インタビュー / INTERVIEWS

ロブ・ペニー Rob Penney

ヘッドコーチ

昨シーズン、チームのプレースタイルを大きく変えて就任一年目ながらトップ8入りを果たした、名将ロブ・ペニーヘッドコーチ。そのアタッキングラグビースタイルは日本のラグビー界でも大きな注目を集め、U-20日本代表のスポットコーチも務めました。また今シーズンはここまでの練習試合で6戦全勝と、目指しているラグビーにさらに近づいています。北海道夏合宿の合間に、昨シーズンの振り返りや今シーズンへの展望を語ってもらいました。

ロブ・ペニーヘッドコーチ写真

チームの成長を実感できたこの一年。

――日本に1年ちょっと住んでみて、生活はどうですか?

すごく楽しんでいます。西洋の文化で育った外国人の私が、全く違う文化の中で生活することはチャレンジングですが、日本の文化から学ぶことはとても価値のあることだと思っています。日本の安全な環境や交通などの公共機関の正確性など、海外に持っていきたいものもたくさんあります。

――困っていることはありませんか?

妻がこちらにいないことですね。妻とはいつも一緒にいたいと思っていますので。それと、ニュージーランドではラグビー番組が24時間放送されているのですが、それが観られないことは寂しいですね。

――U-20日本代表のスポットコーチも務めていましたが、若い選手はどうでしたか?

同じ年齢のニュージーランドの選手たちよりも、日本の選手は学ぼうというモチベーションがとても高いと思いました。ただやはりインターナショナルレベルで戦っていくためには、もっと早い段階からフィジカルを作り上げる必要があるとも感じました。

――シャイニングアークスの質問に移ります。昨シーズンの感想を。

リース(※ヒュー・リースエドワードBKコーチ)や他のコーチたちとも話していましたが、ゲームスタイルが本当に大幅に変わった中で、うまく対応することができた選手たちを誇りに思っています。1stステージでは大きな成功を収めることができました。しかしこのレベルで勝ち残っていくためにはフィジカルがまだ足りないと思います。ですから、今シーズンの春のチームスタート時点からフィジカルを築き上げている最中です。ただ、自分たちが目指すベストなラグビーをやり抜くために十分なフィジカルを得るためには、あと2,3年はかかると思います。

――昨シーズンはトップ8に入りましたが、想定内でしたか?

7位~10位ぐらいは、すごく接戦になると考えていましたし、自分たちは、その数チームの中に入るレベルなのではないかと想定していました。それ以前のシーズンでは、9位、12位、13位といった結果でしたが、昨シーズン開幕前には、時の運というものもありますがきっとトップ8に入ることができると信じていました。今シーズンは昨シーズンよりももっと成長したチームになっています。ですから、6位~8位ぐらいには入りたいと考えています。

――昨シーズンを終えて、日本のトップリーグのレベルをどう感じましたか?

日本人選手はコミットメントレベルが高くハードワークをする選手たちばかりで、すごくタフな競争のリーグだと思いました。チームによって、プロ選手と社業とラグビーを両立している選手の比率が違いますが、自分たちは仕事とラグビーを掛け持ちしている選手が多いチームです。ですから、日本国籍を取得した外国人選手が多かったりフィジカルがとても強い外国人プロ選手が多かったりするチームには対応が難しいことはありました。

ただ大切なのは、自分たちが常にハードワークをして成長し続けることだと思っています。そして、マイケル・リーチ選手や田中選手、堀江選手のようにスーパーラグビーでも活躍している選手が、その経験をトップリーグに持ち帰ってくることでもっとレベルが上がっていくと思います。

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「Arcs ATTACK」のもとに、ぶれない姿勢を貫く。

――今シーズンのチームスローガン「Arcs ATTACK」に込めた思いを教えてください。

ダイナミックで壮大なイメージを持っています。自分たちがチームとして前に進むために直結したスローガンを作りたいと考えました。自分たちが成功するためには、ただ立ち止まって待ち続けているだけでは何も起こりません。スポーツの世界において高いレベルで戦っていくためには、どんなチームであろうとも、とにかくハードワークをして戦っていく姿勢が必要だと思います。

チームは昨シーズン初めてトップ8に入りましたが、コンスタントに結果が出せたわけではありません。他のチームや自分たちのサポーターから尊敬を勝ち取りたいのであれば、コンスタントに高いレベルでパフォーマンスを出さなくてはいけないと思っています。こういった強い思いを「Arcs ATTACK」という言葉に込めました。

――「Arcs ATTACK」というチームスローガンですが、練習試合を見ているとディフェンスもとてもよくなっていると感じます。

「Arcs ATTACK」という言葉は、単に攻撃のことだけを指しているわけではありません。もっと激しく戦っていこうというメンタルの意味が込められています。ですからディフェンス面でも同じ姿勢です。8/5に行われた近鉄戦のゲームスタッツ(※試合での全選手詳細結果データ)が出たのですが、確かに今までのゲームで一番いいパフォーマンスデータが出ています。ミスタックルは六個しかありませんでした。素晴らしい数値です。

去年新しいシステムをチームに導入して、今年は少しシステムを変えましたが、その新しいシステムにも選手が早く適応してくれました。個人タックルに関してスタッツに反映されているように、選手がしっかりと「ATTACK」の気持ちを持って役割を担ってくれたからだと思います。成功が自信につながり、相乗効果でディフェンスがさらによくなってきていると思います。

――今チームスタイルとなっている「3ポッド」のシステムに関して、一般のファンにもわかるように説明していただけますか?

まず自分が考えるラグビーの哲学は、フィールド上のどこであってもスペースを見つけてそこにアタックするという戦略で成り立っています。パスやキックを使ってボールを動かし、相手のディフェンスを動かしながらスペースを作って、そこにアタックしていきます。「3ポッド」システムというのはこのシステムを単純に表した名前なのですが、走っていてもキックを使っていても、このストラクチャーに沿ってプレーをするというラグビーで、一番重要なポイントは選手自身が判断を行うことです。去年初めてチームにこの戦術を持ちこんで、今はまだ落とし込んでいる最中です。コーチ陣として、戦術の理解を選手に積み上げていっているところです。

――選手たちの「ラグビーIQ」は上がってきていますか?

間違いなく上がってきています。本当に学びが早いラグビーの生徒たちです。

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――春から今までの練習試合は全勝で来ています。昨シーズンからぶれずに目標に向かってやってきた成果が出ていますか?

自分をチームに招聘してくれたからには、何かをチームに残したい、何か達成したい、何かインスピレーションを与えたいという気持ちでやってきました。でもそれは一人ではもちろんできません。他のコーチ陣やスタッフ陣が本当に協力してくれているからできるのです。選手に対しては、理解を深めて自信を持って欲しいと思っています。春から練習試合で勝ち続けていることは、確かに自分たちが向かっている方向がぶれていないということがあるかもしれませんが、いろんな要素が絡んでいると思います。ここまでのパフォーマンスに関しては、まだビッグゲームで強い相手と戦えるレベルには至っていないと思います。尊敬を勝ち取れるチームになるために、さらに成長し続けなければなりません。

――セットプレーはどのように改善していますか?

昨シーズンのセットプレーは、強いとは言えませんでした。例えばラインアウトの時には、スローの安定性が無くてミスにつながってしまったことが多かったです。スクラムでの問題は、技術が足りていない場面もありましたが、負けてしまった原因のほとんどは強さと経験が足りなかったことです。ですからオフシーズン中にそこは改善していかなくてはならないので、春から取り組んでいます。

スローに関しては大内さん(※大内和樹アシスタントコーチ)からしっかりとコーチングをしてもらって、フッカーの選手はみんな成長しています。またFWコーチに大久保さん(※大久保直弥FWコーチ)が入ってくれて、セットプレーを一番見てもらっています。とにかくセットプレーは成長していかなくてはいけないエリアですので、できるだけ時間を割いています。強さと経験を身に着けるためには時間がかかります。ゆっくりと成長し続けています。

――今日の練習ではテニスボールを使ったりと様々な工夫が見えましたが、選手が声に出している「首振り」について教えてください。

アタックであればディフェンスの状況をしっかり見て、逆にディフェンスであればアタックの状況をしっかり見て、目の前の状況をしっかり見てから判断することを意図して言葉に出すようにしています。

――チームビルディングに関して。

チームというものは、コンスタントに積み上げていくものです。スキルもフィジカルも自分がいる間にもっともっと向上させていくことで、自分が去った後もシャイニングアークスが強いチームで居続けられるようにと考えてコーチングしています。

――最後に今シーズン、ファンの皆さまにどういったラグビーを見せたいか教えてください。

シャイニングアークスのラグビーは、スペースを見つけてアタックしていくことが基本で、強さが必要なところではフィジカル面を全面に押し出していくラグビーです。自分たちがベストなチームであると信じて持っている以上のパフォーマンスを出すぐらいの気持ちでラグビーをしていれば、サポーターの皆さまがきっと喜んでくださると思っています。

遠くから会場にやって来てくださるサポーターの皆さまもいらっしゃる中で、選手たちはサポーターの皆さまの顔を見るだけで、声を聞くだけで、勇気をもらってチームとしてのパフォーマンスが上がります。そのことをサポーターの皆さまにもぜひ知ってもらいたいと思っています。サポーターの皆さまがチームを誇りに思ってもらえるように、コンスタントにいいパフォーマンスを出していきたいと思っています。グランドで会いましょう。

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