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友井川拓キャプテンインタビュー

キャプテン就任3年目を迎える今シーズン。シャイニングアークス設立時を知る選手も少なくなってきましたが、いつの間にかベテランの域に差し掛かった心境も含めて、一プレーヤーとして、そしてキャプテンとしての思いを語ってもらいました。

目の前のプレーに集中して、一日一日を大切に。

友井川拓キャプテン

——個人的なことをまずお聞きしますが、2007年のチーム設立の年に入部ですね。

そうですね。気が付けばもう7年目ですね。

——SHをやっていたことを知っている人も、もう少ないですよね。

今の新人にも言ってないので、彼らは知らないですね。知ったら、まさか!と思うでしょうね。僕の一つ下の年代ぐらいまでしか知らないと思います。

——昨シーズンは初めて怪我で長期間ゲームに出られなかったですね。

自分でプレーできないことで、やっぱりストレスは溜まりましたね。もどかしい気持ちがありました。

——後半節になかなか勝てずにチームが苦しんでいる時は、どんな声を掛けていましたか。

悪い時ほど目の前のことに集中しなくてはならない、という気持ちはいつも持っています。いい時は練習の雰囲気もいいですし、ゲームの流れも自然とこちらに傾いてくるようなところもあるのですが、流れが悪い時こそ、先を見ないで目の前の一つ一つのプレーにフォーカスしてやって欲しい、ということはずっと言っていました。

——近鉄戦では怪我をしてベンチに退いた後になんとか勝って、男泣きしていましたね。

はい、みんなにバカにされましたけど(笑)。やっぱり苦しかったですね。前半節の最後でトヨタ自動車に勝ちきれず、その後神戸製鋼、NEC、サントリーと勝てなくて、内容も良くなくて、みんなもストレスが溜まってきつい時期でしたね。開き直ってもうやるしかないという気持ちで近鉄さんにチャレンジしていこうとゲームに入って、結果も出ましたので、ちょっとホッとしました。

——前半節最後のトヨタ戦を一点差で落としたのが痛かったですね。

そうですね。たらればですが、あそこで勝っていれば確実にベスト8に入れましたね。大事な試合を落としてしまいましたね。

——前半節にあんなに調子が良かったのに、ラグビーは難しいですね。

比較的力の差が出やすいスポーツではあると思いますが、いろんな状況でメンタルな部分も影響するスポーツですので、難しいですね。

——一昨年が9トライ、昨シーズンは怪我をしたとはいえ8トライ。今シーズンの目標は?

二桁は行きたいですね。そこは僕の目標ですね。ウィングとしては二桁いかないと、という思いはあります。今年は狙います。

——数値的には足が一番早いわけでもないですが、トライを獲る秘訣は?

そうですね、足が速いのは菊池選手とかですかね。自分の場合は、読みが大事ですね。今のチームの力では広いスペースを与えてくれるレベルではありませんので、人がいる狭い中でどれだけ人を抜けるかという所が大事になってくると思います。広いスペースだったら足の速い菊池選手とか沼尻選手とかのほうが有利だと思いますが、そうじゃなくて人がいても交わせるところが自分の強みだと思っています。

——君島選手との阿吽の呼吸のサインプレーもありますね。

だんだん読まれてきましたが(笑)。あれは常に狙っているプレーではあります。

——キャプテン就任3年目になりますが。

変わったところは、特にないですね。変わらずにやっています。1年目からずっと言ってきたことは、先を見てもしょうがないので、一日一日の練習を大切にしようということです。それは1年目も3年目も変わりありません。目の前の練習や目の前のプレーに集中してやっていこうということを、ずっとチームに伝えています。

——今年のバイスキャプテンが石神選手に決まった経緯は?

林監督から石神選手でどうだという話があり、石神選手だったら問題ありませんと答えました。

——石神選手と役割分担のようなものはあるんですか。

お互いに入れ違いで怪我があって春から一緒にグランドに立っていませんので、僕がいない時には石神さんが引っ張ってくれていましたし、石神さんがいない時には僕が引っ張ろうとはしています。あとは、バックスとフォワードなので基本的に見る所も違いますし、自然と分担が分かれるというところでしょうか。

——今シーズンに向けて、キャプテンとして林監督とはどんな話をしていますか。

当たり前ですが、最初のステージで上位四つに入って、まずはセカンドステージで上のグループに行くことですね。今シーズンはトップリーグの運営方式が変わるので、ターゲットも例年とは違うようになってきますね。どんな感じになるかは、僕らもまだ予想できないところがありますが、単純に最初のステージでベスト8が決まってしまいますので、そこはまだ今まで見たことの無い世界ですし、やっぱり見てみたいですね。チームの先のことを考えても。

——昨シーズン7勝して9位というのも珍しいですけど。

まあ、それだけトライが獲れていないということですね(笑)。そこは反省点ですね。
チームの強みはディフェンスなのですが、ラインブレイクの数を増やしてトライの獲れるチームにして行こうということに、春先から取り組んでいます。春のオープン戦でも、比較的攻撃は良かったと思います。トライを獲れていますし。

——見ていても今年はトライの予感がありますね。

バックスは特にひとりひとりが勝負しようということに取り組んできましたので、そういう面がゲームで出ているのはいいことだと思いますね。

——今年は強みのディフェンスを生かしながらもトライも獲っていくのですね。

やっぱりそこはバランスだと思いますね。結局チーム力は積み重ねだと思いますので、昨シーズンのディフェンスがもちろんゼロになるわけではありませんし、しっかりとディフェンスを強化しながら、アタックに新しいエッセンスを入れてやっていければいいなと思っています。

——オープン戦では、いいアタックが見られた試合もありましたが、逆に三菱重工戦の最初のセットのようにいいところが出せなかった試合もありました。どういう原因だったのでしょうか。

あの試合では、単純にゲームの入りでトライを獲れるところで獲れなかったところと、セットプレーがうまく機能しなかったというところがありましたね。あとディフェンスが前に出ることができなくて、そこで受けに回ってしまいましたね。

——一度ああいう状態になってしまうと立て直すのは難しいのですか。

ゲーム中、選手は悪い所をわかっていて、そういう話はしているんですけど、やっぱり試合の流れもありますし、なかなか修正できない時もありますね。そこがやっぱりまだ弱いチームなんでしょうね。

——昨シーズンも、試合の入りがいい試合と悪い試合とありましたね。

難しいですけどね。試合の最初の10分間を意識して入ろうということは、いつも話しているのですが、いろんなきっかけで相手にビッグプレーが出てしまい流れが掴みきれないことはありますね。悪い時はそのままずるずる行ってしまいました。強いチームはそこで自分たちで流れを断ち切ることができますね。そして、ゲームの流れを徐々に引き寄せていきます。それができないのが、やっぱりまだまだ僕たちの弱い所ですね。

——その辺は経験値なんでしょうか。

もちろん経験値もあると思いますが、ここだけやれば流れを自分たちに戻せるというものを持っていることが、特にトップ4のチームにはありますね。それ以下のチームは、それを持っていないことでトップ4に入れないのだと思います。そこはもちろん長年上位でやってきたチームの歴史もあると思いますが、みんなが同じことにフォーカスできてゲームの中で修正できるところが強いチームなんだと思います。

——ところで今年の新人たちはどうですか。

いいプレーヤーはいっぱいいますね。楽しみなプレーヤーも。あとはトップリーグの選手に早くなってほしいですね。やっぱり学生とトップリーグは違いますので。ただ、トップリーグで活躍できる選手はいっぱいいると思います。どんどんチームに慣れてくれば、活躍する場面はいくらでもあると思いますし、即戦力になれる選手もいっぱい出てくるでしょう。

——新人に話を聞くと、意識の違いにびっくりしたという話をよく聞きますが。

だんだんこのチームもトップリーグのチームになってきたな、というところでもありますね。僕が入った頃とは全然違いますね(笑)。そういう面では非常にいいチームになってきたかなという思いはあります。特に林監督が来てからは、当たり前のですが規律の面が厳しくなりまして、それが徐々にみんなできるようになってきて、試合の結果にも出るようになりました。

——林監督が就任して、どんなところが変わりましたか?

取り組む姿勢が変わりましたね。林監督の戦術に長けているところを学ぶのはもちろんですが、単純にグランドに入ったら切り替えられるところは、強いチームと弱いチームで違う部分だと思いますので、そういう取り組む姿勢が変わってきましたね。

——ロジックできちんと説明してくれるところはやりやすいですか。

そうですね、そこはコントロールしてもらっているので、あとは逆にリーダーを中心に選手たちがメンタルの部分を言うようにしていますね。練習の雰囲気とかに関しては、僕とか石神さんとかのリーダー陣が言っていこうという話はしています。やっぱり数字だけでも勝てないし、メンタルだけでも勝てませんし、そこにスキルがついてこないと全く話になりませんし。

——話は変わりますが、ラグビーを始めたのはずいぶん早い時期からですよね。

そうですね、幼稚園から始めました。父がラグビースクールをやっていたもので。

——それから長い間プレーしていますが、どこがラグビーの一番の魅力ですか?

当たり前ですが、やっぱり勝った時じゃないですかね。単純ですが、そこに尽きると思いますね。いいプレーをしてもそれが勝ちに繋がらなかったら面白くないですね。それはラグビーをやっている人はみんなそうなんじゃないかと思いますが。まぐれで勝つことはなかなか起こりづらいスポーツで、積み重ねてきたことが結果に出るところがラグビーの面白さじゃないでしょうか。ただ去年パナソニックに勝ったように、サントリーなどの強豪チームにも10回やって一回も勝てないほど力の差があるとは思っていません。可能性を信じてチャレンジしていかないとやる意味がありませんので。番狂わせが起こり得るところまでは、僕らも実力をつけておきたいですね。

——では最後にファンの方々にメッセージを。

毎シーズン、多くのファンの方々が会場に足を運んでいただいて応援してくださるのが、すごく僕らの力になりますので、今シーズンももっともっと多くの方が会場に来ていただければと思います。あと開幕戦のサントリー戦に関しては、ラグビー界が注目する試合になると思いますので、勝利を手にできるようにいい準備をしますので期待して楽しみにしていてください。お客さんがたくさん入ってくれることが一番うれしいですね。大勢のお客さんの前でいいプレーをできるように頑張ります。グランドで会いましょう。

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