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専門家に聞く、中小企業がSNS運用において意識すべきポイントとは?

専門家に聞く、中小企業がSNS運用において意識すべきポイントとは?

目次

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企業のマーケティング施策において、SNSは今や欠かせないものになってきています。中小企業がSNS運用で成功するためにはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。企業へのSNS運用支援を行っている田村憲孝氏に運用のポイントを聞きました。

1.中小企業こそ、顧客とのコミュニケーションにSNSを使うべき

日本では、2010年頃にTwitterやFacebookが紹介され、それ以降一気にSNSユーザーが増えました。Twitterは4,500万人、Instagramは公表の数字で3,300万人ですが、実際には5,000万人近くのユーザーがいると言われています。そんな大きな数字を持つSNSを企業が利用しない手はない、と田村氏は言います。

ソーシャルメディアコンサルタント 田村憲孝氏

ソーシャルメディアコンサルタント
田村憲孝氏

「これだけの人間とつながれるチャンスがあるということ自体、昔では考えられないことです。とくにテレビや新聞などのマス広告を簡単に打つことができない中小企業こそ、SNSを活用していくべきです。SNSを上手に使っているところと使えてないところでは、今後大きな差が開くでしょう」

企業がSNSを使う目的としては、まずは潜在顧客とのコミュニケーションを深め、会社や製品、ブランドのファンをつくること。もう一つは直接、購買につながるプロモーション活動です。SNSの活用の仕方は企業によってさまざまで、正解はないと田村氏は言います。

例えば、ある地方の醤油屋さんは現在、約9万人のTwitterのフォロワーを抱えています。トップ画面のリンクをクリックすると販売サイトに飛ぶようにしており、現在ではTwitter経由の売り上げが伸びているといいます。

「この店は当初、フォロワーの数が増えず苦戦していました。ところがフォロワーが70人になって、大喜びしたツイートをしたところ、『70人で喜んでいるなんて、かわいい』と話題にとなり、2日ほどでフォロワーが約2万人に増えました。こういったケースは再現性こそ低いものの、Twitterをやっていて、日常的にフォロワーとコミュニケーションをとっていたからこそフォロワーが激増したといえるでしょう」

もうひとつ、田村氏が成功事例として挙げたのが、あるBtoB企業のケースです。この企業はYouTubeで自社製品の操作法やメンテナンスに関する情報発信をしており、それが売り上げの向上につながっていると言います。

「製品を求める人がネットで検索し、YouTubeで操作法やメンテナンスの方法を確認したうえで、問い合わせをしてくるそうです。チャンネル登録者数は1,000人にも満たない数字ですが、少人数相手でもターゲットを明確に定めて情報発信をすれば、効果をあげられることを示している事例です」

2.SNS運用ポイントは、投稿内容の精査より接触頻度をあげること

田村氏によると、SNSを使うことで業績向上につなげている企業は少なくないと言います。ただ、SNSといってもさまざまな種類があります。まずは何から始めればよいのでしょう。

「まずは、TwitterとInstagramを押さえてもらったほうがいいと思います。単純に使っている人の数が多いからです。顧客層から考えるなら、ある程度、年齢層が高ければFacebook、女性ターゲットならInstagram、とくに限定しないならTwitterから始めるといった形でよいと思います。運用する担当者が普段よく使っているものがあれば、そこから始めるのも意外と有効です。普段、自分が使っているSNSのほうが、ユーザーの心理や求められているコンテンツがよくわかるからです」

企業アカウントの運営で大事なことは、ユーザーの立場に立つこと。一方的な宣伝ばかりすると、ユーザーは離れていきます。とくに中小企業の場合、個人ユーザーの延長線上で使ったほうがうまくいく傾向があると、田村氏は言います。

ただ、SNSでの発信は継続するのが難しいのも現実です。とくに初期は、フォロワーからの反応が少ないため挫折してしまいがち。継続する秘訣はあるのでしょうか。

「Twitterの場合、最初は『おはようございます』『今日は天気がいいですね』といった挨拶のような投稿でかまいません。どんな内容でも投稿すれば、自社名とロゴなどのアイコンがフォロワーの目に入ります。駅やビルの屋上に会社名だけ書かれた看板がありますが、あれと同じようにコミュニケーションの機会としての効果は十分あるのです」

投稿するネタがない時は、ほかの人の投稿に「いいね」をする。会社や商品名を検索し、よい投稿をしてくれている人にお礼のコメントをする。そんな風にSNS上でこまめに行動し、存在感を継続的に示すことが何より大事だと田村氏は言います。

3.SNSごとの特色に合わせて、動画を活用することもおすすめ

SNSを始め、慣れてきたらぜひ挑戦したいのが動画の活用です。SNSは通信の大容量化ともにテキストから画像、動画へとトレンドが移ってきています。動画はテキストや写真より目を引きやすく、注目されやすいのです。

SNSごとの特色に合わせて、動画を活用することもおすすめ

「まずは、スマホで簡単にとった動画をInstagramのストーリーズで流す程度で十分です。商品の製造工程を流すだけでも、興味を持つ人は意外といるものです。その会社やお店の人にとっては当たり前の日常が、一般の人に『ウケる』というケースも少なくありません。気軽に投稿し、顧客やフォロワーになにが響くかを検証していきましょう」

FacebookやTikTokには、他のSNSにはないメリットがあります。それらを活用することで、さらに効果はあがると田村氏は言います。

「Facebookは広告配信が有効です。1投稿500円、1,000円で爆発的に効果が出ることがあります。とくに自社製品に関心の高い層に絞って効率的に広告を送れるのが魅力です。また、東南アジアやアメリカではFacebookが非常によく使われているので、海外展開やインバウンド事業を行う企業は必須だと思います」

エンタメ系のイメージがあるTikTokも、最近はビジネス用途で使われるようになっています。ランダムにコンテンツが表示されるため、フォロワーが少なくても情報が拡散しやすいのが特徴です。

「極端に言えばSNSは今日始めて、すぐに成果がでる可能性があります。複数のメディアを使えばその分、たくさんの人にメッセージが届くので、余力があればぜひTikTokなども活用していただきたいですね。まずは、Instagram用に作成した動画をTikTokに流用するという使い方からでもかまいません」

4.SNSを「炎上させない」秘訣とは

続いて実際に中小企業がSNSを運用する場合、どのような体制で取り組めばよいのかを聞きました。

「SNS運用は成果が見えにくいため、一人で運用していると孤独やストレスを感じます。また、その人が休むと投稿が止まったり、異動や退職で一時的に運用できなくなったりします。よって、せめて二人以上は日常的にSNSに触れる人を置いてほしいですね。

SNSはリアルタイム性が大事なので、投稿内容はある程度、現場の裁量に委ねるということも大事です。ただ、炎上したり、投稿内容のことで判断に迷ったりしたときに相談できる責任者は必要でしょう」

SNSの世界では『消したら燃える』との言葉があると言います。炎上した際、慣れていないと即座に投稿を削除してしまいがちです。しかし、このような行動は火消しになるどころか企業側の隠蔽と受け取られスクリーンショットがネット上で拡散されるなどして、さらに炎上することがよくあります。一呼吸置けば、投稿はそのままにしたまま謝罪文を出したり、後ほど削除しますと投稿したりするなど、冷静な判断ができると田村氏は言います。

もちろん、最初から炎上しないに越したことはありません。そこで、田村氏に炎上させないための秘訣を聞きました。

「一番大事なのは、過去の炎上事例を知っておくことです。今、世の中で炎上しているもののほとんどは、以前に似た事例が起こっています。それを知らないから、同じことを繰り返してしまうのです。また、炎上の形は時代とともに変わります。昔はTwitterの不用意な発言が多かったのですが、ここ数年Instagramのストーリーズでの炎上も増えています」

最近は個人アカウントが炎上し、それが企業アカウントに飛び火することもあります。よって運用担当者だけでなく、すべての社員にも炎上事例を共有し、定期的に注意喚起することが大切です。

「SNSの膨大のやりとりのなかで炎上する割合はごく一部です。10年ほどSNSの仕事にかかわっている私も、お客様が炎上したことはありません。常識を持った上で最低限のことさえ気をつければ必要以上に、神経質にならなくてもよいでしょう」

SNSを「炎上させない」秘訣とは

5.ビジネスにおいて、今からでもSNSを始める意義は大きい

最後に、今後も新しいサービスが登場するであろうSNSに対して、中小企業はどのような心がまえで向き合えばよいのかを聞きました。

「今後のSNSの大きな流れになりそうなのがメタバースです。どの時点で普及するかは私も注視しているところです。この先メタバースのように新しいスタイルのSNSが登場しても、あわてて飛びつく必要はありません。既存のメディアである程度の影響力をもっていれば、新たな SNSへそのままフォロワーを移行できるからです。

また、IT の世界では先行者利益が重要だと思われがちですが、SNSではそのようなことはありません。十分に普及した段階から始めても、成果をあげることはできます。ですから、今からでもTwitterやInstagramのような既存のSNSをはじめる意義は非常に大きいのです。中小企業のみなさんにはぜひあまり難しく考えず、第一歩を踏み出していただきたいと思います」

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