W杯会場で決めた今季2勝目!岩手・釜石でArcs Attack炸裂
6月に火蓋が切られた「トップリーグカップ2019」(以下カップ戦)プールBで、1勝1敗のNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(以下アークス)。
グループ首位4チームによる決勝トーナメントを目指すアークスは、0勝2敗の九州電力キューデンヴォルテクス(以下九州電力)と対戦。
トップリーグ下部のトップチャレンジリーグ所属ながら、猛練習を積んで勢いのあるチームです。
この日の舞台は、ラグビーW杯2019日本大会の会場である岩手・釜石の鵜住居復興スタジアム。
2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた鵜住居地区に、W杯へ向けて新設された唯一のスタジアムとして誕生。
この日は仮設席を加えた1万6000席の完成直後。大型スクリーンなどは今後整備されますが、おおよその外観が出来上がったタイミングとなりました。
この日のスタメン15人は、まずFW(フォワード)が以下の通り。屈強で頼りになるLO中島進護が、今季カップ戦で初先発です。
【FW】PR庵奥翔太/HO三浦嶺/PR三宮累/LO中島進護/LOロスアイザック/FL山下弘資/FL金正奎(キャプテン)/NO8ヴィリー・ブリッツ
続いてBK(バックス)。ベテランの技巧派・鶴田諒、強靱なフィジカルを持つWTB池田悠希がカップ戦初先発です。
【BK】SH鶴田諒/SO小倉順平/WTB石井魁/CTB石橋拓也/CTBブラッキン・カラウリアヘンリー/WTB池田悠希/FB張容興
リザーブは以下の通り。
ルーキーの齊藤剣は、この日のメンバーで唯一の東北出身者(秋田・能代工業)。
同じく1年目の前田土芽、安田卓平と共に途中出場し、ルーキー3人がカップ戦に初出場を果たしました。
【Re.】山口達也/齊藤剣/平井将太郎/金嶺志/目崎啓志/湯本睦/前田土芽/安田卓平
(九州電力戦の出場メンバーはこちら!)
震災で全壊した小中学校の跡地に建てられた鵜住居スタジアムは、ときおり小雨の降るコンディション。
午前11時30分キックオフの試合で、アークスはいきなりキックオフボールを確保。ボールの再獲得を狙うキックを続け、相手インゴールに迫ります。
しかしファーストスクラムでの反則から自陣に後退すると、前半5分、相手ラインアウトでの混戦から一瞬のスキを突かれ、失トライ。7点を先制されます。
前節にFL金正奎キャプテンが課題として挙げていた「前半のクオリティー」。
今回も先制される形になりましたが、ここからアークスは5連続トライ。完全にペースを掌握し、序盤のつまずきを取り返しました。
前半10分にはWTB池田がインターセプトから独走トライ。
同16分には相手スクラムを完全にドミネート(制圧)。ボールを奪って左展開し、WTB石井魁が快足を飛ばしてチーム2トライ目!
スクラムからトライを生み出す展開で、12-7と逆転に成功します。
しかしアークスはここから反則が続いて自陣に釘付け。相手が「獲り切ろう」と盛り上がります。
アークスはここで堅守を続け、カップ戦初先発のLO中島進護がラックでボールハントを見せるなどし、ピンチをしのぎ続けます。
すると前半26分、SH鶴田が特大のハイパントを上げると、ラックに殺到して見事なターンオーバー。
すぐに左展開し、SO小倉が裏へグラバーキック。反応していたFB張が押さえてトライ!リードは10点(17-7)に広がります。
前半29分にはパワフルランナーのFL山下が、左隅に滑り込んで豪快にトライ!24-7
そして前半最大の見せ場はハーフタイム終了間際。
敵陣ゴール前でのマイボール・スクラム。前節の再現となるスクラムトライを奪いたい場面です。
相手も必死の抵抗を見せるなか、完全に優勢となったスクラムで、まずは組み直しのあとでPK奪取。
さらにもう一度スクラムを選択するこだわりを見せ、ここでも強烈なプッシュ!
2度目のPK獲得。ここでレフリーは反則でトライを防いだと見なし、“ペナルティ・トライ"のコール!コーチから「ナイススクラム!」の声が飛ぶなか、31-7で前半を折り返します。
後半のアークスはロケットスタート。
SH鶴田のショートサイドへの巧みな配球から、フォローの名手であるFL金キャプテンがインゴールへ。
左隅に後半最初のトライを決め、36-7とします。
【途中入替/後半5分】HO三浦嶺→山口達也/FB張容興→安田卓平
【途中入替/後半10分】PR庵奥翔太→齊藤剣/PR三宮累→平井将太郎
しかしここからハイタックルなどの反則が続き、アークスは一気に自陣へ。
FL金キャプテンが飛び込んでイーブン・ボールを確保するなどしますが、それでもモメンタム(勢い)は九州電力。防戦が続きます。
【途中入替/後半22分】FL金正奎→目崎啓志/SO小倉順平→前田土芽
すると後半22分、相手新加入の外国人選手に突破を許して失トライ。43-12
立て直したいアークスは、キックオフのミスで迎えたセンタースクラム。
ここで強烈なプレッシャーをかけ、こぼれ球をSH鶴田が敵陣に蹴り込みます。ドリブルしたボールを巧みにインゴールへ転がすと、飛び込みながらグラウンディング成功!
SH鶴田のトライで、流れを引き寄せます。
【途中入替/後半26分】SH鶴田諒→湯本睦
さらに後半27分、10番の位置に入ったCTBカラウリアヘンリーが、移動攻撃からNO8ブリッツへ超ロングパス。
これを入団5年目のエイトマンが決め、スコアはついに50点の大台(53-14)。
【途中入替/後半30分】LOロス アイザック→金嶺志
アークスはPR齊藤の突進、LO中島のハードワークなど個々人が光るプレーを見せ、後半35分には相手ゴール前でラインアウトモール。
ここで最後尾についた山口のパスを受け、鋭くインゴールへ走り込んだのは前田。
ルーキー同士のコンビネーションで5点を奪い、さらにこちらも1年目の安田がコンバージョン成功。
ルーキー3人が得点に絡み、スコアは60―14に。
【途中交替/後半37分】安田卓平→張容興
終了間際の後半38分にはWTB石井魁がこの日自身2トライ目を決め、67得点の大勝フィニッシュ。
最終盤はターンオーバーが連続する消耗戦となり、アークスは自陣ゴール前まで下がりますが、失点を防いでノーサイド。
W杯日本大会の会場で、ボーナスポイント付きの勝点「5」を獲得する、最高の成果を上げました。
マン・オブ・ザ・マッチには、攻防で激しく身体を当て、後半27分にはトライも奪ったNO8ブリッツが選出されました。
次戦は難敵のヤマハ発動機ジュビロ。
昨季までトップリーグ4強の一角として存在感を放ち、スクラムなどのセットプレーが武器。
大一番は7月13日(土)、相手の本拠地、静岡・ヤマハスタジアムが舞台。絶対に負けられない一戦。熱い声援をよろしくお願いします!