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フォロワー170万人超え「ショートドラマ」で日本のエンタメを世界へ

フォロワー170万人超え「ショートドラマ」で日本のエンタメを世界へ

「TikTok上半期トレンド大賞2024」で大賞となった「ショートドラマ」をご存じでしょうか。ショートドラマとは、1話あたり1〜3分程度の短尺のドラマのこと。TikTokをはじめとする縦型動画の配信プラットフォームで、Z世代を中心に人気を集めています。 その勢いはすさまじく、TikTok上で #ショートドラマ というタグを付けて投稿された動画の総再生回数は、727億回を突破。2029年には、世界での市場規模がおよそ8.8兆円に達するという試算もあり、国内外でショートドラマを手がけるプレーヤーが続々と現れています。そんななかで2021年5月から活動を開始した、日本のショートドラマ制作のパイオニアとも呼べるクリエイター集団が、「ごっこ倶楽部」です。 ごっこ倶楽部のTikTokアカウントは現在、170万人超のフォロワーを抱えており、平均再生回数は約300万回。また企業案件も数多く手がけており、オリジナル作品と同様に数百万回再生に達するショートドラマを生み出し続けています。 今回は株式会社GOKKO ビジネス部門統括 執行役員の中矢啓樹さんに、なぜショートドラマというジャンルにいち早く目をつけることができたのか、そして「日本のエンタメを世界に届ける」というごっこ倶楽部が目指す未来について、話を聞きました。

目次

写真:中矢啓樹

中国で先に確立された「ショートドラマ」

もともと縦型のショートドラマは、中国版のTikTokである「抖音(ドウイン)」や「快手(クアイショウ)」といった、縦型動画投稿プラットフォームで人気のカテゴリーとして確立されていました。中国のトレンドは、日本からおよそ2年ほど先駆けていると、私たちは見ています。

そうした動きを見て、スタートからどんどんコンテンツを生み出していけるような体制を組んでショートドラマ制作に挑戦し始めたのが、ごっこ倶楽部の成り立ちです。

その頃から「日本一の縦型ショートドラマのクリエイター集団」として認知されることを目指していて、最初の1年間は、自分たちのスタイルで面白いコンテンツを確実につくり出せるチームを立ち上げることに注力しました。

ごっこ倶楽部のTikTokアカウント。再生回数が1000万回を超える動画も
ごっこ倶楽部のTikTokアカウント。再生回数が1000万回を超える動画も

マネタイズせずにコンテンツづくりに集中すると戦略的に決めたので、ごっこ倶楽部として活動を始めた当初は、融資で運転資金を確保していました。

そのかいもあって投稿を始めて間もない時期からバズを生み出すことができており、これまでに伸び悩んだ時期はありません。

2021年に活動を始めたのですが、2022年には株式会社GOKKOを設立。投資家からの資金調達によって、事業成長を加速させています。

中国で先に確立された「ショートドラマ」

活動開始から1年経った頃から、企業案件のショートドラマ制作を引き受け始めました。

これも実は中国が先行しており、例えば企業のスポンサードでショートドラマが制作されていたり、企業からお金をもらった配信者が商品を使ったドラマを投稿したりするような事例が生まれていました。

GOKKOで代表取締役を務めている多田智は中国にルーツをもっていて、中国語も堪能なことから、現地の最新情報をタイムリーにキャッチアップしながら、ごっこ倶楽部の活動の参考にしています。

そのため当初から、企業案件の受注によるマネタイズを想定して、活動に取り組んでいました。

企業との取り組みが、創造性を豊かにする

私たち自身はGOKKOを、単にショートドラマをつくってウェブマーケティングを支援する会社ではなく、Z世代向けのブランドマーケティング企業だと思っているんです。

そのためおのずと、案件を引き受ける対象企業は、ブランドマーケティングという概念を理解して活動しているような大企業になってきます。

企業との取り組みが、創造性を豊かにする

私は前職でユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営するユー・エス・ジェイに勤め、マーケティングの仕事をしていました。

GOKKOのビジネスサイドには、マーケティングの手段として、いかにショートドラマを駆使するかを考えられるメンバーがそろっています。

企業との取り組みで大切なのは、その企業が考えていることを理解したうえで、どうクリエイティブに落とし込むかという翻訳力です。名だたる企業との案件も、その点を意識して主導することで、スムーズに取り組むことができました。

事業の土台として、ごっこ倶楽部のTikTokアカウントでのショートドラマの投稿は、現在も継続しています。

これはZ世代や縦型動画プラットフォーム上のトレンドを把握するためで、最前線でクリエイターとして作品をつくり続けることを大切にしていますね。

ごっこ倶楽部が制作したオリジナルのショートドラマ
ごっこ倶楽部が制作したオリジナルのショートドラマ

企業と案件をご一緒するのは、オーガニックな投稿で安定して結果を残せているトップクリエイターたちです。

企業のブランディングに寄与しながら面白いコンテンツをつくるというのは、制約がかかります。そのため難易度も高まるのですが、その分たくさん予算が付いて、自分たちが普段つくっているコンテンツよりも創造性豊かな作品を生み出せる可能性があるんです。

ごっこ倶楽部提供の資料より抜粋
ごっこ倶楽部提供の資料より抜粋

目指すのは、日本のクリエイターの地位向上

企業案件の受注に加えてマネタイズの手段として考えているのが、ショートドラマの販売です。

視聴者が見て面白いと思った作品を、そのまま買ってもらう。私たちは、日本のコンテンツを世界に届けていきたいと考えています。その実現のために、ビジネスモデルがとても重要だと思っていて。

例えばテレビドラマの制作は、スポンサー企業からテレビ局に支払われる広告費で賄われています。こうしたモデルは、あれだけの視聴率をたたき出した「VIVANT」でさえ赤字といわれているように、すでに崩壊の様相を見せていると感じています。

一方で、ネットフリックスをはじめとする大手動画配信サービスは、面白いコンテンツをつくることが視聴者からの課金につながり、全世界を対象としているので原資も大きく増え、さらなる投資でコンテンツを生み出していくという成功したビジネスモデルをもっています。そこに僕らはチャレンジしています。

目指すのは、日本のクリエイターの地位向上

具体的には、縦型ショートドラマは、漫画アプリと同じように、作品の続きが気になったら次の動画を課金して購入するモデルが生まれ、市場が立ち上がり始めています。

これは中国でも同様のビジネスモデルがすでに成立しており、私たちとしても重点的に狙っていきたいと考えていますね。

この新しいビジネスモデルへのチャレンジで念頭にあるのが、クリエイターへの還元です。日本のドラマ制作会社の数が減少傾向にある一方で、韓国の同業の勢いが増しているのは、やはりビジネスモデルに起因する問題が大きいと考えています。

日本で、縦型ショートドラマも含めたドラマクリエイターの数を増やし、その地位も向上させたい。クリエイティブに向き合って成果を出せば、待遇面でも恵まれるような、魅力的な仕事にしていきたいという思いがあります。

優秀なクリエイターが参入することで、より面白いものをつくれるようになりますし、企業との取り組みもバラエティーに富んだものになっていくでしょう。まずは社内で、そのような循環をつくりたいと思っています。

業界をリードし、日本のエンタメを世界へ

いまはまだ、ショートドラマの制作経験があるクリエイターが少ないため、社内で未経験者から育成する仕組みを整えています。

一般的なテレビドラマ制作だと下積みを経て10年といった時間をかけて監督になるかと思いますが、私たちの場合は早いケースだと3カ月で監督としてデビューしています。

それでも事業の成長に人材の成長が追いついていない状況なのですが、逆にいうとそれだけクリエイターにとってチャンスが転がっているともいえると思います。

経験がなくても、SNSを毎日欠かさず見ていていま何がはやっているかを理解しながら、ドラマをつくりたいという強い気持ちのある人はウェルカムです。

業界をリードし、日本のエンタメを世界へ

ビジネスサイドに話を戻すと、創業から3期目の会社が、トヨタ自動車や日本航空、NTTドコモなど、日本を代表する大企業と取り組みをご一緒できていること自体、とてもまれな例だと思っています。

これはやはり、「日本一の縦型ショートドラマのクリエイター集団」になることを目指してきた結果、ショートドラマという手段でZ世代に対する認知度を高めるという、他に類を見ない成果を生み出せるようになったからだと思います。

「Z世代向けのブランディングカンパニー」として、引き続き業界をリードする存在になっていきたいですね。そしてごっこ倶楽部は、日本のエンタメを世界に届けることを本気で目指していきます。

後編では、ごっこ倶楽部とタッグを組んでショートドラマを制作・投稿し、平均再生数が250万回に達しているNTTドコモの事例について、話を聞きます。

この記事はドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております 。

執筆・編集:加藤智朗
撮影:大橋友樹
デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)

インタビュー後編

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