流れを引き寄せられず、ノートライで敗北。
ShiningArcs
12
リコーブラックラムズ
16
トップリーグでの戦いを終えて2週間。日本選手権出場をかけたワイルドカードトーナメントの1回戦が、秩父宮ラグビー場で行われました。相手はリコー。昨季は大敗(16-47)したものの、それ以前は毎年接戦を演じてきたライバルです。
試合の入りは上々でした。前半2分、左右に大きく展開する得意のアタックで敵陣へ。
■敵陣10mラインを過ぎた辺りで相手がハイタックルの反則。シャイニングアークスはショットを選択し、SOエルトン・ヤンチースのPG成功 3-0
■続いて、自陣深い位置まで相手に攻め込まれるも、効果的なキックで一気にエリアを回復。敵陣22mライン手前で相手がオフサイド。シャイニングアークスはここでもPKを選び、キッカーはSOヤンチース。前半7分、蹴った瞬間にスタンドから歓声が上がる、間違いのない一蹴りで追加点を挙げました。6-0
◆前半11分、自陣でノットロールアウェーの反則を犯し、今度はリコーがショットを選択。PG○6-3
■前半16分、ファーストスクラムが相手のコラプシングになると、SOヤンチースがハーフウェイライン付近からRGを狙って成功。9-3
前半24分ごろ、敵陣浅い位置からモールで自陣10mライン辺りまで押され、さらにラインブレイクされてピンチに。相手が大外へ放ったボールがタッチを割って、マイボールのラインアウトになるも、位置は自陣22mライン付近。
◆ラインアウトはキープしたものの、その後、ノックオンで相手にボールが渡り、前半26分、リコーのトライ。G○9-10
リスタートキックを深めに蹴り込み、相手が蹴り返したボールをキャッチしてアタック開始。SOヤンチースやFL小林訓也、WTB菊池功一郎らが陣を進めます。しかし、ノックオンでチャンスをつぶすと、ディフェンスでもハイタックル。2つのミスで一気に自陣22mラインを越えられてしまいます。
●前半32分、WTB友井川拓OUT、鶴谷知憲IN。
前半30分台はほとんどの時間を守備に費やし、前半が終了。ボール保持率と陣地の両方で、主導権を相手に握られてしまいました。
◆後半6分、自陣22mラインの手前まで相手の侵入を許しますが、WTB鶴谷のタックルで相手がノックオン。マイボールのスクラムに。しかし、コラプシングを取られ、リコーがPGで得点を加えます。9-13
キックの応酬の後、互いに反則でアタックを継続できない展開が続き、時間だけが過ぎていきます。
■敵陣10mラインを越えた位置でリコーがオブストラクション。後半18分、SOヤンチースのPG○12-13
●後半22分、WTB鶴谷OUT、小野寛智IN。
●後半24分、HO三浦嶺OUT、須藤拓輝IN。SOヤンチースOUT、ブラッキン・カラウリアヘンリーIN。
◆キックの応酬のなか、相手が蹴り込んだところでキャッチャーが相手のタックルに捕まり、オーバーザトップの反則を取られます。後半29分、リコーはショットを選び、PG○12-16
●後半30分、LOアイザック・ロスOUT、トッド・クレバーIN。
●後半32分、PR小野慎介OUT、斉藤展士IN。LO石神勝OUT、馬屋原誠IN。
●後半37分、PR上田竜太郎OUT、秋葉俊和IN。
キックのミスなどで不利な時間が長引き、チャンスが生まれたのは残り3~4分となってから。ハーフウェイライン付近での相手ボールのラインアウトを奪取し、No.8クレバーやPR秋葉がじりじりと陣を進めます。
キックで軽くボールを浮かせ、そのキャッチャーに詰めるプレーで相手の反則(ノットリリースザボール)を誘い、マイボールのラインアウトの機会を得ます。40分経過のホーンが鳴って、位置は敵陣ゴールまで6~7m。逆転勝利の予感に大歓声がわきましたが、予感は現実のものとはなりませんでした。最後はボールがこぼれ、タッチを割って、フルタイム。
試合巧者の相手のペースで時間が経過していき、自分たちの力やスタイルを出し切れないまま終わってしまったような、もどかしい試合でした。
これで、シャイニングアークスの2014/15シーズンは幕を降ろします。今季はほろ苦いトップ8デビューとなりましたが、チームはこれまでもトップリーグ昇格、残留・定着、上位グループ入り、とハードルを一つずつクリアしてきました。今また新たな壁を前に、苦しい時が続いていますが、来季は今季から一回りも二回りも大きくなった姿を、きっと見せてくれるはずです。
壁の向こうにあるものを、選手もスタッフもサポーターも、みんなで信じて、来季にまた、グランドで会いましょう。
ロブ・ペニーHCのコメント
——今日の試合の感想を。
フラストレーションがたまって、残念な気持ちでいっぱいです。選手はハードワークをしてきて、その結果を今日は求めていましたが、負けてしまいました。
いい形でゲインするシーンもありましたが、最後のパスが通らずトライを取れなかったところもあり、年間通じてレフリーとの解釈がうまくいきませんでした。
溝口裕哉キャプテンのコメント
——今日の試合の感想を。
トップリーグの2ndステージは全敗してしまったので、今日はなんとしても一勝をもぎ取ろうという思いでしたが……。今季はトップ8に入ったものの、まだまだ力不足で、今日もトライを取ることもなく負けてしまいました。今日はリコーさんの特にフォワード(FW)から前へ前へという圧力を感じ、そこで受けてしまったことが反省点です。ただ、若いチームが今季たくさんの経験をして、成長もあったと思うので、そこはプラスに捉えて、来季に向けて動き出したいです。
——接点でのプレーについて、どう感じましたか?
プレーしていた自分たちの感覚では、コンタクト・シチュエーションでは「やれている」という感覚でした。むしろ、自分たちのほうが少し強いのかなと感じたぐらいです。ただ、セットプレーで後手に回ってしまったように思います。
小林訓也選手のコメント
——今日の試合を振り返って。
ミスが痛かったですよね。トライを取られた場面も、ノックオンしたボールを拾われて、それがトライになった。1つのミスがゲームを壊してしまいました。最後10分の戦い方も課題が残ります。4点差で、ボールを持っていれば何かが起こるところだったんですが、あそこでボールを渡さないリコーさんが一枚上手でした。ウチは逆に、後から入った選手がインパクトを出せなかったり、キックがノータッチになったりで、せっかく相手に反則が出ても得点につなげられませんでした。
——アタックもディフェンスも、特に後れを取ったようには見えなかったのですが?
そうなんですよね。入りは良かったし、やっていて「イケるな」という感触でした。ディフェンスも抜かれたのは1本ぐらいで、それ以外は怖いと感じる場面もありませんでした。ブレイクダウンもうまく合わせられていたし、ターンオーバーもできていました。ただ、「そこでやっちゃいけない」というミスがあって、試合が変な方向に行ってしまいました。
——今季はチームの方針でFWもサインプレーが増えましたが、今季のラグビー全体について、どんな感想を持っていますか?
FWが弱い! サインプレーがいろいろあるのはいいですが、そのサインプレーを成功させるには、強いFW、強いセットピースがなければ話になりません。2ndステージに入って、良いスクラムが組めない、ラインアウトが取れない、それではいくら小手先でなんとかしようとしても。ウチはトップ8だと体重で1人につき数キロずつ相手を下回っているし、それでは同じ高さでスクラムを組んでも押せないですよね。2ndステージに入って、もう何年もトップリーグでやっているのに今さらながら「相手はデカいし強いなあ、走れるなあ」と感じました。
——来季に向けて抱負を聞かせてください。
今季はFWが特にセットプレーでふがいなかったので、しっかり戦える、むしろ今季の分をやり返すぐらいの気持ちで、春からやっていきたいと思います。みんな、まだ若いですから、伸びしろはめちゃくちゃありますからね。強いFW、強いNTT、しっかり作っていきたいと思います。
菊池功一郎選手のコメント
——2日前に発表されたメンバー表には名前がありませんでした。出場はいつ決まったんですか?
本当に急きょ、でしたね。木曜日に発表があった後、練習中に(14番で先発予定だった)鶴田(諒)にアクシデントがあって。僕はリザーブにも入っていなかったので、正直、びっくりしました。でも、すぐに「やるしかないな」という気持ちに切り替わりました。
——今日はどんな気持ちで試合に入りましたか?
今季は(トップリーグの試合への)出場がなく、これが最初で最後になる可能性があったので、とにかく勝ちたい、チームに貢献したいという思いでした。出ることを職場の皆さんに報告する間もなかったんですが、自分の名前が入った応援グッズを持った人がたくさん来てくれて、すごく心強かったですね。
——今日の自身のプレーを振り返っていかがですか。
どうしても、ディフェンスの時間が多かったですよね。相手のディフェンスが整備されていて、なかなかアタックの場面がなくて。
——ディフェンスはシャイニングアークスも悪くなかったと思うのですが、勝敗を分けたものは?
やっぱり、ミスじゃないですかね。80分を通じて高い精度でプレーを続けることが出来ないのも、実力(の表れ)だと思うので。
——出場機会が少ないなかでもモチベーション、コンディションを高いレベルで維持している菊池選手。秘訣は?
(試合に)出られないでいると、いろいろ思うことはあります。みんな、それぞれあると思います。でも、チャンスはいつか来ると信じて、チャンスが回ってきたときにチームに貢献するイメージをしていますね。Bチーム同士で声を掛け合ったりもしながら、練習しています。
——菊池選手といえばチームで一、二を争う俊足のイメージです。最近のタイムは?
特にタイムを計ってはいないんですが、自分の感覚では悪くないですね。自分でも、スピードが持ち味だと思っているので、そこは常に磨いていたいです。
——来季に向けて。
僕もいつの間にかバックスの中ではベテランになって、毎年、毎年、次(のシーズン)があるとは限らないと思いながらやっています。世代交代の流れも感じています。でも、トップイースト時代からやってきて、自分に出来ることがまだあると思っているし、また1年、ラグビーをやらせてもらえるなら、力をすべて出し切るつもりで取り組んでいきたいです。
*試合写真は、公式facebookページにも多数掲載しています。