一般財団法人竹田健康財団
スマートシティ構想(※1)の一環としてICT活用に注力
デジタル化により車両運行管理の効率化・自動化を実現
一般財団法人竹田健康財団
法人事務局
局長
東瀬 多美夫氏
「今回、救急車にも導入しました。東日本大震災のときのような災害時の備えになると考えています」
一般財団法人竹田健康財団
介護福祉本部
事務長
浦野 公氏
「初期登録からNTT Comと一緒に最適なシステムを組み上げていきました。おかげで、いい仕組みができたと思います」
竹田テクノエイドセンター
所長
(元・法人事務局 経営企画課 係長)
塚田 徹氏
「導入によって思いがけないメリットもありました。さらなる業務効率化を推進できればと思います」
課題
ドライブレコーダーの導入では解決できない
事業所間での車両の“貸し借り”を効率化したい
一般財団法人竹田健康財団(以下、竹田健康財団、同財団)は、「質の高い保健・医療・福祉の機能を提供し地域の方の健康に関する問題解決を支援する」という使命のもと、地域密着型の医療、福祉、介護、人材育成事業を展開している。同財団の中期経営計画「Vision TAKEDA-2020」では、「良質で最適なヘルスケアサービスの提供」を目標に「ICTの活用による医療・介護の質の向上と地域振興」を重点項目の1つに掲げている。
加えて国が推進する「スーパーシティ」構想に名乗りを上げ、有力候補地である会津若松市で同財団は医療介護の分野でICTを活用したデジタル化を先導している。「地域の健康に関する問題解決を支援する立場として、私たちには医療介護のデジタル化を推し進める使命があります。今回の車両運行管理に関する課題をICTで解決できればモデルケースとして地域に広く浸透させることができると考えていました」と語るのは、法人事務局局長の東瀬多美夫氏である。
多岐にわたる事業を展開する同財団が利用する車両の台数は約80台を数え、そのうち60台弱を介護福祉本部が運営する13事業所が利用している。同本部の事務長、浦野公氏は車両運行管理に関する課題を次のように挙げる。
「車両が足りない際には、各事業所の空き車両を融通し合って対応している状況で、常々車両を増やしたいという要望がありました。しかし、運用が効率化できれば現状の台数で間に合うと考えていたものの、その根拠となる車両の稼働率が把握できていませんでした」(浦野氏)
加えて、車両を利用するスタッフ(ドライバー)が手書きで運行日報を作成するため、終業時に十数分の稼働が発生することも課題となっていた。管理側にとっては、運行日報の精度にもバラつきがあり、記載漏れなども懸念されていた。その転機は、あおり運転が社会問題として注目されるようになったころに訪れる。
「スタッフ(ドライバー)は常に安全運転を心掛けていますが、制限速度で走っていると、後続車にぴったりと後ろに付かれることがあるといった報告が増えていました。さらに豪雪地帯ということもあり、接触事故なども起きており、ドライブレコーダーを導入する要望が高まっていたのです。しかし、それだけでは先般の課題が解決できないモヤモヤがありました」(浦野氏)
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対策
事前の無料トライアル(※3)で課題解決に効果ありと判断
すべての事業車両に車両運行管理サービスを導入
※3 無料トライアルの受付は2023年2月現在行っておりません。
同財団が情報収集を行った結果、たどり着いた解決策の1つが車両運行管理サービスの導入だった。これは車両に通信機能やGPS機能を持つデバイスを装着し、インターネット経由で車両の稼働率などを可視化できるツールだ。浦野氏は「複数のサービスを比較検討したのですが、車両貸し借りの効率化、手書きの運行日報の自動化といった、こちらの条件に合致したのがNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)のサービスです。費用が抑えられることも決め手となりました」と振り返る。
さらに、NTTグループ商材の導入実績やNTT研究所との共同研究といったつながりから得た信頼感も、実装の追い風になったという。同財団が選んだNTT Comの車両運行管理サービス「Vehicle Manager®」は、車両の位置情報はもちろん、急加速、急ブレーキ、速度超過といった運転状況をリアルタイムに把握。交通事故や違反の削減、車両の稼働状況の可視化に加え、運行日報の自動生成でスタッフ(ドライバー)の作業工数も軽減できるサービスだ。
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進ではスピード感が重視される。このため同財団では、まずは事前の無料トライアルで効果を見極めるプロセスを踏んだと語るのは当時、法人事務局で導入の指揮を執った塚田徹氏だ。
「最初は介護福祉本部の事業所で利用する2台の車両に設置し、使い勝手を含めて、こちらが見込んでいた効果が出るかどうかの検証を現場のスタッフ(ドライバー)と一緒に行いました。その結果、特に事業所間での車両予約が効率化できること、リアルタイムな車両の位置や走行ルートが地図上で容易に把握できることを評価し、全車両への導入を決めました」
同財団では13事業所が運用する60台弱の車両に加え、救急車を含むすべての事業車両にVehicle Manager®をドライブレコーダーとセットで導入した。
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効果
車両予約システムで車両の“貸し借り”を効率化
運行日報作成の自動化でスタッフ(ドライバー)や管理者の業務を軽減
各事業所のスタッフ(ドライバー)に対して、空き車両の可視化や運行日報の自動化などのメリットを十分に周知し、一斉導入したものの、稼働直後は多くの問い合わせがあったという。
「これまで電話や紙のやりとりで車両を貸し借りしていたプロセスが、車両予約システムとして一気にデジタル化されました。そこに抵抗を感じるスタッフ(ドライバー)も多く、各事業所の担当事務が予約などを行うことでようやくシステムが回り始めました。いまでは、画面で他事業所の車両の空き状況が一目瞭然で、電話で確認する手間も不要なため、大幅な効率化を実現できています」(浦野氏)
車両を増やしたいという事業所の要望に対しても、的確に対処できているという。浦野氏は「車両を増やしたいという要望があった際にも、直近の車両の稼働率を明確に提示して議論できるようになりました。今後の車両の増減に関するエビデンスになり得ることも評価しています」と語る。
導入時には想定していなかった、輸送の効率化という効果も生まれている。塚田氏は「リアルタイムな車両の位置がわかるので、複数車両の位置を管理者が確認し、連絡を取り、中間地点で荷物の受け渡しをするというような連携も図れています」と話す。
運行日報を作成する必要がなくなったことを喜ぶ声も多数上がっており、本来の業務に集中できるという「働き方改革」を推進するメリットも大きい。
「管理者側でも運行日報の取りまとめは随分と楽になっています。基本的に運行日報は法律で最低1年間保管する必要がありますが、紙とは異なりデータは場所を取らないので省スペース化にも貢献しています」(浦野氏)
今後、竹田健康財団では、会津若松のスマートシティ化に向けて医療介護分野のICT活用に果敢にチャレンジしていく計画だ。
「スマートワールドを標榜するNTT Com、次世代モバイル通信網を担うNTTドコモをはじめ、ICTに精通したグループのシナジーを生かし、誰もが安心、快適に暮らせる地域社会モデルを提案していただき、一緒に会津若松を盛り上げてくれることに期待しています」(東瀬氏)
図 「Vehicle Manager®」導入効果
※1:「スマートシティ会津若松」の実現に向けた取組について
https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2013101500018/
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一般財団法人竹田健康財団
事業概要
1928(昭和3)年、「最高の医療をすべての大衆へ」の理念を掲げ、福島県会津若松市に竹田病院を開業。以降、地域の方々に信頼されるヘルスケアサービスの提供に向けて日々進歩する医療技術や設備を充実させ、医療、福祉、介護、人材育成の幅広い事業を展開している。
URL
http://www.takedakenko.jp/
(PDF形式/2.19 MB)
(掲載内容は2022年3月現在のものです)
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