徳機株式会社 代表取締役社長 岡田哲矢氏

徳機株式会社
代表取締役社長

岡田哲矢氏

徳機株式会社 常務取締役 岡田員幸氏

徳機株式会社
常務取締役

岡田員幸氏

徳機株式会社 業務部設備管理課 清水良太氏

徳機株式会社
業務部設備管理課

清水良太氏

徳機株式会社 設計課主任 カダフィ・エンデ・プトラ氏

徳機株式会社
設計課主任

カダフィ・エンデ・プトラ氏

『工場萌え』などという言葉ができて、夜にライトアップされて輝くプラント、コンビナート群の美しさが一般の人にも注目されるようになりました。しかし、そのプラントが、何のためにあのような威容を誇り、どのような役割を果たしているのか、ご存知の方は意外に少ないかもしれません。一般にプラントとは、大型の産業設備を意味します。そして港湾部などに設けられる巨大なプラントは、高温・高圧になった液体や気体を、大量に取り扱うための設備であることが多いものです。

瀬戸内海は、明治維新以降、日本の造船産業を支えてきた地域で、艦艇向けの燃料精製などをルーツに重化学工業が発展してきました。山口県周南市に本社を構える徳機株式会社は、そうしたプラントで使われる熱交換器、ボイラー、反応器(リアクター)、塔や槽などの部品を製造している会社です。昭和9年の創業以来、高温・高圧に耐える巨大な部品を作り続けてきた、日本の産業を支えている会社です。

徳機の本社工場は山口県周南市の、瀬戸内海に面した土地にあります。巨大な部品は、専用の波止場から船に積んで出荷されています。

(右上から時計回りに)徳機株式会社の岡田哲矢代表取締役社長、業務部設備管理課の清水良太氏、設計課主任のカダフィ・エンデ・プトラ氏、岡田員幸 常務取締役。

 

課題

最大600tの巨大プラント部品
手作業での寸法検査が高コスト

徳機株式会社が製造する反応器や熱交換器といったプラント用の部品は、最大600tもあるような巨大な製品です。これらは、鉄などで作られ、超高温・高圧に耐えながら何十年も使われています。日本の基幹産業を支える大切な部品です。

しかし、長期間使われるものだけあって、設計、手法は古いものも多いのが難点です。
「図面が紙の時もあるほどで、IT化が進みにくいのが現状です。もちろん昨今では、設計などはコンピューター化が進んでいます。しかし交換のために納品する場合、最終的な設置の際にはそれぞれ単品対応しなければなりません」と語る、岡田社長。

なにしろ最大600tもあるような巨大な製品ですから、トラックに乗せて運ぶというわけにもいきません。工場に隣接した埠頭から船に積み込み、海を経由して輸送します。輸送した先で設置し、さまざまな配管を接続して運用するのですが、当然のことながらこの配管がピタリとつながらなければなりません。

ただし、物が巨大なだけに、何度もやり直したり、現場で調整したり……というわけにはいきません。立体的に接続される複数のパイプ類や補機類との接合部分は、寸分たがわず正確である必要があります。そこで事前に現場に直接足を運んで『寸法検査』を行います。
「寸法検査は、設計図通りに作られているかどうかの確認であることはもちろんですが、プラントは長期間使われるものなので、途中で改修が行われて形状が変わっていたり、経年変化している可能性もあります。そのため、あらためて正確な検査をしなければならないのです」と、岡田社長は語ります。

これまでは、毎回エンドユーザー担当と徳機の社員が現地に赴いて計測する必要がありましたが、このコストと時間的ロスが大きな問題でした。

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対策

高精度3Dスキャナーで点群データを取得
CADデータに

そこでドコモビジネスが提案したのが、LiDARを搭載した超高性能3Dスキャナーで現場を計測するという手法です。

LiDARは、最新の高価格帯のスマホにも超小型のものが搭載されていますが、それよりもはるかに大型で、正確なものが使われます。対象物にレーザーを照射して、その反射により取得した点群データを、高性能ノートPCと点群データ処理ソフト『InfiPoints』で合成してCADデータを生成します。

これによって、計測現場での合成確認作業が可能となり、追加の確認作業が不要になります。また5G回線とWeb会議アプリを使用することで、計測データを確認しながらリアルタイムで遠隔地とのコミュニケーションが可能となり、その場で短時間で確認し判断することも可能になりました。
「この手法なら、手書き図面しか残っていない古いプラントや、経年変化で歪みが出ているような古い機材も、計測して、図面を生成することができます。また搬入ルートを決める際に、実際に部品を通すことができるかどうかといったような判断も、デジタルデータ上で行うことが可能になりました」と岡田社長は語ります。

左がニコン・トリンブル製、 右がFARO製のLiDARスキャナー。「LiDARを使った点群データからのCADデータ作成は、これまでのやり方を大きく革新し、効率化を実現すると感じています」と語る、清水良太氏。

高性能LiDARセンサーで計測すると、ご覧のような位置情報を持った点の集合体になります。これを点群データと呼びます。
これを高性能ノートPCと点群データ処理ソフト『InfiPoints』で合成することで、CADデータを生成できます。

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効果

大幅なコストダウンと
工程の効率化を実現

「従来、手作業で計測するしかなかった部分をデジタル化した効果は大きく、寸法検査の工程だけを取っても約280万円/年のコスト削減を実現しています」と語る、岡田社長。

また、現場空間と部品の形状、両者をデジタル化してCAD上で動かせるようになったので、平面的な図面では分かりにくかった裏側の形状の検討なども容易になりました。

さらに、部品、設置場所のデジタル化によって、搬入時のルートの検討や、代替部品設計時の効率化などが実現しており、今後は作業工程全体の効率が上がっていくことも期待されています。
「ほかにも、従来は現場でベテランがやっていた計測を、経験の浅い作業者でもできるようになったことで、女性の活躍の場も増えているんですよ」と、岡田常務取締役は話してくださいました。

点群データからCADデータを生成することで、図面として活用可能なデータを取得することができるようになります。

Field Simulator®

FARO、ニコントリンブル製の3Dスキャナーを利用して点群データを作成。それをエリジオンの点群データ処理 ソフトウェア「InfiPoints」を利用し3Dモデルにすることで、自由視点での現 場確認、3D CADモデル変換、新機材と現況の寸法検査などが可能になります。

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導入サービス

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徳機株式会社

徳機株式会社

事業概要
ボイラー、圧力容器及び鏡板等の部品の製造会社。専門性・先進性・信頼性・機動性の全てを兼ね備えた企業を目指し、豊かな社会づくりに貢献する技術・製品を提供。

URL
https://www.tokkiltd.co.jp


(掲載内容は2023年9月現在のものです)


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