最初にクラウドありきの事業変革は、ときに想定外の悲劇を招きます。「サーバーをクラウド基盤に移行したのに、思うような成果が得られていない」「働き方改革に向けてパブリッククラウドサービスの全社導入を図ったものの、いっこうに生産性が向上できない」「むしろ運用にかかるコストや稼働が増加し、社員からのクレームが増えている」といった声も少なくありません。そうした悲劇の多くはクラウドと利用者を結ぶネットワーク基盤の設計変更を後回しにしたことに起因します。今回は3つのケースをもとに、クラウドファーストで起きた深刻なネットワークトラブルと的確な改善策を具体的に解説していきます。
ケーススタディ
ケース1快適なクラウド活用には高品質な専用線が必須?
事態を「大げさ」にしないスマートな増速対処術
顧客A社
業種 | 製造 |
---|---|
拠点数 | 5拠点 |
既存WAN回線 | MPLS |
既存インターネット接続 | DC集約型(他社ベストエフォート) |
要約
- クラウド移管に伴うインターネット遅延の社内クレームを削減
- 度重なるゲートウェイの構成変更によるIT担当者の稼働を圧縮
- 増速対応に向けて予算面で断念した専用線に変わるもの
課題
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ネットワークの混雑
曜日や時間帯、一時的な要因で混雑が発生
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クラウド活用の懸念
クラウドサービスの快適な利用に向けた増速対応が必須
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IT担当者の負荷増大
頻発する構成変更で通常業務に支障が発生
効果
IPoE化で遅延、輻輳を解消、IT担当者の稼働も軽減!

曜日や時間帯、一時的な要因で混雑が発生

クラウドサービスの快適な利用に向けた増速対応が必須

頻発する構成変更で通常業務に支障が発生
IPoE化で遅延、輻輳を解消、IT担当者の稼働も軽減!
A社では業務システムのクラウド移管に加え、働き方改革の一環として、新たなパブリッククラウドサービスを活用したWebメールの積極的な導入を進めてきました。しかし、そのアクセス回線となるインターネット接続に遅延、輻輳が発生し、社内からのクレームが殺到。さらにゲートウェイの構成変更が頻発し、IT担当者もクレーム対処にまで手が回らない状況でした。

当初、同社では快適なクラウド利用に向けて、既存のベストエフォート回線を帯域保証型の専用線に切り替えることを検討しますが、予算の折り合いがつかず断念。ネットワークの遅延が働き方改革の推進を妨げる足かせとなっていました。
この苦境を打開するために、同社ではクラウドサービスとデータセンターを結ぶインターネット接続回線に「OCN光 IPoEサービス 標準プラン」、本社・データセンターと各拠点をつなぐアクセス回線に「Arcstar Universal One ベストエフォートアクセス(IPoE)」の導入を決断。ベストエフォート回線のIPoE化で遅延、輻輳の解消に取り組みました。
- 効果1:クラウド利用時の遅延、輻輳が解消されて働き方改革が加速
- 効果2:通信が安定して構成変更の頻度が減りIT担当者の負荷が軽減
- 効果3:回線リプレイスにかかる予算を大幅に抑制
インターネット接続回線およびWANのアクセス回線をIPoEに切り替えたことで、懸案となっていたネットワークの遅延、輻輳は劇的に改善されました。社内からも「クラウドサービスが格段に使いやすくなった」という声が多く寄せられています。さらに必要最小限の投資で効果を最大化できた取り組みは、経営層にも高く評価されました。働き方改革の次なるステップに向け、稼働が減ったIT担当者は新たなアプリケーション開発に注力する計画です。