夢の島でトライ祭り!今季チーム最多得点で3勝目!トップリーグ第5節
元南アフリカ代表のヒュー・リースエドワードHC(ヘッドコーチ)は、チーム一丸の勝利だったと振り返りました。
「ここまでの大差になるとは思っていませんでした。ノンメンバーも含めて、全員の努力が実りました」
第5節を迎えた国内最高峰「トップリーグ2020」。
2勝2敗のNTTコミュニケーションズ シャーニングアークス(以下アークス)は2月15日(土)、東京・江東区夢の島競技場で、同じく2勝2敗の宗像サニックスブルーズ(以下宗像サニックス)と対戦しました。
第2節サントリー戦、第3節クボタ戦で惜敗した2勝2敗のアークスにとっては、なんとか勝敗を白星先行に戻したい状況。
しかし宗像サニックスは昨年12月の練習試合、21-14で勝利したものの、出足の速いディフェンスに苦しんだ相手です。
上り調子の相手に対し、気合いを入れて必勝態勢で臨みました。
舞台は東京・新木場駅を最寄りとする江東区夢の島競技場。地元の千葉・浦安からも近く、ホームファンの声援が後押しになりました。
そして今回は、サポーターズ倶楽部有料会員限定で、選手入場をピッチで見送る「花道ガールズ」を初実施!
これまで小学生以下の児童を対象にした「花道キッズ」はありましたが、今回はバレンタインデーの翌日ということもあって初の女性限定開催。
厳正なる抽選により、約6倍という高倍率から選ばれた30人の女性ファンが、両軍選手をピッチで送り出しました。
そしてこの日は、トップリーグ初キャップを獲得したルーキーが3名!
中学・高校・大学と同志社ひと筋のキャリアを積んできた、フルバックの安田卓平。
秋田で育ち能代工業-明大と進んだプロップの齊藤剣。
東福岡、明大でそれぞれ日本一を経験しているスタンドオフの松尾将太郎。
いずれも先発や途中出場から存在感を示し、層の厚さを見せてくれました。
(宗像サニックス戦のメンバー表はこちら!)
2月ながら温暖な気候に恵まれ、メインスタンドもほぼ満席。好条件のなかで午後1時にキックオフした試合で、序盤のアークスは防戦に回ります。
前半7分には日本代表のナンバーエイト(NO8)アマナキ・レレイ・マフィが、故意の反則によりシンビン(10分間の一時退出)。
14人での戦いを強いられ、この反則により宗像サニックスはペナルティーゴール(PG)で3点追加。
3分後には元アークスのNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコの活躍もあって失トライ。8点を追いかける展開になりました。
ところが、ここからアークスのトライラッシュが開始!
前半18分には2015年W杯日本代表のウイング(WTB)山田章仁が突破。華麗なオフロードパス(タックルを受けながらもパス)で、ロック(LO)の中島進護のゲインをアシスト。
最後は運動量豊富なフランカー(FL)金正奎キャプテンへボールがつながり、チーム初トライ!
14人で反撃の狼煙を上げ、ゴールも成功して1点差(7-8)に迫ります。
NO8アマナキが10分間の退出から戻り、15人になったアークス。
ここで南アフリカ代表のフッカー(HO)マルコム・マークスが十八番のジャッカル!(ラック成立前にボールを奪うプレー)。
さらに相手の反則から敵陣右ゴール前に進撃すると、アークスはフォワード一丸のラインアウトモール!
相手をいなしながら前進し、最後尾のHOマークスが逆転トライ! 12-8と勝ち越しました。
アークスの勢いは止まらず、前半25分にはエリア左の数的優位を、東海大卒のWTB石井魁が快足を飛ばしてチーム3トライ目!17-8
前半30分には反則によりPG加点(3点)を奪われますが、以降は宗像サニックスの得点はなし。
失点の1分後には、相手ゴール前のパスをスクラムハーフ(SH)湯本睦がインターセプト!そのまま直下のインゴールに押さえ、敵も味方も驚く鮮烈なトライ。24-11と引き離します。
「12月の宗像サニックスとの練習試合で、相手は(アタックラインの)後ろに詰めてくるDFでした。今日は後ろのプレイヤーへの圧力を避けることができたので、練習試合よりも良いアタックができました」(センター(CTB)石橋拓也)
苦戦した練習試合の反省も活かし、アークスはさらに怒濤の攻めを見せます。
NO8アマナキ、HOマークスの連続ジャッカルも飛び出すなど、堅守を続けて失点を許しません。
前半終了間際の39分には、トップリーグデビューのフルバック(FB)安田が、左隅の無人エリアに絶妙なキック。
ルーキーらしからぬ冷静なテクニックから、チェイスしていたWTB石井が捕球して難なくトライ(ゴールは失敗)。
5連続トライで29-11となり、優勢のまま後半へ向かいます。
この日のアークスは、前半からスクラムも優勢。
後半4分には敵陣ゴール前のスクラムを押し、NO8アマナキがサイド攻撃からインゴールへ。戸田京介レフリーが攻防に巻き込まれながらもトライのコール!36-11
さらに4分後にはCTBマフーザが、蹴り返したボールをチェイス。全力疾走をしながら下のボールを捕球する好プレーから、華麗な独走トライ!ゴール成功で43-11と引き離します。
「今日はコーチが『やってほしい』と提示されたものが出せたと思います」(CTBマフーザ)
さらに後半16分にはHOマークスがこの日自身2トライ目!ふたたびラインアウトモールでスコアしました。ゴールが決まり、得点は50得点の大台に!
さらに後半27分には途中出場のロスアイザックが突進し、こぼれたオフロードパスをFL金キャプテンが捕球して今季自身4トライ目!
後半33分にもスクラム勝負と見せかけて、NO8アマナキが右へ持ち出して豪快にグラウンディング!得点板のスコアはついに60-11に。
後半38分にはゴール前のオフロードパスを受けた途中出場のプロップ(PR)平井将太郎がグランディングして、記念すべきトップリーグ初トライ!
こちらも途中出場のスタンドオフ(SO)松尾将太郎のゴールも成功して、リードは56点(67-11)。
さらにロスタイムでは、途中出場のSH鶴田諒の突破から、NO8アマナキがライン突破。相手ディフェンダーと1対1になると防御裏へキック。
みずから捕球する好プレーを見せて、ハットトリック(1試合3トライ)を決めてチーム12トライ目!SO松尾将太郎のゴール成功で、怒濤のトライラッシュの幕が閉じました。
もちろん3トライ差以上のボーナスポイント「1」も獲得し、1試合の最大勝ち点「5」をゲット。HOマークスは今季2度目のマン・オブ・ザ・マッチ受賞となりました。
今季チーム最多得点で3勝目を挙げて、総勝点15としてリーグ7位に浮上。ファンの声援に、ビッグスコアの勝利で応えました。
ヒュー・リースエドワードHC(ヘッドコーチ)の声

ここまでの大差になるとは思っていませんでした。一週間を通してポジティブな態度で練習に取り組み、チャレンジしていたことが理由だと思います。
パスを回してランをする、という自分達のスタイルを貫こうという気持ちで挑み、それが実行できていました。選手を誇りに思っています。
フィールド内外でチームが努力していました。ノンメンバーも含めて、全員の努力が実ったと思います。
――最初の10分間はサニックスの時間になりました。
スロースタートが自分達の課題で、序盤でエラーを重ね、有利な状況を作られています。今日も最初の10分間で5回のターンオーバー(攻守交代)がありました。
ただボールを保持して自分達のスタイルを貫くことができると、このように変わるということは分かっています。
FL 金正奎選手の声

素晴らしい準備ができ、それが試合の結果に表れました。リース(エドワードHC)が言ったように、メンバー・ノンメンバー関係なく、全員がポジティブに素晴らしい準備ができました。
特にノンメンバーのチームに対する貢献が素晴らしいです。彼らが研究したことを練習で見せてくれたので、僕らは遂行するだけでした。
こうした準備を毎週続けていけば素晴らしい結果がついてくると思うので、これからも良い準備をしていきたいと思います。
CTB シルヴィアン・マフーザ選手の声

――先発出場した今日の試合を振り返ってください。
すごく良いゲームで、試合を通して自信がついたと思います。準備してきたことが出せました。準備力が高かったので計画が遂行できたと思います。
――インターセプトやトライがありました。自身のプレーはいかがでしたか?
コーチが自分にやってほしいと提示されたいたものが出せたと思います。
13番、15番でプレーしていますが、両方のポジションが好きです。ボールタッチの回数が多いですからね。両方のポジションをこなしていくことが自分のチャレンジです。
――共にプレーした小倉順平選手がサンウルブズ(スーパーラグビーの日本チーム)でプレーするためチームを離れました。メッセージをお願いします。
とても寂しいです。(小倉)ジュンペイの声はフィールドに必要なものでした。彼のリーダーシップがなくなり寂しいですが、彼はそのリーダーシップを次のチームに活かしてくれるでしょう。サンウルブズでの新しい挑戦を応援しています。
SO 松尾将太郎選手の声

――途中出場からトップリーグ初キャップを獲得しました。
点差が開いてからの出場で、細かい部分の修正をしたいと思ってプレーしました。
アークスはボールを展開してダイナミックに走り込んでトライをする、というチームなので、今日はそうしたラグビーが見せられたと思います。
前半から先輩達がお手本を見せてくれていました。僕もやるだけ、という感じで、持ち味は出せたのかなと思います。
――リースエドワードHCが練習での積極性を賞賛していました。
ポジション柄チームを引っ張る存在だと思いますし、グラウンドに出れば10番が司令塔だと思うので、常に練習からリーダーシップを発揮することを心掛けています。
――同じスタンドオフの小倉選手が退団し、サンウルブズでの挑戦を始めます。
順平さんは「サンウルブズに行く」と連絡してくれていました。チームのことも話して、頑張らないといけないなと思いました。
順平さんは目標としていた存在で、半年と少しの間でしたが、レベルアップさせてもらいました。順平さんと同じレベルでプレーできるように頑張っていきたいです。
――松尾選手の活躍を期待するファンの方々へメッセージをお願いします。
ようやくファーストキャップを獲得して、これからが自分のスタートです。細かいことをこだわり、勝利に貢献できればと思います。
CTB 石橋拓也選手の声

――今日の試合を振り返ってください。
今日は自分達のやりたいプレーができたので、この点数を重ねることができたと思います。
――宗像サニックスとの練習試合では苦戦していました。
練習試合では後ろのプレイヤーに詰めてくるディフェンスでした。それを上手く回避できれば、自分達のラグビーができるので、今週はそこを意識しました。
後ろのプレイヤーへの圧力を避けることができたので、練習試合よりも良いアタックができました。
――フォワードの奮闘もありました。
今はフォワードのセットプレー(スクラム、ラインアウトなど)のクオリティが高いので、バックスとしては助かっています。
――同期入団である小倉選手がサンウルブズで挑戦することになりました。
自分が一番仲が良いと思っていて、シーズンに入った頃には相談がありました。ビックリはしましたけど、順平はチャレンジが好きなやつなので自分は納得しています。ただ一緒にできなくなるのは残念だし、寂しくなります。
――最後に、今後のアークスへの意気込みをお願いします。
順平が退団して心配もあると思いますが、残されたメンバーもすごく頑張っていますし、下からの圧力も感じます。誰が出場しても同じような結果を残せると思います。引き続きご声援をよろしくお願いします。