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林雅人監督インタビュー

ヘッド—コーチ時代を含めて、シャイニングアークスを指揮して3年目。順調にチームは成長しているが、上位の厚い壁もある。今シーズン、どのようなラグビーを目指していくのか。

林雅人監督

——昨シーズンは、「ディフェンス」の意識付けをしてきましたが、今シーズンは?

基本的にはチームカラーを変えることはありませんので、去年の延長線上で、ディフェンスとセットプレーを強みとしていくことを考えています。その中でいいアタックをしていくということは、基本的には変わりません。

——昨シーズンは、横にボールを回せても縦になかなか突破できない印象がありましたが。

それは、ボールキャリア—の、ボールを前に持っていくスキルの部分ですね。外国人選手はそういう力がありますので、もっともっと頑張って欲しいと思っています。また選手それぞれの長所をもっと生かしていきたいですね。トップリーグ中位のチームでは、チームの総トライに占める外国人選手の割合が50%以上です。対してサントリー、パナソニック、東芝のトップ3は25%程度です。それは日本人選手の能力が高いことが考えられます。我がチームは、中位チームの中で唯一その割合が25%です。日本代表選手が一人もいないのに、外国人のトライが結果として少なかったですね。外国人選手にはボールを前進させることができるという自分たちの強みがありますので、もっと長所を生かして欲しいと思います。無論、ラインブレイクが少なかったのは彼らだけの問題ではありません。チームとして優位な1対1という状況をつくれていないということもありますので、現在、チーム全体として15人が協調して1対1での優位な勝負場面を作っていくことにも、フォーカスしていきます。

——昨シーズンは1年目の外国人選手が多かったですね。

そうですね、1年目はどこの外国人選手でも難しい部分があり、2年目で大きく成長するということが結構ありますので、すごく期待しています。

——得点を増やすためには、どういうトレーニングを?

個人とチームの両面があります。個人としては1対1の勝負でラインブレイクをする強い意識や、そのためのスキルを高めるためのトレーニング。またチームとしては、もっといい状態で個人にボールを渡してあげるトレーニングをやっていきます。ラインブレイクは、やはり個人の能力による部分も大きいのですが、今チームにいる選手の持てる能力を、最大限に発揮できるようにトレーニングをしていきます。

——今シーズンのチームスローガンは、昨シーズンと同じ「NEXT ONE」ですが。

チームスローガンを、頻繁に変えていくことはあまりいいとは思いません。毎年変えていっても、それをチームの選手たちが本当に一年間、心に思ってやるのかということです。スローガンというよりもチームのポリシーとして「NEXT ONE」という言葉は永遠に使ってもいいと考えています。今年は、某スポーツ用品メーカーのコピーみたいですが、それに「Just Do It」というサブタイトルをつけています。目標に向かう中で様々な事が起こりますが、とにかくやろう!ということを選手たちと話しています。

——去年の春はフィットネスがまだまだ足りないということで練習に臨まれていましたが、今年の状態は去年と比べていかがですか。

去年より、いい状態です。休み明けにフィットネスのテストをしたのですが、例えばマット・サンダーズ選手は自己ベストを出しましたし。いかにオフにトレーニングをしていたかということですね。ほかの選手も、データを見ても昨年より走れるようになっています。去年よりも高いところからスタートできたということは数字からも実感しています。

——鹿児島合宿ではどういうところにフォーカスしていくのでしょうか。

これまで3週間全体練習をしてきましたが、主にボール周り一人から三人ぐらいまでの個人のスキルを高めるトレーニングをやってきました。鹿児島では、新人も十分時間が取れますので、チームとしての一体感をつくること、そして今年どういうラグビーをするのかということを、チーム全体で確認していきます。例えてみれば、山への登り方、山頂までどういう道順でそこまで行こうとしているのかという意志統一です。鹿児島合宿が終わって3週間たつと春のオープン戦が始まります。鹿児島合宿を含めた4週間で、春として試合ができるチームにしていきます。

——今年のトップリーグは、初めての2シーズン制という試みが行われますが。

どうなるのかなという感じはありますが。同グループの中で、サントリー、神戸製鋼はもちろん強豪ですし、トヨタ自動車、NECのどちらかには勝っていかないといけないということになっていきます。もちろんその他のチームも強いですので、当然ですが1試合も気が抜けません。

——今年も有望な新人選手が入団してきましたが。

すごくいい選手が入ってくれました。大学で高いレベルの新卒が去年8人、今年6人入ってくれましたので、チームがしっかり強くなっていくことを感じます。

——最後にファンの皆さんにメッセージを。

日本代表選手もいないチームですが、15対15は1対1と違いますので、最初から不可能なことは無いということを1戦1戦示していきたいです。それを観に来ていただいた方々にも感じて頂いて喜んでいただければ嬉しく思います。今年もチームプレーの素晴らしさを求めていきます。もちろん勝つことが一番の目的ですから、そのためにチームプレーが必要だということです。今シーズンもまた、小さな奇跡を起こしていきたいと思っておりますので、ぜひグランドにお越し頂き、頑張る選手にご声援を頂ければ幸いです。

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