インタビュー / INTERVIEWS

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躍進の立役者が帰還!
“進化請負人”名将ロブ・ペニー監督インタビュー

2021年10月18日

ロブ・ペニー

2014年からヘッドコーチを5シーズン務め
チーム過去最高の5位を2度達成
アークスをトップチームに進化させた名将が3シーズンぶりの指揮官復帰
ニュージーランド出身で2014年のマンスター時代は欧州プロ12の最優秀コーチを受賞
進化を託された名将に迫った

ロブ・ペニー“監督”の誕生

――2014年度から5シーズンに亘ってアークスを率いて、豊田自動織機、ワラターズ(オーストラリア)を経て、ふたたびアークスを率いることになりました。

ワラターズのヘッドコーチ(2019-2021)を辞めることになった数日後、内山さん(浩文GM)から電話をもらって『シャイニングアークスに戻ってくることに興味はありませんか』 と訊ねられました。喜びに満ち溢れた気持ちになり、本当にワクワクしました。それからはマネジメントの皆さんとコミュニケーションを取りながら、シャイニングアークスの今後をどうするかについて議論を重ねてきました。

――今回は1期目の肩書きだった“ヘッドコーチ”ではなく“監督“ですね。

一般的に「ヘッドコーチ」はフィールド上でのコーチングが主な役割になります。それに対して「監督」はフィールドでのコーチングは少なく、スケジュールのプランニングといったチームの全体を見る裏方です。

個人的な想いもあってフィールドでの影響力を多少は持っていたいと思っていますが、以前よりはフィールド上でのコーチングは一歩引いた形になります。マット(コーベインDFコーチ)という経験のあるコーチのほか、若い3人のコーチ(ブライス ロビンス・スキルコーチ/友井川拓バックスコーチ/斉藤展士フォワードコーチ)がいます。2人の日本人コーチについては成長のチャンスを与えるという意味でコーチングの領域を広げています。ぜひリーダーシップを発揮してもらいたいですね。私はできる限りのサポートをしたいと思います。

スタッフ同士で野球!?
ロブ・ペニー流チームビルディング

――来日後、新型コロナウイルスの感染拡大予防対策として2週間の隔離生活があったそうですね。

チーム合流までの準備期間でもあったので、選手やスタッフと電話などでコミュニケーションを取ったり、ラグビーの映像を観たり、オンラインで映画を観たりしていました。毎日1時間は室内でバイクを漕ぐなど運動もしていました。とてもタフでしたが、こうしてなんとか生き延びることができて良かったです(笑)。チームには9月21日に合流しました。

――チーム合流から2週間強ですが(インタビューは10月上旬実施)スタッフの方から「練習の雰囲気がとても良くなった」と聞きました。

練習の雰囲気が良いという噂があるのなら、すごく嬉しいですね。

自分が考える雰囲気作りの大事な要素は、お互いを思いやる気持ちです。お互いをサポートして助け合うポジティブな関係が重要だと思います。そこを重要視して行動していれば、選手も反応してサポートしてくれると思っています。お互いに思いやる関係がなければ、ラグビーはただキツいだけのスポーツになってしまいます。選手同士の繋がり、スタッフ同士の繋がり、そしてチーム全体での繋がりが重要です。

ロブ・ペニー

――スタッフ同士で野球をやったそうですね!内山GMはサードを守り、ロブ監督はセンターだったとか。

スタッフ同士のアクティビティとして野球をやりました。関係を良好に保つチームビルディングの一環です。どんな労働環境においても、仕事だけをすると仕事にとらわれ、お互いの繋がりを深めることは難しくなります。

――そうしたチーム作りの方法論、哲学はどのように培ったのですか?

若い時からスポーツの環境で育ち、ラグビーだけではなくクリケット、バスケットのチームにも選手として在籍しました。多くのスポーツチームを経験したことで、どういったチームが機能するのか、機能しないのかという感覚的なものが培われたと思っています。そうした感覚的な理解に加えて、資格を取るなどしてリーダーシップやマネジメントについての勉強もしました。学術的な理解と感覚的な理解が合わさりリーダーシップについての理解が深まりました。

加えてウェイン・スミス、ブライアン・マクレーン、ギルバート・エノカ(いずれもニュージーランド代表コーチ経験者)といった素晴らしいコーチと働く機会がありました。そうした経験を通して多くのことを学びました。

ロブ・ペニー

3シーズンぶりの古巣に感じたポジティブな変化

――3シーズンぶりに戻ってきたチームの率直な感想は?

だいたい6割の選手は自分がいた時と同じ選手で、4割は入れ替わって入ってきた選手です。私が知っている選手は良い形で成熟していましたし、新しく入っていた選手は才能があります。とても良いリクルート、強化方針のおかげだと思います。もちろん多少の調整はしていきますが、全体としてポジティブに変化していて良い雰囲気です。

――成長に驚いた選手はいますか?昨シーズンは中島進護選手が金正奎選手と共に共同主将を務めました。

シンゴ(中島進護)は私がいた時にすでにリーダーグループにいたので、リーダーとして成長していることに驚きはありませんでした。ほかにもメザ(目崎啓志)も良い形で成長していますね。

ショウケイ(金正奎)はもちろんこれまで良いリーダーシップを発揮してくれていましたが、若い選手でも良いリーダーになれる選手はたくさんいます。たとえばドガ(前田土芽)、タクヘイ(安田卓平)、ショウタロウ(松尾将太郎)などですね。彼らはミーティングでも良い発言をしてくれており良いリーダーになっていくのではと思います。

ロブ・ペニー

――今シーズンは練習試合が多く組まれており、そうした若い選手が実力を見せる機会がたくさんありそうですね。

ここ数年は(コロナ禍などで)若手選手が試合に出場する機会が少なかった事実を踏まえ、たくさんの練習試合を組んでいます。5、6試合くらいは主に若手選手にチャンスを与えたいと思っています。

――どんなポリシーで選手をセレクションしますか?

ポジションによって求める能力が違うので一概には言えません。全体としては、スキルを発揮でき、情熱的で、頭を使ったプレーができる選手ですね。そこに容赦しない精神をひとサジ加えたようなイメージでしょうか。

ロブ・ペニー

進化するアークス・アタック。
スペースを攻める攻撃的スタイルで頂点へ

――2022年1月にジャパンラグビーリーグワンが開幕しますが、どんな目標を掲げていますか?

もちろん他のチームと同じです。優勝ですね。

――どんなラグビースタイルで戦いますか?

主にアタックにフォーカスしたラグビースタイルになると思います。自分たちがボールを保持している時はスキルを活かしたラン、パス、キックを使ってスペースをどんどん攻めていくスタイルです。逆に自分たちがボール持ってない時は、アタックするスペースを消していくディフェンスをしていきます。

――――1期目でロブ監督が浸透させたラグビーを継続する方向性でしょうか?

そうであることを願っています。ラグビー IQ が高いラグビーをしていきたいです。そうしたマインドを選手はすでに持っています。私がいなかった2年間は、最初にシャイニングアークスに来た時のスタイルを完璧に出来ていたわけではないので、あらためて学び直さなければならないところはあると思います。

――最後に2期目に期待しているファンの皆さんにメッセージをお願いします!

選手の魂のこもったプレーを見て、ファンの皆さんに誇りに思ってもらえるようなチームにしていきます。ファンの皆さんが観戦後、「このチームは絶対に全力を出し切った」と確信を持って言えるようなプレーを見せたいです。

また、ファンの方々と真の繋がりを持ったチームにもしていきたいと考えています。コロナ禍の世の中がポジティブに変わっていけば、ファンの方々との交流を増やしていきたいですね。たとえばアークス浦安パークに皆さんを招待したり、サイン会を開くなどして親睦を深めたいと思っています。皆さんから愛されるようなチームを目指します。

ロブ・ペニー