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【伝わる広報】TVプロデューサーが教える、注目される情報発信

【伝わる広報】TVプロデューサーが教える、注目される情報発信

地方創生やローカルベンチャーが盛り上がりを見せる中、中小や地方企業の発信力のアップが急務となっています。商品開発しても首都圏にPRする方法がつかめない、自社の魅力をどう伝えればいいのかわからないなど、課題は山積みです。日本テレビ放送網株式会社「news every.」前統括プロデューサーで、『情報洪水時代の歩き方』の著者大野伸さんに、メディアが注目する情報発信のポイントについて伺いました。(1回目/全2回)

目次

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大野伸氏
大野伸
日本テレビ放送網株式会社 「news every.」前統括プロデューサー。1996年に日本テレビ放送網入社。報道局に配属。2016年より報道局にて「Oha!4 NEWS LIVE」プロデューサー、2018年から2022年まで「news every.」統括プロデューサー。

外部の“目”で売りを見直す

情報が溢れる今、情報リテラシーを高め、活用するスキルが求められています。著書『情報洪水時代の歩き方』(同文舘出版)で、情報を正しく活用し、消費する方法について伝えている日本テレビ「news every.」の前統括プロデューサー大野伸さんは、地方創生の発信について講演などでメディアの視点から助言を求められることが多いそうです。
その中で、メディアが取り上げたくなる発信を妨げるある要因について伝えることが多いと言います。

大野:「一番に考えなくてはならないのが『目線』です。その地域のことをよく知っている人の目線と、外部の人が初めて見たときの目線はまったく違う。これに気づくことが大事だろうと思っています」

外部の人から見たとき、魅力的に感じるものについて考えてみる。 inusuke / iStock

大野さんは、その「気づき」の先にこそオンリーワンのコンテンツがあると言います。

大野:「たとえば、以前石川県の経済団体の方からのご質問で『沖縄のように美しく青く海を撮影する方法はないでしょうか』というものがありました。でも、日本海の海に青さと凪を求めている人がいるでしょうか。それよりも、荒波だからこそカニや魚介類がおいしいということを売りにしたほうがいい。私は『青い海を撮影することよりも、トライアスロンを企画して、終わってからおいしいカニが食べられるようにしたほうがいい』とお伝えしました」

石川県が沖縄の青く澄んだ海を目指す――。このような現象は地方や多くの企業で見られる現象だと言います。

大野:「情報を発信しても魅力的に伝わらないのは、そもそも伝えるべき情報の選択が間違っているからかもしれません」

名産品アンコンシャス・バイアスから抜け出す

多様性を認め、包括する社会を目指すD&I活動の中で注目されているアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)。それを自覚し、行動変革へとつなげる取り組みが、多くの企業で進められていますが、情報発信にも、無意識の偏ったモノの見方が大きく影響しているようです。

大野:「地方の場合だと、やはり愛郷心があるが故に『これが名産品だ』『これこそうちの魅力だ』と思っているものから目線が離れない傾向があります。だからこそ、絶対に地元の人間だけで話さないほうがいいと私は思います。そういうときこそ、外から来たメディアや東京から県庁に出向してきている官僚らの目線を借りると、新しい発想があるだろうなとは思います」

地域や自社が知らず知らずのうちに抱えているアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)を解消することで本当の魅力が見えてくる arrowsmith / iStock

地方や会社特有の「うちの魅力はこれ」という思い込みを外すために、外部の目線を借りること。これは、どんな企業や自治体でも試せる発信力強化の第一歩になりそうです。

大野:「東京から来たお客様扱いではなくて、そういう方を巻き込んで地域の応援団をつくることで、新たな魅力が見えてくるかもしれません。他にも、テレビやラジオなど地方局から東京支社へと出向していた人、東京に本社のある大手企業の方が地方に赴任されていることは多く、『東京の人が見るとどう感じるでしょうか』と尋ねてみると新たな道が開けるかもしれません」

ブームに乗ることで情報発信力はアップする

地域や自社の魅力に気づき、今まで見ていなかったものに価値を見いだすことができたとして、それらをどう発信すれば全国に広めることができるでしょうか。大野さんは「ブームに鍵がある」と言います。

大野:「日本中、世界中、また、東京でブームになっているワードに乗っかるというやり方がありますね。ゆるキャラがはやったら熊本がくまモンで有名になりましたし、マラソンブーム、健康ブームと、日本中にブームがあります。そこにエッジを引っ掛けて発信するんです」

大野さんが以前フランスで聞いた、面白いコンテンツ(イベント)があると言います。それは、フランスのボルドーマラソン。まさにマラソンブームに乗っかったコンテンツでした。

大野:「フランスのボルドーのワイナリーを巡りながら、給水ではなくワインを飲みながら走る。仮装して、飲みながら、ヨタヨタ走るんですが、経済効果、PR効果は抜群ですよね。これを地方や自社のコンテンツに置き換えてみる。ユズが有名なら、マラソンの給水スポットにユズ水を用意してみるだけでもいい」

ブームの力を借りながら、オリジナルコンテンツを生み出す skynesher / iStock

東京のマネをするのではなく、でも東京発のブームにも乗っかってみることで、エッジが効いたオリジナルのコンテンツとして話題になり、首都圏のメディアが取材に来ることも少なくないと言います。

大野:「新たな目線で自社や地域のコンテンツを見たり、他の地域の名産を見たり、東京を見たり。複眼的なプロモーションを仕掛けていくことが、地域活性化につながると思っています」

後編では、地方や中小企業の発信担当者や個人が持つべき情報リテラシーや発信力アップの方法についてお伝えしていきます。

この記事はドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております。
取材、執筆:MARU
デザイン: 山口言悟(Gengo Design Studio)
編集:岩辺みどり

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