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林雅人監督インタビュー

※インタビューは、春合宿三日目の4月25日に行われました。

昨シーズンはヘッドコーチとして、そして今シーズンは監督として指揮を執る林 雅人氏。昨シーズンの振り返りと、今シーズンへの展望を語ってもらいました。

林雅人監督

—昨シーズンを振り返って、良かった所、悪かった所を教えてください。

良かった所は、ある程度チームとしての戦い方ができるようになったことですね。スクラム、ラインアウトというセットプレーでの強みは出せたと思います。また反則が減ってきたことも良かった点です。それと、前年に比べて多少得点力が上がりました。悪かったところは、失点が多かったことですね。その大きな要因としては、フィットネス不足でした。そのため、多くのトライを取られてしまいました。トライを取られたすべての原因を解析すると、約半数が単純なタックルができていなかったことに拠るものでした。なぜタックルができていなかったかという遠因を辿ると、ほとんどのケースで数的不利になっていました。フィットネスが十分あって、ディフェンスのセットができていれば、ここまで失点が多くはならなかったと思います。明らかにフィットネスが足りなかったですね。

—当初目指していたプレースタイルを修正せざるを得なかったと思いますが。

開幕戦のヤマハ戦は当初目指していたプランで行こうとしたのですが、後半、フィットネス不足の為に駄目になってしまいました。フィットネス不足が明らかになった為、次の試合からはキックを使うようにして、闇雲に自陣からランを仕掛けないという方向にモデルチェンジをしました。

—反則は、途中から急激に減りましたね。

ノットロールアウェーなど、ブレークダウンでの寝た選手に対する反則が前年は多かったのですが、それがすごく少なくなりました。またシーズン後半には、スクラムの反則が著しく少なくなりました。前半だけで、スクラムでの反則が25、6個あったと思いますが、後半に入って激減しました。それは、スクラムが安定してきたこともありますし、レフリーの方に我々のスクラムが強いという認識を持ってもらえたところもあると思います。

—いいアタックもあったと思います。

しっかりとストラクチャーで崩そうというチーム認識でずっとやってきましたので、いいトライも幾つかありましたね。

—ただ、得失点差ではマイナスでした。

大量失点した試合が幾つかありましたが、失点の部分に関しては、フィットネスを上げることによって十分に改善できる自信はあります。ちゃんと立つことができれば、いいタックルもできますので。そのためのトレーニングをこれからずっとやっていきます。

—今シーズンの練習スケジュールは、休みが少ないですね。

効果を上げるための練習の頻度は、大きくはその選手たちの国の国民性や文化に拠るところが多いと思いますが、日本人にとってはきつい状態で練習をいっぱいさせる方が本番で力を発揮するということはあると思います。闇雲にきつくするわけでは無いのですが。

—「一番練習していたサントリーが優勝したのだから」という話を選手にしたと聞きました。

そうですね。優勝しているチームが日本で一番練習しているわけです。ですから、そのチームに勝とうとするならば、そのチームより練習しないで勝てる方法があるのかという考えが、自分の中にありますね。

—選手に聞いても、練習がきつくなったと言っていましたが。

自分の中では普通ですが、選手たちにとってはきつかったかもしれません。実際、選手たちは、口々に「きつい、きつい」って言ってましたし(笑)。そういう顔していましたから(笑)。フィットネスをつけるのには、最低でも12週間かかると言われています。ですから春のうちにフィットネスをつけて、夏に調整して維持していきます。チームプレーに関しては、早めにやらなければいけないことを今やっています。

—フィットネスの中でも、特にこの部分という所はありますか?

一番は、ゲーム用のフィットネスですね。80分間動き回れ、仕事量を多くできることが一番です。単純な話、一人が7%仕事量を増やせば、16人いるのと一緒になるわけです。いずれにしても1対1で勝てなくても、15対15なら80分間で勝てるというラグビーをしたいと考えています。

—トップリーグでもボールを動かすラグビーをするチームが増えてきましたが。

ボールを動かすラグビーは、そう簡単にはできないと思います。ボールを回しているチームを見ても、様々に不備なところが見受けられます。サントリーのようにボールを動かせるチームは、トップリーグでは他に無いと思いますので、それができれば十分勝負になると考えています。形をしっかり持ってアタックをして、絶えずいい形の1対1を作っていく、接点では相手よりも早くサポートに入ってまたボールを動かしていく、そういうラグビーで勝負をしたいと考えています。その一方で、シャイニングアークスにはもともと持っているセットプレーの強さがあります。そのセットプレーの強さを存分に生かしながら、そこにボールを展開していくという新しく作る長所をミックスしていきたいと考えています。

—今回の合宿の目的は?

初日に選手にも説明したのですが、新人が会社の研修があって練習に出られなかったり、外国人が合流できていなかったりする中で、5日間という短い期間ですけど久しぶりにこうしてみんなで集まれるので、一つはチームとしての一体感を作るという目的があります。共に生活をして、その中でチームとしての一つの意識を持っていくというチームビルディングを一番に考えています。ただ一緒にいればいいというわけでも無いので、春合宿としては多めにチームでのメニューを入れています。

—初日は、ボールを使わなかったと聞きましたが。

4月から始まって4週目になるのですが、今までの3週間でもボールを使わない練習はけっこうやってきました。今日は、ボールを使いますが。

—明るい、いい雰囲気ですね。

そうですね。いい雰囲気でやれていると思います。シーズンの中では、春の最初の頃は雰囲気が良くなる要素が幾つかあると思います。一つは新しい体制だったり、新しいスタイルになってフレッシュな感覚があったりしますね。それから、チームの中で序列がついていないということもあると思います。一本目、二本目という評価がまだされていない中で、全員で同じことをやりますので、みんなモチベーション高くやれるということはあると思います。

—今シーズン目指しているラグビーのスタイルを教えてください。

端的に言えば、80分間のプレーの精度で勝負をしたいと考えています。そのために、合言葉にもしているのですが、トップリーグで一番フィットネスのあるチームにしようと努めています。そして、その高いフィットネスによって、最後の20分間になっても精度を落とさずに勝負をして行こうと考えています。すごくフィジカルが強かったりという特徴があるチームではありませんので、80分間精度を落とさないラグビーを目指します。

—今年度、バイスキャプテンが変わりましたが、意図を教えてください。

去年のリーダー陣は素晴らしかったのですが、チームの雰囲気を変えたいという意図で今回変えました。新しいチーム、新しい監督になって、いろんな物事が新しくなったということで、みんなが新鮮な雰囲気で目標に向かえればという思いからです。

—これからオープン戦も始まりますね。

大切にしたいことは、40分をひとつのパートとして捉えることです。40分をふたつセットで一試合。そこでどうパフォーマンスが出せるかということに、オープン戦からフォーカスしていきます。Aチーム、Bチーム共に、同じ戦術、同じサインプレーで戦って、誰がAチームに入ってもすぐにプレーができるように準備していきます。

—今シーズンの具体的な数字目標はありますか?

サントリー、パナソニック、東芝の上位3チームを私は第一グループと勝手に位置付けていますが、その次の第二グループがすごく混戦になってくると予想しています。その第二グループで一番になりたいと考えています。そうすれば、必然的にトップ4に入れるわけですので、それを目標にしています。

—最後に、ファンの皆さまにメッセージを。

一昨年の12位から昨年9位に上がりましたが、相変わらずチャレンジャーですので、様々な部分で挑戦していきたいと思っています。チャレンジングなラグビーをしていきます。ディフェンスではとにかく前に出て相手に圧力を掛けていき、アタックでは勇気ある選択をして、80分の中で困難に直面した時にも負けないプレーをし続けていきたいと思っています。チャレンジングなプレーをしている選手たちに、ぜひ声をかけてあげてください。ご声援よろしくお願いします。

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