寒波のなか敵地でNECとトレーニングマッチ。
スクラムでは収穫も守備網に乱れ。
第11節キヤノンイーグルス(以下キヤノン)戦を翌日に控えた12月8日(金)、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(以下アークス)が、千葉県我孫子市にあるNEC我孫子グラウンドで、NECグリーンロケッツ(NEC)と練習試合を行いました。
この日対戦したNECは、2017年度シーズンのリーグ戦での対戦予定はなく、今シーズンの初顔合わせ。
NECのトップリーグ過去最高成績は2004年度、2005年度の3位。日本選手権を3度制覇したことのある古豪です。
今年は日本代表を経験しているSH茂野海人(→トヨタ自動車)、SO田村優(→キヤノン)ら一部の主力選手が退団しましたが、第10節終了時点でホワイトカンファレンス4位(5勝5敗)につける奮闘を見せています。
敵地の練習グラウンドに乗り込んだアークスは、翌日にトップリーグ公式戦(キヤノン戦)を控えるなか、多くのメンバーが実戦経験を積みました。
この日はこの冬最強クラスの寒波に見舞われ、木々に囲まれたNEC我孫子グラウンドは底冷えのする寒さ。見守るスタッフも防寒が必須の練習試合となりました。
この日のゲームキャプテンはN8山下弘資。またリザーブメンバーには、南アフリカ代表やライオンズ(スーパーラグビー)で今季大忙しだったSO/CTBエルトン・ヤンチースが入りました。
午後12時45分、辻原潤一郎レフリーの笛でキックオフ。
まずNECのキックオフボールを確保したアークスは、自陣から大きくボールを左右へ動かします。
しかしキックを相手陣へ放り込んだのち、FW第1列やハーフ団に狙いを定めるNECの攻撃をシャットダウンできずに突破を許し、そのままインゴールを奪われ前半2分に失トライ(ゴール成功)。0-7となります。
この日のアークスはディフェンスに関するリアクションのスピードで遅れをとり、2分後にもひとつのラインブレイクでインゴールを割られ、相手のゴール成功で0-14。
前半10分にも反則から自陣に攻め込まれると、ショートサイドの防御で粘れず失3連続トライ(ゴール失敗)となってしまいます。
PRレイルア マーフィーが好タックルを見せれば、LO金嶺志がジャッカルでボールを奪うなど、随所で好守も見せるアークス。しかしペナルティからのラインアウトでミスが起こるなど、チャンスを活かすことができません。
斉藤展士スクラムコーチが収穫として挙げたのは、この日互角以上に戦ったスクラム。FW第1列にPR楢山直幸、HO種本直人、PRレイルア マーフィー。両ロックに杉浦直人、金を並べ、この日2本目となったスクラム(相手ボール)では重圧をかけて見せ場を作ります。
【選手入替/前半21分】CTBフランクリン・カルゲイ→エルトン・ヤンチース
しかし前半22分にはその相手ボールスクラムからNECがアタック。防御網に穴を開けられ失トライ。さらに前半28分にも相手ハイパントのキャッチミスを相手が捕球し、そのままタッチライン際を破られインゴールを明け渡してしまいます。G×0-31。
【選手入替/前半30分】WTB髙悠也→フランクリン・カルゲイ
【選手入替/前半37分】SH湯本睦→西橋勇人
結局前半は38分にもラインアウトモールからトライを奪われ(ゴール失敗)、ビハインドは36点に。
アークスも前半終了間際、アタックの連係が噛み合い、敵陣で速いテンポの攻撃を見せます。
フランクリン・カルゲイの突破からサポートしていたSH西橋勇人が相手インゴールに迫りますが、パスがつながらず攻撃中断。前半を0-36のまま折り返しました。
【選手入替/後半0分】SO西村渉→髙悠也
相手のノックオンを誘う圧力をかけるなど、後半最初のスクラム戦でもアークスFWが見せ場を作ります。
NECもアークス陣でのペナルティからスクラムを選択し、スクラム戦では一歩も引かない構え。
ここでもアークスFWが耐え切りますが、NECは後半7分、エリア外側で1対1で振り切って後半最初のトライ(ゴール失敗)。
その3分後にもパスミスを蹴り返され、途中出場のエルトン・ヤンチースが追いかけるも届かずにNECが8連続トライ(ゴール成功)。0-48。
【選手入替/後半10分】WTB菊池 功一郎→大芝優泰
後半16分にもNECはスクラムからの一次攻撃でゲインライン突破。そのままエリア右奥で連続攻撃を重ね、最後は力技でこじ開けてグラウンディング成功。ゴール成功で0-55。
【選手入替/後半16分】PRレイルア マーフィー→佐藤勇人
スクラムではその後もプレッシャーをかけますが、この日の課題はやはりディフェンス。
肌を刺すような寒さもあってか、相手を一撃で仕留めるタックル精度、外側での1対1やターンオーバー直後のリアクションなどで高いパフォーマンスを発揮することができず、後半22分にもハンドオフから外側で振り切られ失トライ(ゴール失敗)。0-60。
【選手入替/後半24分】FB沼尻 大輝→西村渉
【選手入替/後半29分】WTB髙悠也→湯本睦
【選手入替/後半32分】FB沼尻大輝→小川 優輔/CTB白隆尚→レイルア マーフィー
特にバックスで多くの選手をさまざまなポジションで入替を行うなど、トレーニングマッチらしい起用法で戦うアークスは、CTBカルゲイや途中出場のヤンチースが随所で突破。
しかしこの日はトライチャンスでのハンドリングエラー、ラインアウトでもミスが見られ、最後までインゴールが遠い展開となりました。
最後はNECのキックがタッチラインを割って0-60のままノーサイド。課題という収穫を得ることになった試合となりました。