1.情報感度の高い社会で育ったZ世代
1990年半ばから2010年代ごろに生まれた世代を、Z世代ということがあります。もともとZ世代は、アメリカなどの英語圏において生まれた言葉でした。
アメリカでは、1960年代中盤から1980年ごろ生まれをX世代、1980年ごろから1990年代中盤生まれをY世代としており、それに続く世代がZ世代です。諸説ありますが、Z世代は2022年現在では、おおよそ12歳から25歳の若者を指すことが多いようです。
Z世代の特徴として挙げられるのが、生まれたときからインターネットが利用可能な環境で育ってきた点です。携帯電話もいわゆるガラケーではなく、スマホを日常的に使い、SNSなどにも触れてきています。このような特徴から、Z世代をデジタルネイティブ世代と呼ぶこともあります。
今後、Z世代の多くが、青年期を迎えて社会人となります。加えて、情報感度の高い環境で育ってきたZ世代は、それよりも前の世代とは異なる価値観を持っているともいわれています。
マーケティングの世界では、こうしたZ世代が、今後の消費や購買力にどのような影響をもたらすか、注目を集めています。さらに今後は、企業の労働力という面でも、Z世代の特徴を踏まえた人材活用術がポイントとなるでしょう。
2.Z世代が持つこれまでにない価値観
新たな価値観を持つと言われているZ世代ですが、その特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。
前述のように、デジタルネイティブとも言われるZ世代は、ITリテラシーが高いことが特徴です。幼いころから日常生活においてインターネットを活用してきたことから、ITツールやSNSを抵抗なく使いこなします。

それに伴い、国内外のさまざまな情報に触れる機会が多かったため、価値観にも特徴があるといわれています。たとえば、個人から発信されたさまざまな情報を受信してきたことで、自然と多様性を重んじる価値観が形成されているケースが多いようです。
また、入念に口コミやSNSの反響をチェックする傾向があるZ世代は、保守的な金銭感覚を持っている人が多いともいわれています。大切にしているのは、これまでのようにモノを消費するという価値観ではなく、モノを利用することによって得られる体験です。そのため、そのモノ自体が、自分の価値観にマッチするか否かを重視する傾向にあるようです。
3.多様性に対応する環境の整備が必要
これから社会に出てくるZ世代は、言い換えると将来的な企業の担い手となる存在です。そんなZ世代は、働き方についてどのようなことを求めているのでしょうか。
さまざまな調査やアンケートをまとめると、Z世代は働き方に対して、「自分の価値観を大切にしながら、効率的に自分らしく成長したい」というような考えを持っているケースが多いようです。
しかし、ひとくちにZ世代といっても、全員が共通の価値観を持っているわけではありません。さまざまな特性を持つ従業員がいるということを踏まえ、企業側はまずその価値観を知ることが重要です。
ワークバランスの整備はもはや前提です。今後はますます、個人の生き方に合った働き方が実現できる企業づくりを構築することが求められるでしょう。テレワークなどの場所や時間にとらわれない働き方の導入や定着も重要です。
一方、新たな価値観を持つが故に、従来の価値観が通用しないという点も見られます。例えば、「上司の言うことは絶対」「お金よりやりがい」「3年は退職しない」といった、従来の価値観とは異なる考えを持っています。しかし、経験を通じて学び、納得感のある指導を期待する部分があるため、堅実で真面目な世代ともいえるでしょう。
4.Z世代は中小企業の救世主になり得る?
中小企業なかには、従来とは異なる価値観を持ち、ITツールを巧みに操り、情報発信に抵抗のないZ世代を敬遠してしまう経営者もいるかもしれません。しかし、Z世代は、デジタルネイティブだからこそ、企業の新たな担い手として活躍する素養を持ち合わせているともいえます。
特に、デジタル化を推進したいものの、ノウハウを持つ人材が少ない場合は、Z世代を登用するのも一つの方法です。社内のデジタル化やITを活用した新たな働き方を、積極的に提案してくれるかもしれません。自社が抱えるITにおける課題を、デジタルネイティブが持つ強みを生かし、解決へ導いてくれる可能性もあります。
日本では、労働人口の減少により、企業の人手不足が大きな課題となっています。こうした状況において、高いITリテラシーを持ったZ世代は貴重な存在です。そんなZ世代を積極的に活用できるよう、時代に合わせた職場環境の整備に努めることが求められるでしょう。