インタビュー / INTERVIEWS

CloseUp Interviewクローズアップインタビュー

友井川 拓 Hiraku Tomoikgawa

バックスコーチ(アタック)

「トップリーグで一番面白いラグビーを」。
チーム在籍14年目のレジェンド

今回のインタビューは、チーム在籍14年目(選手12年、コーチ2年)の友井川拓バックスコーチ(アタック)が登場!
「ミスター・コム」と呼ばれ、NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(以下アークス)を熟知する友井川コーチに、2021年1月開幕(予定)のトップリーグへ始動したチームの現在地、ラグビースタイルなどを伺いました!
神奈川県出身の友井川コーチは藤沢ラグビースクールでキャリアを始め、法政二高、法政大学、そしてアークスでもキャプテン(2011~2013年度)。
小柄ながら的確な判断力、スキル、俊足を活かしてウイング、スクラムハーフ、スタンドオフとして活躍し、7人制日本代表にも選出されました。
プレイングコーチとして活動した2018年度に現役を引退。実質的に3年目となるコーチ業では、長きにわたる選手経験、趣味である読書なども活かされているといいます。
果たして友井川コーチの指導法とは? また友井川コーチが語る「NTTコミュニケーションズのラグビースタイル」とは?新シーズンへ期待が膨らむインタビューとなりました。

[取材日:2020年9月3日(木)]

友井川 拓

NTTコミュニケーションズのスタイルを知ってほしい

――現在(9月3日)のチーム状況はいかがでしょうか?

7月中旬にスタートして、4週間くらい練習をしました。8月中旬から3週間の休みを取っていましたが、また来週月曜日からトレーニングが始まります。
開幕は来年1月なので準備期間は長いですが、前倒しでやるべきことをしっかりやって、今は「リフレッシュしよう」と話しているところです。

――今年のチームはどのような目標を掲げていますか?

まず未知の領域である「トップ4」に入ろう、と言っています。トップ4に入れば優勝も見えてきます。練習中も選手から「トップ4」という声が上がっています。

――友井川コーチの個人目標を挙げるとすると?

NTTコミュニケーションズのスタイルをもっと知ってほしい、と強く思っています。
試合会場に「NTTコミュニケーションズのラグビーは面白い」という理由で来てくれる人が増えてほしいですし、学生達に「NTTコミュニケーションズでプレーしたい」と思ってもらえるようなラグビーがしたい、と思っています。

観客を魅了するラグビースタイルを。
高いスキルで大きくボールを動かす

――NTTコミュニケーションズのラグビースタイルについて教えてください。

ボールを大きく動かすラグビーです。
空いているスペースにボールを動かすことが強みですし、そこに強いこだわりを持っています。ポジションに関係なく、全員が高いスキルでプレーするラグビーです。

――2007年度から在籍14年目ですが、アークスの戦い方はどう変化してきたのですか?

たとえば林雅人さん(2011~2013年度)が監督をしていた頃は、ボールを大きく動かすというより、順目※に回ってフォワードが走り勝つようなスタイルでした。

※順目(じゅんめ)そこまで展開してきた方向と同じ方向にボールを動かすこと。

それがロブ(・ペニー/2014~2018年度)になってからボールを動かすスタイルになりましたね。彼の哲学が今のスタイルのきっかけです。

友井川 拓

――2020年シーズンでは奇抜かつ複雑なサインプレーがたくさんありました!「観客を楽しませる」ことも意識しているのでしょうか?

楽しませる意識はあると思います。リース(ヒュー・リース エドワードHC)は相手を驚かせるようなプレーが好きですし、僕自身の中にもその要素はあります。
僕も相手の意表を突くプレーは選手時代から意識していました。その方が見ている人も楽しいと思います。

――選手時代、無人エリアを見つけたら躊躇なくキックを放り込むなど、意表を突くプレーが印象的でした。

練習中から「どう相手の裏をかくか」は工夫していましたね。
たとえばディフェンスコーチが「ラインスピードを上げよう」と言った直後、一発目にディフェンスの裏に蹴ってみるとか(笑)。ディフェンスのラインスピードが上がるなら裏が空くよね、ということです。

――ディフェンス練習をしたいコーチにしてみれば「なぜ蹴った」という感じですね(笑)。

よく怒られましたね(笑)。ただ「どう裏をかくか」は常にやっていましたし、そこがすごく楽しかったですね。

コーチを必要としない選手をどれだけ育てられるか

――コーチは実質3年目ですが、指導者として常に意識していることは何でしょうか?

すこし矛盾しているように聞こえますが、「コーチを必要としない選手をどれだけ育てられるか」は意識しています。自分で考えて進められる選手を何人育てられるかのチャレンジですね。
答えを求めてくる選手もいますが、やはり自分で考えて進めていかないと成長には繋がらない。コーチの役割は答えを出してあげることではなく、自分で答えを出せるような手助けをする存在だと考えています。

――相手が間違っていたら答えを言いたくなります。ストレスが溜まりそうですね(笑)。

言わないこともチャレンジです。
そもそもアドバイスや指摘は意外と“流れる”んです。自分で腹落ちしないと続きませんし、身にはならないと思います。やはり自分で答えを掴んでほしいですね。

友井川 拓

――友井川コーチは大柄ではありませんが、日本最高峰のトップリーグで12年間プレーしました。“自分で考える力”が関係しているでしょうか?

選手生活が長かった理由のひとつは、間違いなくそこだと思います。
コーチの答えだけでやっていると、それ以上は突き抜けられない。コーチのアドバイスは真摯に受け止めながらも、いろいろな角度から物事を考えることが成長に繋がると思っています。
たとえば多くの選手が、身長180センチあったら90キロになろうとする。平均値に向かおうとしますが、そこで逆に体重を軽くしてみる、とか。人と違うところにいくのは賭けでもありますが、そうした視点も必要なのかなと思っています。
僕がいくら体重を上げたところで南アフリカの選手には勝てないし、それで良い部分がなくなるなら意味がありません。高校時代から他の人と同じことをしていても勝てない、どうすれば生き残れるか、を考え続けてきました。
コーチとしてもそうした視点、考える力は大事にしていきたいですね。

仕事とラグビーを両立する社会人生活。
「企業チームほど素晴らしいものはない」

――入社当時から仕事熱心だったと伺っていますが、本格的にコーチを始めることになったきっかけは?

選手を引退する2年前だったと思いますが、(当時のヘッドコーチだった)ロブから「コーチという選択肢もあるよ」と提案されて意識しはじめました。
若手時代から仕事とラグビーを両立したいという気持ちが強かったのですが、誰でもコーチになれるわけではないので、ポジティブに考えてチャレンジしようと決断しました。

――仕事とラグビーの両立に務めてきた理由というと?

実はもともとラグビーを長くやるつもりはなかったんです。高校、大学とキャプテンをやらせてもらって充実していましたし、大学でひと区切りかなと思っていたので、卒業後はしっかり仕事をやろうと考えていました。

――両立を目的として社会人ラグビーに進んだのですね。

企業スポーツほど素晴らしいものはないなと思います。仕事もやらせてもらえて、ラグビーもやらせてもらえる。現役中にいろいろな経験をさせてもらえるのはなかなかできることではありません。
そういう意味では頂いている時間を有効に使いたいですし、成果を出さなければならないと思っています。

――アークスは会社員とラグビー選手という2つの顔を持つ「アスリート社員」の可能性を追求しています。両立を応援してくれるチームです。

自分次第ですが、うちのチームではやりたいことに対してダメという人はいないです。いろいろなアイデアを試す環境は整えてくれると思います。

友井川 拓

「ラグビー畑だけで学ぼうとすると限界がある」
アスリート社員の可能性

――しっかり社業をすることでラグビーにも良い影響がありますか?

あると思います。僕は「サッカーしか知りえない者はサッカーすらも知り得なくなる」という言葉が好きなんですが、ラグビー畑だけでラグビーを学ぼうとすると限界があります。
社業や幅広いジャンルから勉強する必要がありますし、元日本代表ヘッドコーチのエディーさん(・ジョーンズ)も様々な分野からヒントを得ています。
今後もいろいろな分野から知識を得たいですし、それがラグビーにも繋がればと思っています。

――選手主体の選手応援企画「未来プロジェクト」についてはどんな感想を持っていますか?

すごく面白いですよね。人としての幅も広がりますし、アイデアを形にできます。

――友井川コーチは「未来プロジェクト」で、トライ数×オモチャを園児に届けるクリスマス企画「1TRY×1TOY」を発案して形にされていました。

フューチャーセッションの中からアイデアが出て始めた企画ですね。
それまでチームが接していなかった世代、未就学児は新しいチャレンジでした。地元の保育園と繋がったことはすごく良かったなと思いますね。

――最近のアークスの取り組みでは、業界初の2.5次元コンテンツ「私立浦安アークス学園」が話題になっていますね!

選手はすごくポジティブにやっていますよ。
やってみて学べばいいですし、新しいことにチャレンジするのは良いことです。

――アークス学園が始動したことによる効果はありますか?

(出演選手の)美意識が高くなりました(笑)。
ただ、まだ始まったばかりなので何とも言えませんが、続けていけばどんな効果があるか分からないですよ。選手の魅力は伝わっていると思いますし、新しくてとても良いと思います。

友井川 拓

趣味は読書。愛読書はあの名将の関連本

――プライベートについて伺いたいのですが、休日はどう過ごしていますか?

2人の娘と遊んでいるだけですね(笑)。ダンスの送り迎えをしたり、そのあと一緒に遊んだり、散歩をしたり。

――独身時代はどう過ごしていましたか?

ひたすら本を読んでいましたね。
ラグビーの本はいっさい読まないですけど、スポーツの本は読んできました。「ラグビーに置き換える」という読み方をするとしっくりきたりもします。

――「書斎机の見えるところに置いておきたい本」は?

ベップ・グアルディオラ(サッカー/英マンチェスター・シティ監督)の本が好きですね。彼はすごく情熱的で、僕にはないものを持っていて素晴らしいなと思います。
彼は戦術オタクですが、戦術を含めていろいろなものを革新していく。新しいものを生み出してもまた新しいものを生み出していく。変化を楽しんでいる姿は見ていてエキサイトします。

トップリーグで一番面白いラグビーができるように

――2021シーズンまで時間のある中、選手の様子はどうでしょうか?

新型コロナウイルスの影響で身体を動かせなかったぶん、スポーツができる幸せ、といった雰囲気を感じています。
7月に集合してボールを触るトレーニングをした時、みんなすごく楽しそうにやっていましたね。

――練習の雰囲気についてはいかがでしょうか?

3週間のオフに入る前もすごく良い状態でラグビーができていました。
いまメッセージとして「BE PROFESSIONAL(ビー・プロフェッショナル)」というキーワードを使いながら、練習以外のスタンダードを上げようと取り組んでいます。
今シーズンは金正奎、中島進護の2人が共同キャプテンになりましたが、彼らを中心に前向きに取り組んでいるので、こちらの助けになっています。

――ファンは新シーズンの“アークスのラグビー”をどう楽しめばよいでしょう?

率直に「ボールがたくさん動いて面白いな」と思ってもらえれば嬉しいですね。
リスクのあるラグビーかもしれないですが、ボールが動いて、人が動いて楽しいと思ってもらえることを目指して、僕たちは準備をしています。

――では最後にアークスの戦いを楽しみにしているファンへメッセージをお願いします!

2020年シーズンは6試合で終わって残念でした。自分達のラグビーを出せた試合、出せない試合もありました。
2021年シーズンは1試合でも多く「見ていて楽しいラグビー」「トップリーグで一番面白いラグビー」ができるように準備しています。
選手もいろんな努力を重ねて開幕に臨みますので、ぜひ楽しみにしていてください。

友井川 拓