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企業も消費者も得をし、食品ロス削減にもつながる「ecobuy」とは

企業も消費者も得をし、食品ロス削減にもつながる「ecobuy」とは

消費者が賞味期限の短い商品を購入することを支援するポイントサービス「ecobuy」が誕生。ecobuyは食品ロスを抑えつつ、小売店やメーカーにもメリットをもたらします。

目次

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「食品ロス」を認知する人、取り組む人は年々増えている

「食品ロス(フードロス)」が社会問題となっています。食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。SDGsで掲げられている「つくる責任つかう責任」に該当する課題で、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」という目標が掲げられています。

消費者庁の資料(※)によると、日本の食品ロスの量は、年間約612万トンで、これは国連世界食糧計画(WFP)の食糧援助量である約390万トンの約1.6倍の量に当たります。内訳としては、事業系で328万トン(54%)、家庭系で284万トン(46%)とほぼ半分となっています。

(※) 「消費者庁消費者教育推進課 食品ロス削減推進室 食品ロス削減関係参考資料(令和2年6月23日版)」

食品ロスに対する関心も高まっています。消費者庁が2022年にインターネット上で食品ロスの認知度を調査した「令和3年度消費者意識に関する調査結果報告書」によると、約80%の人がが「食品ロス問題を知っている」と回答しています。

食品ロス問題の年代別認知度
(※)消費者庁「令和3年度 消費者の意識に関する調査 結果報告書」 をもとに編集部で作成

さらに、食品ロス問題を認知し、削減に取り組む人の割合については、平成30年度の調査では71.0%でしたが、令和3年度には78.3%に高まっています。

食品ロス問題を認知し、食品ロス削減に取り組む人の割合
(※)消費者庁「令和3年度 消費者の意識に関する調査 結果報告書」 をもとに編集部で作成

消費者が賞味期限に近い商品を選びたくなるポイントサービスが誕生

食品ロス削減につながる取り組みにはさまざまなものがありますが、もっとも簡単な行動のひとつが、賞味期限・消費期間が近くなった食品を購入することです。たとえば環境省でも、スーパーマーケットの商品棚の手前にある商品など、販売期限の迫った商品を選ぶ購買行動として「てまえどり」を推奨しています。

最近では、消費者が賞味・消費期限の短い商品を購入することを支援するポイントサービスも誕生しています。それが、ドコモビジネスの「ecobuy(エコバイ)」です。

ecobuyは、食品ロス削減の認知・啓蒙活動を目的として開発されたサービスで、ecobuyのアプリを使い、賞味期限・消費期限が間近となった商品を店舗で購入すると、ecobuyの会員(消費者)へポイントが付与される仕組みとなります。

ecobuyの登録からポイント付与までの流れは、下記の1~5のようになります。

1. 店舗側が、ecobuy対象商品の情報(写真、付与ポイント数など)をシステムへ登録する。
2. 登録された商品情報がecobuyアプリを通じ「レコメンド」としてecobuy会員(消費者)へ通知される。
3. 通知された情報をもとに、ecobuy会員が対象商品を購入する。
4. 購入した商品とレシートをecobuyアプリで読み込み、「ポイント還元申請」としてポイントセンターへ送信する。
5. ポイントセンターが「ポイント還元申請」の情報を基に内容を確認し、条件に合致すればポイントを付与する。

ecobuyは消費者/小売・流通/メーカーの3者すべてにメリットがある

ecobuyは、消費者、小売・流通、メーカーの3者すべてにメリットをもたらすことを狙ったサービスとなります。

まず消費者は、ecobuyポイントを集めるために期限間近のものを購入する意識が働くようになり、「たとえ期日間近であっても購入したい」といったマインドを持つようになります。その結果、小売・流通業者は、見切り販売や廃棄にかかっていたコストを削減できるようになります。

メーカー側も、業界の「1/3ルール」によって商品を廃棄することがなくなります。1/3ルールとは、商品の製造日から賞味期限までの期間を3つに分け、メーカーから小売・流通業者に納品する場合は、最初の3分の1の間に行うという慣例です。つまり、賞味期限が1/3を過ぎてしまった商品は、メーカー側は出荷できず、未出荷商品として廃棄しなければいけませんでした。

しかしecobuyのような取り組みが社会に浸透すれば、消費者は期限間近の商品でも購入をためらいません。そのため小売・流通業者も、たとえ商品が1/3ルールに沿っていなくても、納品を断る理由がありません。納品の期限が緩和されることによって、メーカーが未出荷商品を廃棄することも少なくなるでしょう。

EcoBuyがもたらす変化
(※) 東京都/NTTドコモ「平成29年度 東京都「持続可能な資源利用」に向けたモデル事業ecobuy 実証実験」

ヨーグルト・納豆・チルド商品で効果を発揮

ecobuyは2021年よりサービスが開始されていますが、サービス開始前にあるスーパーで実証実験が行われました。この実験では、ecobuy対象商品としてポイント還元が行われた商品の廃棄数から利用傾向を調べたところ、特にヨーグルト、納豆、チルド食品で効果的な結果が見られました。

ヨーグルトはもともと商品の回転率が高いこともあり、期限間近の商品が店頭に並ぶ機会があまりありませんでした。しかし、ecobuyの導入によって、期限間近のヨーグルトがあることが消費者に伝わったことで、11個のポイント申請が行われ、廃棄されたのはわずか1個だけとなりました。

納豆も商品回転率が高く、期限間近のものが並ぶことの少ない商品でした。しかし、ecobuyによって8個のポイントが申請され、廃棄量はゼロでした。

チルド食品は、期限間近のものが他の商品と比べて多く棚に並べられていたこともあり、廃棄個数は8個と多めでしたが、それ以上にポイント申請が42個と、想定よりも多い数値となりました。廃棄量削減効果が高い商品と分析されています。

実験後のアンケートでも、ポイントがたまる点と社会的問題に貢献できる点から、今後も継続したいという声が90%近く寄せられました。

今後もEcoBuyを継続して利用したいと思いますか?(「継続して利用したい」と回答した方)その理由を教えてください
(※)東京都/NTTドコモ「平成29年度 東京都「持続可能な資源利用」に向けたモデル事業ecobuy 実証実験」

ecobuyは、マーケティング戦略においても活用できるサービスです。利用するためには会員登録が必要なため、消費者情報を分析することもできます。ecobuyを消費者の注目を集めるためのプロモーションや、優良顧客を育成するためのツールとして利用することも可能です。

食品ロスへの取り組みは、自社がSDGsに取り組んでいることのアピールにもなるうえ、環境・社会・ガバナンスに考慮した投資である「EGS投資」にも繋がります。店舗を運営するうえでは、商品の廃棄の問題を無視することはできませんが、ecobuyのような取り組みは、その解決方法の一つと言えるでしょう。

※本記事は2022年8月時点の情報を元に作成されています。

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