掴んでいました。
「マイボールでゲインもできていたし、チームはポジティブでした。悪い雰囲気ではなかったです」(プロップ(PR)庵奥翔太)
アークスは後半2度目のスクラムで、この日初めて反則(コラプシング)を奪うなど、セットピースでも反撃。
しかしホームのHondaも激しくファイトし失点を許さず。見応えのある攻防が続きます。
敵陣ゴール前に居座るアークスは、FWユニットが再三ボールキャリー。
相手の反則が重なり、ペナルティキック(PK)からナンバーエイト(NO8)アマナキ・レレイ・マフィが果敢に突進。Hondaも敵ながら素晴らしいディフェンスでインゴールを割らせません。
しかし突破口は後半16分。
ゴール目前でスクラムハーフ(SH)湯本睦から突進するCTB池田悠希へ矢のようなパス!
東海大仰星高-東海大からの先輩後輩コンビがトライが生み、ゴール成功で7-13!ついにビハインドを5点に縮めました。
アークスの猛攻は止まらず、後半22分にはHondaが反則の繰り返しにより20番の選手がシンビンに(10分間の一時退場)。
14人のHondaに敵陣で重圧をかけ続け、後半29分にはHOマークスがトライライン上の攻防を制し、チーム2トライ目!
SOリアリーファノがトライ後のコンバージョンキックで2点を追加。ついに14-13と逆転に成功しました。
残り時間は約10分で、リードはわずかに1点。
アークスは攻守交代からWTB石井魁のキック&チェイスで敵陣へ。しかし連続攻撃でFLブリッツがディフェンダーに対する危険なプレーにより、今季チーム初のレッドカード(退場)。
1点リードの状況で、残り約8分を14人で戦う展開に。
スクラムを7人で耐えたFW陣、途中出場のSH鶴田諒が好キックなどで、なんとか敵陣でのプレーを続けるアークス。
残り時間は5分。
フロントロー(FW第1列)は全員交替し、マイボールラインアウトから強固なモールで前進!FWユニットによる近場攻撃を続けます。
残り時間とプレイヤー数を考えれば、ボールを保持しての近場攻撃が上策。
アークスはセオリー通りにしぶとく身体を当て、じりじりと前進しながら時間を使います。
そして、フルタイムのホーン。
SH鶴田からボールを受けたSOリアリーファノが大きくボールを蹴り出し、ノーサイド。
敵地の雨中戦という難しい状況で、14人のアークスが逃げ切り、14-13で今季4勝目を掴みました。
この試合のマン・オブ・ザ・マッチ(最優秀選手)は、今季2度目の受賞となる2年目のCTB池田。
勝利の結果、アークスの順位はさらに上昇し、総合5位(勝ち点19)となりました。
次戦の第7節は2月29日。全勝のパナソニック ワイルドナイツへ立ち向かいます。
ヒュー・リースエドワードHC(ヘッドコーチ)の声

今日は前半にたくさんのチャンスがありましたが、トライを獲り切れませんでした。そこが今回の学びです。獲れていれば、スコアの見栄えも良かったと思います。
ただ前半を0-13で折り返して、最後は14-13で勝ち越すことができました。
14人でも最後の数分間、ボールを持ち続けることができた。勇気のある姿勢を見せられました。今後へ向けて、ポイントを重ねることができて良かった。
FL 金正奎選手の声

勝って学べることは何より良いことです。前回の試合で大勝して、今回は苦戦し、簡単ではないことを学びました。
もう一回、自分達が今まで何をしてきたかを振り返り、準備をして、足元を見直したいと思います。
試合内容としては、綺麗な勝ち方ではありませんでしたが、勝利を信じて戦いました。ノンメンバーにも感謝したいと思います。
PR 庵奥翔太選手の声

――今日のスクラム戦を振り返ってください。
Hondaさんも個々の力があるのは分かっていたので、準備してきました。ただ前半最後の一本のスクラムで、相手に付き合ってしまって押されました。
その後、後半は修正でき、良いスクラムも組めました。そこはポジティブに捉えて良いと思います。前半最後に押されたことを来週のうちに修正したいと思います。
――スクラムの対面は、昨年の日本代表だった具智元選手でした。
具選手は一個下で、大学の時から僕が日大の1番、具選手が拓殖大の3番で、毎年組んでいました。
――当時と比べて手応えは変わりましたか?
良い感じでした。いつもは劣勢になっていましたが、今は2、3番が良いプレイヤーでもあるので助けてもらいました。自分の力を100%出すことに集中していました。
――今日は前半をリードされましたが、雨の中でFWも奮闘して、逆転勝利を掴みました。
前半に得点を取られるのはいつも課題ですが、ポジティブに言えば、負けていたとしても後半でひっくり返せる強さもあると思っています。
来週はパナソニックさんと戦います。ここで(全勝の)パナソニックさんを止めるのは僕らだと思っています。応援をよろしくお願いします。
FB 安田卓平選手の声

――先週のトップリーグデビューから2戦連続の先発となりました。どんな試合だったでしょうか?
雨でなかなかボールを回せないなか、僕たちバックスよりも、フォワードが頑張ってくれて勝てたかなと思います。
――ご自身のプレーはいかがでしたか?
ボールをもらう機会は少なかったですが、ボールを持てればフィジカルの部分でも戦えているので、そこは良かったです。
――雨の日の戦い方として、フルバックとして意識をしていたことは?
絶対にキックが多くなるので、キック処理の部分でミスをしないことでした。ミスをすると自陣からなかなか出られなくなるので、そこはまず意識していました。
――ルーキーですが、トップリーグで通用している場面はありますか?
トップリーグのフィジカルはもちろん強いですが、戦えるところは戦えています。パスやキックの判断は良くなってきています。そこの精度をしっかり高めていきたいと思います。
――最後にファンの皆さまへメッセージをお願いします!
チームも自分自身も、成長している途中だと思います。しっかりファンの皆さんに成長した姿を見せて、勝利を届けられればと思います。応援どうぞ宜しくお願いします。