バックオフィスにDXが必要な理由とは。導入ポイントや事例を解説
公開日:2023/6/23
バックオフィス業務の業務効率化を図る場合、DXは1つの選択肢になります。しかし、DXの必要性を感じているものの、具体的にどう導入したらよいかわからないケースもあるのではないでしょうか。
本記事では、バックオフィスDXの導入ポイントや具体的事例について解説します。バックオフィス業務のDX化について頭を悩ませている場合は参考にしてみましょう。
目次
バックオフィス業務とは
バック オフィス業務とは、企業の利益に直接関係しない分野の業務を指す言葉です。総務 や人事、財務 などといった部門がバックオフィス業務に該当します。対して、顧客と直接コミュニケーションをとる営業とカスタマーサポートなどは フロントオフィスと呼ばれます。
大企業であれば部門が分かれているケースもあるものの、中小企業では小人数で全ての業務を行っていることもあります。支払いや請求などの財務関係、人々の勤怠管理なども支援することから、バックオフィス業務がなければ企業活動は難しいといえるでしょう。
バックオフィスについて詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
他部門との違い
バックオフィス業務とその他の業務の違いは、事務、会計機能を担っている点です。会社の業務は大きく分けて次の3つに分けることが可能です。
・販売、営業
・生産
・事務、会計機能
フロントオフィスが作った数字を計算したり、日々の企業活動における計算、書類手続きを行ったりする場合は事務、会計機能がなければ業務を効率化することができないといえます。そのうえで、バックオフィス業務を効率化できれば、企業全体の業務効率化も不可能ではありません。
バックオフィス業務は、業務フロー を変えることによって、ツールの導入がフロントオフィスよりもしやすい点が大きな違いだといえます。 バック オフィスを行うにあたっても非常に高いスキルが必要となるものもあるものの、定型業務であればシステムやツールでも代替することが可能です。
バックオフィス業務によくある課題
ここからはバックオフィス業務によくある課題についてみていきましょう。企業に必要な業務ではあるものの、効率的に業務が進められる企業と紙でのやりとりが当たり前な企業では大きな差があります。
生産性が低く属人性が高い
共通業務であるものの、特定の人に聞かなければ全くわからないといった状態は属人性が高いといえます。そのため、生産性が低く場合によっては その人がいなければ部署そのものが成り立たないと言った ケースも少なくありません。
この場合は、業務効率化によって時間を作り、人材育成を進めることによって属人性を低くすることが可能です。
繰り返しの業務が負担になっている
繰り返しの業務である定型業務も人力に頼ったやり方では、負担が大きくなるといえるでしょう。場合によっては、定形業務によって1日の大半の仕事時間が終わってしまい、業務が圧迫されるケースも想定されます。
繰り返しの業務の場合は、代替できる手段がないのかといった視点からツールやシステムを探すことによって効率化が可能となります。
分散性が低い
業務フローが整っていたとしてもマニュアル化されていないため、業務を分散できないといったケースもあります。また、自宅でも可能な業務に関して、システムが整っていないせいで出社を強いるような体制となっていることも多い状況です。
無駄が多すぎることによって分散もできない状況であれば、自社の状況を見直し、どのような業務フローになっているのかといった点から整理する必要があります。
バックオフィスの課題はDXで解決できる
ここからは バック オフィスの課題を DX でどのように解決できるのかについてみていきましょう。
DX戦略について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
負荷の高い業務の時間的・人的コストを削減できる
企業として、現在のバックオフィスの状態を把握できれば、負荷の高い業務を分析した上で ツールやAIによってサポートできることから時間的・人的コストを削減できます。時間的余裕が創出できれば、属人性の解消やより企業経営に関わる業務に時間を割くことも可能です。
コスト低下と生産性向上が望める
全ての業務のデータ化が必要となるものの、DX化が進めば業務に関するコストと生産性向上が望めます。例えば、今まで人間がダブルチェックなどを行っていた書類もAIを活用すれば、自動化が可能です。また、Excelの入力なども 自動化すればヒューマンエラーは減るといえるでしょう。
人間が関わる業務を極力減らし、チェック作業のみという状態にできれば生産性向上だけでなく、結果として業績もプラスとなる可能性が高まります。
多様的な働き方の推進が可能となる
バックオフィスのDX化が進めば、人材管理も楽になるため、多様な働き方を促進することにつながります。就業形態が対応的であったとしても管理できるシステムやツールがあれば、企業活動が行えるため より多くの人材に活動してもらうことが可能となるといえるでしょう。
あらゆる業務のチェックや正確性を担保することも、人材の労力に頼る必要がなくなるため、業務の負荷軽減につながります。
DXとバックオフィスの親和性が高い3つの理由
バックオフィスとDXは親和性が高いことから、優先的に取り組むべき事項の1つです。ここでは、親和性が高い理由を3つみていきましょう。
経営の維持に役立つ
バックオフィスは企業活動の土台となる業務です。土台をいち早くDX化することで、バックオフィスの負担が軽減され余裕が生まれます。例えば、何回も繰り返し書類の不備を人力でチェックするといった業務などは、ツールやAIによって効率化可能です。
バックオフィスで生まれた余裕を活用できれば、製造・営業・広報をはじめとしたフロントオフィスのDX化にスムーズに取り組めるでしょう。
バックオフィスは全ての会社に共通する業務です。そのため、自社に合ったシステムやツールを導入すれば独自開発の必要がないため、DX化する際のコストが安価となります。
目的が分かっている
バックオフィスは、「給与支払」「経費計算」「年末調整」など、目的がはっきりしている業務が多いといえます。ペーパーレス化、ダブルチェック削減、稟議書のデジタル化、経費精算の効率化など、どこをDX化すればよいかすぐに分かる点が多いのも特徴です。
業務の目的と効率化すべき目的がはっきりしているため、どのようにDX化すれば良いかすぐにわかります。「請求書の自動化」「現金受け渡し業務の削除」など、DX化の成果がすぐにわかるため、モチベーション向上にもつながります。
最小単位からスタートできる
「経費精算のDX化」「稟議書のDX化」といった、最小単位でのDX導入が可能です。最初から全てのDX化を図ると、多くのコストがかかるため、最小単位でスタートし成果や効果の度合いを見ながらすすめることができます。
そのため「どの程度DX化すればよいか見当がつかない」「コストに見合った成果が得られるかどうか不安」といった場合でも手軽に試してみることが可能です。
例えば、社内からの問い合わせ業務が多いといった場合、AIチャットサービスで解決することができます。早苗ってうまくいった場合は 顧客対応を行う カスタマーサービスなどに AI チャットサービスをさらに導入するといった使い方も可能です。
バックオフィスにDXを取り入れるために大切な5つのポイント
単純なデータ活用だけでなく、思考から変える必要もあるため、DX化にはコストや時間がかかります。新たな業務を覚えなければならないため、社員の負担となる場合も少なくありません。ここでは、バックオフィスにDXを導入するにあたって、気を付けるべきポイントをみていきましょう。
最小単位からスタートできる
DX化は、業務の課題を洗い出し 優先順位をつけることが大切です。場合によっては現場で昔から慣れている方法を変えたくないという抵抗勢力が出ることもあるものの、その場合も次のように納得感を持ってもらう必要があります。
1.業務の現状のメリットとデメリットを把握・説明する
2.ツール、システムによって何がかわりどうなるのか
3.体制の変更後、働き方や業務フローがどうなるのか
DX化により効率化できる業務、コスト削減できる業務を中心に優先順位をつけていきましょう。順位をつけることで、ダブルチェックが欠かせない業務や人的ミスが多発する業務など、優先してDX化したい内容が具体的に見えてきます。
チェック業務や目視確認業務などのツールやシステムによる代替であれば、 現場の従業員からも不満が出にくいため、最小単位から導入しつつ範囲を広げていきましょう。
業務効率化について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
業務効率化の意味から流れ、方法までを解説
専門部署など体制をつくる
DXを推進するには、システムの導入や予算、適正な人材など多くのことを判断しなければなりません。そのため、専門部署を置きしっかりした体制をつくりましょう。
メンバーは、社内業務や経営理念をよく知り、帰属意識が高い人を選ぶとスムーズです。社員の中にIT及びDXの知識が豊富な人材に、参加してもらいましょう。いない場合は、勉強をする・社外の力を借りるなどの工夫が必要です。
例えば、最終的な目標としてデータサイエンティストと経営者の間に立つ人材を作りたいといった場合は、社外のコンサルティングから教育を受けた上で社内で人材を教育し育てていくといった方法もあります。
コストは総合的に判断する
DXの導入にはコストがかかります。例えば、次のような傾向がある点は知っておきましょう。
・安価に導入できるが目的達成はさせやすい
・高コストで機能性が高い
・買い切り型ならば初期費用が主なコストとなる
・クラウドサービスは毎月定期的にコストがかかる。しかし、その分毎月最新の情報に更新され利便性が高い
費用対効果をよく検討した上でDX推進を行っていきましょう。考え方次第ではあるものの、自社の最重要ビジネス課題をクリアできても費用が高額過ぎる場合は別な課題のクリアを目指しましょう。
導入方法をよく検討する
導入方法には、次の3つがあります。
・社内で開発
・ベンダーに委託
・パッケージソフトの利用
社内で開発した場合、何かトラブルがあった際すぐに対応でき便利な一方、現時点で必要な人材がいない場合は人材育成にコストが必要です。
ベンダーに委託し独自システムを開発した場合、自社専用のものを作成できますがコストがかかります。開発までに時間を要する場合も少なくありません。
パッケージソフトを利用すると、安価に導入できます。また、既に開発されているものを利用するためすぐに導入可能です。ただし、自社用にカスタマイズするのは困難な点は把握しておきましょう。
経営層だけの判断をしない
DX化は長い目で見れば、業務の効率化だけでなく、企業が生き延びるための戦略にもなります。データを活用することによって、人材育成や経営戦略、商品に対するマーケティングなども担うことが可能であるためです。また、考え方としてDXを前提として経営が可能となっているため、創造性のある効率的な企業活動が可能となります。
しかし、様々なメリットがあるとしても現場の声を無視したシステムでは、 DX によるメリットを享受することはできなくなってしまいます。経営陣が考えていることと現場が考えていることの優先順位や違いを明確にした上で、 どちらがより企業のこれからに役立つのかを 十分に話し合う必要があるといえるでしょう。
バックオフィス業務を効率化するための手段
ここからは、バックオフィス業務を効率化するための手段についてみていきましょう。部分的アウトソーシングなど、自社の業務の一部を外部に任せる方法なども含めて、業務の実状を把握することが大切です。
経費精算ツールの導入
経費精算に対して時間を要している場合は、経費精算ツールの導入を推奨します。例えば、次のような機能があるため、自社に必要なものを選択しましょう。
・プリペイドカードと交通系ICの連携
・申請書のテンプレート
・申請書の作成と自動申請承認
経費精算でキャッシュレス化を進める理由について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
経費精算でキャッシュレス化を進める理由。メリットと導入手順を解説
ERPの導入
在庫、会計などを統合したERPの導入もバックオフィスを効率化可能です。データを総合的に扱うことが可能となるため、バックオフィスだけでなく、フロントオフィス・経営層にも役立ちます。他のシステムとの連携もできるため、最小単位から導入し、広げていくことも可能です。
部分的アウトソーシング
部分的アウトソーシングは、自社の業務を他社に預け進めてもらうものです。例えば、データの集計やアンケート結果の集計などは外部に任せても問題はないといえます。ただし、何を何処まで依頼するのか、ノウハウが関連する部分を伝えるのかといったルール決めが必要となる点は知っておきましょう。
バックオフィスにおけるDX導入事例
ここからは、バックオフィスにおけるDX導入事例についてみていきましょう。ペーパーレスやデジタル化など、自社と同様の課題であれば参考になると想定されます。
株式会社わかさ生活
わかさ生活は、労務管理のペーパーレス化によりテレワークの推進を図りました。
DX導入以前は、人事労務管理において年間4,000枚以上の書類を扱っており、業務が煩雑化に悩んでいました。書類が多いと、保管場所が欠かせません。
DX化により、業務の煩雑化が解消されました。入社手続きに関しても、従来2週間程度要していたものが1時間で完了できるようになりました。加えて、ペーパーレス化が一気に進み、保管場所の悩みからも解放されています。
税理士法人アイユーコンサルティング
税理士法人アイユーコンサルティングは、経理業務のデジタル化により効率化が一気に進みました。
例えば、源泉所得税に関する業務については、これまで10時間かかっていたものが、たった数クリックで完結するほどにスピードアップしています。さらに、DX化により、経理経験が浅いスタッフも経理業務を請け負えるようになりました。
経理業務を間違いなくこなせるようになるには知識や経験が必要ですが、DX化により「誰にでもできる業務」に落とし込める点はメリットといえるでしょう。
株式会社資生堂
日本国内だけでなく、海外にも広く展開している株式会社資生堂は、法務部門において契約書を自動チェックできるシステムを導入しています。
元々、法務部門は紙ベースの法令集や書籍を参照することが多く、アナログの作業が多いため、DX化により効率化できる業務が多い部門です。そのため、DX化により業務効率が格段にアップしました。
さらに、DXの導入により、法務の習熟度に応じた活用ができるため、新人研修にも効果を発揮しています。これまでは人によりばらつきのあった品質も、DX化により標準化が見込めるようになりました。
まとめ
バックオフィスは全ての企業に必要な業務であり、なければ企業活動に支障があるといえます。また、DX化に成功した場合は効果が見えやすく、時間的余裕の増加やヒューマンエラーの減少などの効果が期待できるでしょう。
社内へのDX導入を考えているものの、どこから手掛けたらよいかわからない場合は、最小単位からツール・システムの導入を検討してみましょう。
NTTコミュニケーションズでは、経費精算ツールであるSmartGo®Stapleを提供しています。モバイルSuicaと法人プリペイドカードのStapleカードが連携できるため、キャッシュレス、ペーパーレスにもつながります。
とくに経費精算の手間が多い場合には、申請や請求の手間が大幅に削減可能です。既存のシステムとの連携も可能であることから、SmartGo®Stapleの利用を検討してみましょう。
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