情報セキュリティ教育とは?具体的な実施手順と、おすすめ教育コンテンツを紹介

近年、サイバー攻撃の手口はますます巧妙化し、情報漏洩や金銭被害を伴うインシデントが増加しています。こうしたリスクを未然に防ぐためには、従業員一人ひとりがセキュリティ意識を高め、適切な行動を取ることが不可欠です。
本記事では、情報セキュリティ教育の必要性や進め方、効果的な教育を実現するためのポイントを紹介します。従業員のリテラシーを向上させ、リスクを最小限に抑えるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
情報セキュリティ教育とは?

情報セキュリティ教育とは、社内のセキュリティ事故を未然に防ぐための教育です。サイバー攻撃やマルウェア感染などのインシデントを防ぐことを目的とし、従業員に具体的な予防策を周知します。
近年、フィッシング詐欺やマルウェア感染による情報漏洩が増加しています。特に、不審なメールの添付ファイルを開く、安易にパスワードを使い回すといった行為が、セキュリティ事故の原因となることが少なくありません。こうしたリスクを防ぐには、サイバー攻撃の手口や情報漏洩リスクを正しく理解し、適切な対策を取ることが重要です。
情報セキュリティ教育では、情報の正しい取り扱い方、ログイン情報の適切な管理方法を従業員に教え、セキュリティ意識の向上を目指します。教育を通じて日常業務での行動を改善することで、セキュリティ事故の発生を未然に防ぐ効果が期待できます。
情報セキュリティ教育の必要性

情報セキュリティ教育の必要性が高まっている背景には、サイバー攻撃の巧妙化や企業内部に潜むリスクの存在があります。これらの脅威に対しては、高度な技術的なセキュリティ対策強化が求められますが、それだけでは十分とはいえません。PCやサーバ、ネットワーク同様、サイバー攻撃の晒される従業員一人ひとりの意識が低ければ、その対策が十分に機能しない可能性があるからです。
特に、近年のサイバー攻撃の増加やテレワークの普及により、企業の情報資産が脅威にさらされるリスクが拡大しています。実際に、以下のような人的ミスが原因で、情報漏洩や金銭被害が発生するケースも少なくありません。
- 不審なメールを開封し、ウイルスに感染する
- 不審なサイトにアクセスし、詐欺被害に遭う
- システムのアクセス設定を誤り、機密情報を社外に公開してしまう
- 個人情報の含まれたメールを誤送信してしまう
- 機密情報を記録したUSBメモリを社外で紛失してしまう
従業員の一つのミスがきっかけで、大きな被害につながります。こうした事態を防ぐためには、従業員全員がリスクを正しく理解し、適切な対応策を身につけることが不可欠です。
情報セキュリティ教育を徹底することで、組織全体の安全性が向上し、企業の信頼性を守ることにもつながります。
情報セキュリティ教育の進め方

ここでは、企業が情報セキュリティ教育を実施する流れを解説します。基本的な進め方は、以下のとおりです。
- 教育の目的と学習テーマを決める
- 教育を受ける対象者を選定する
- 教育を実施する時期や頻度を決める
- 教育の実施方法を決める
- 効果測定と継続的なフォローアップをする
それぞれ順番に解説します。
ステップ1:教育の目的と学習テーマを決める
情報セキュリティ教育を効果的に実施するためには、まず「何のために教育を行うのか(目的)」と「どのような内容を学ぶのか(学習テーマ)」を明確にすることが重要です。
教育の目的は、業界のセキュリティリスクや自社の業務特性に応じて設定するとよいでしょう。たとえば、機密情報を扱う機会が多い企業であれば、情報漏洩対策を重点的に学ぶべきです。
目的が決まったら、それに沿って従業員が習得すべき知識やスキルを選定します。具体的には、以下のような項目が考えられます。
- 情報漏洩リスク:誤送信や不正アクセスによる情報流出の防止
- 機密情報の取り扱い方:社外秘データやパスワードの管理ルール
- SNS利用ルール:従業員がSNSで情報を発信する際の注意点
- 最新のサイバー攻撃の手口:フィッシング詐欺やマルウェアの事例と対策
教育の目的と学習テーマを明確にすることで、従業員は「何を学ぶべきか」がはっきりするため、学習効率の向上が期待できます。また、教育実施者にとっても、目的に沿った具体的なプログラムを設計しやすくなる、というメリットがあります。
ステップ2:教育を受ける対象者を選定する
次に、セキュリティ教育の対象者を決めましょう。すべての従業員に教育が必要ですが、業務内容や役職に応じて学ぶべき内容は異なります。たとえば、以下のような例が考えられます。
- 全社員:基本的な情報セキュリティの知識
- 特定の部門の社員:業務に特化したセキュリティ対策
- 特定の階層の社員:管理職向けのリスクマネジメント
対象を明確にすることで、効果的な教育計画を立てやすくなり、適切なフォロー体制も構築できます。
ステップ3:教育を実施する時期や頻度を決める
情報セキュリティ教育の効果を高めるには、適切な時期と頻度で継続的に実施することが重要です。
事前にスケジュールを立て、業務の一環として計画的に組み込むことで、教育の定着率を向上させることができます。特に、従業員の意識が高まりやすいタイミングを選ぶことで、より効果的な学習が期待できます。たとえば、以下のようなタイミングが適しています。
- 新入社員・中途社員の入社時
- 同業他社でセキュリティ事故が発生したとき
- 社内の情報セキュリティルールが変更されたとき
- 新しいプロジェクトや業務を開始するとき
また、セキュリティ教育は一度きりではなく、定期的に実施することが重要です。毎年、四半期ごとなど、企業の業務特性やリスクに応じた頻度で行うことで、従業員のセキュリティ意識を維持し、組織全体のリスク軽減につなげましょう。
ステップ4:教育の実施方法を決める
情報セキュリティ教育は、対象者のリテラシーや教育目的、予算に応じて最適な方法を選択することが重要です。主な実施方法として、以下の3つが挙げられます。
eラーニング
インターネットを活用したオンライン学習で、時間や場所を問わず受講できます。メリットは、多忙な従業員でも受講しやすい点や、何度でも研修を実施しやすい点、受講履歴を管理しやすい点です。一方で、受講者の集中力が続きにくく、対話や質疑応答ができないというデメリットもあります。
社内講師による集合研修
社内の講師が対面で実施する研修で、受講者の理解度をリアルタイムに把握できます。双方向のコミュニケーションが可能で、業務に即した質問やディスカッションを行いやすい点がメリットです。ただし、講師の負担が大きく、会場の確保やスケジュール調整が必要になるという課題もあります。
外部セミナー
専門家による研修を外部で受講する形式で、最新の動向や高度な知識を学ぶのに適しています。自社では得られない知識を効率的に吸収できるのが利点ですが、コストが高額になりやすい点がデメリットです。
このように、それぞれの方法には短所・長所があります。複数の方法を組み合わせることで、短所を補い合い、教育効果を高めることが可能です。
ステップ5:効果測定と継続的なフォローアップをする
情報セキュリティ教育を実施しただけでは、安全性を維持することはできません。教育後の理解度を把握し、継続的な改善を図ることが重要です。具体的には、以下のような手法があります。
- テストの実施:教育内容に基づいたテストで、従業員の理解度を確認
- インシデントの発生件数を比較:教育前後のインシデント件数を比較し、リスク軽減の効果を測定
- インタビューやアンケート:従業員への質問を通じて、知識の定着度や教育内容の満足度を把握
知識不足が判明した従業員には個別フォローを行い、理解を深めることが大切です。また、効果測定の結果を基に、教育の実施方法やコンテンツを見直し、継続的に改善することで、教育の質を向上させることができます。
情報セキュリティ教育に活用できる資料

ここでは、企業や公的機関が提供しているセキュリティ教育資料を紹介します。これらは、情報セキュリティの基礎から実践的な対策まで網羅的にまとめられており、従業員の理解向上に役立ちます。
- 情報セキュリティ・ポータルサイト(IPA)
- 国民のためのサイバーセキュリティサイト(総務省)
- インターネットの安全・安心ハンドブック(内閣サイバーセキュリティセンター)
まずは内容を確認し、自社の研修に適した情報を選定することをおすすめします。
情報セキュリティ・ポータルサイト(IPA)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営する「情報セキュリティ・ポータルサイト」は、経営者、対策実践者、従業員などの対象者別に、情報セキュリティ対策のポイントがまとめられています。
セキュリティ教育に役立つ資料やガイドライン、事例集などが掲載されており、サイバー攻撃の最新動向や情報漏洩を防ぐための具体的な対策が紹介されています。また、教育用の動画やチェックリストも用意されているため、従業員の学習ツールとしても活用できます。
初心者でも理解しやすい資料が充実しており、基礎知識から実践的なノウハウまで段階的に学べる構成となっています。幅広い層に対応しているため、企業の情報セキュリティ教育において有用なリソースとなるでしょう。
国民のためのサイバーセキュリティサイト(総務省)
総務省が提供する「国民のためのサイバーセキュリティサイト」は、サイバーセキュリティに関する基本的な情報や対策をわかりやすく解説しています。
家庭や職場での具体的なセキュリティ対策、事故・被害事例および対処法、システムやサービス別のセキュリティ対策など、シチュエーション別の情報が充実しています。
特に職場での対策では、経営層、システム管理者、一般従業員といった立場別に情報が提供されており、企業内のさまざまな役割に応じたセキュリティ教育に役立ちます。
インターネットの安全・安心ハンドブック(内閣サイバーセキュリティセンター)
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が提供する「インターネットの安全・安心ハンドブック」は、インターネット利用者が知っておくべき基本的なセキュリティ対策をまとめた資料です。
このハンドブックでは、
- インターネット利用時の注意点
- サイバー攻撃の手口とその対策
- 情報漏洩を防ぐためのポイント
- 被害に遭った場合の対応方法
などが具体的に解説されています。図解やイラストを多用し、専門的な知識がない方でも理解しやすい内容となっているため、従業員のセキュリティ意識向上に効果的です。
セキュリティ教育を包括的にサポート!NTTコミュニケーションズの「WideAngle セキュリティ教育&メール訓練」とは

企業の情報セキュリティ対策において、従業員の教育は欠かせません。しかし、適切な教育プログラムの設計や実施、効果測定を一貫して行うのは容易ではありません。そこで活用できるのが、NTTコミュニケーションズが提供する「WideAngle セキュリティ教育&メール訓練」です。
このサービスは、基礎知識の習得から実践的な訓練、さらには効果測定までを一つのプラットフォームで一元管理できることが大きな特長です。効率的かつ効果的なセキュリティ教育の実施が可能になり、組織全体のリスクを低減できます。
ここでは「WideAngle セキュリティ教育&メール訓練」の特長をご紹介します。
豊富なコンテンツと多言語対応
1,600種類以上の教育コンテンツを提供し、従業員の知識レベルや業務内容に応じたトレーニングが可能です。NTTコミュニケーションズ独自の動画教材やクイズ形式のコンテンツも随時更新。最新のサイバー脅威に対応した学習が可能です。
30カ国語以上の言語に対応しているため、グローバル企業でも統一されたセキュリティ教育が実現できます。
加えて、PC・タブレット・スマートフォンなどのマルチデバイス対応により、時間や場所を問わず受講できる点も大きなメリットです。
本番さながらのフィッシングメール訓練
サイバー攻撃の中でも特に多いのがフィッシングメールを悪用した攻撃です。「WideAngle セキュリティ教育&メール訓練」では、フィッシング攻撃を想定した訓練を実施し、従業員の対応力を強化します。
実際の攻撃に近い環境で訓練を行うことで、不審メールの特徴を見極める力を養うことが可能です。
また、「Phish Alert ボタン」を利用することで、不審なメールを即座に報告するプロセスを習慣化できます。Phish Alertボタンとは、Outlookなどのメールソフトにインストールするアドオンソフトウェアで、不審なメールを受け取ったり、開封してしまったことをワンクリックで管理者に通知できる機能です。この機能は、訓練だけでなく実際の運用でも活用可能です。
さらに、訓練後のレポートでは、どの従業員がどのようなメールに引っかかりやすいのかを可視化できます。レポートを活用して、リスクの高い従業員に重点的な教育を行うなど、より効果的な対策につなげることが可能です。
効果測定と分析による継続的な改善支援
教育の効果を最大化するには、実施後の効果測定と分析が不可欠です。「WideAngle セキュリティ教育&メール訓練」では、フィッシングメール訓練の結果や受講状況をもとに、従業員ごとのリスクスコアを算出し、組織全体のセキュリティリスクを可視化します。これにより、部門別・個人別の受講状況を分析でき、注意が必要な従業員やチームには重点的なフォローアップを実施可能です。
さらに、レポート機能を活用することで、教育の成果を数値化し、プログラムの見直しや改善を継続的に行えます。この改善サイクルを繰り返すことで、従業員のセキュリティ意識を高め、組織全体のリスクを低減できます。
低コストでシンプルな料金
初期費用不要の月額制であるため、導入のハードルが低い点が特長です。教育コンテンツやフィッシングメール訓練が使い放題で、従業員のセキュリティリテラシー向上を継続的に支援できます。
料金は1ユーザーあたり月額500円(税別)とリーズナブルで、コストを抑えながら効果的なセキュリティ教育を実施可能です。
まとめ
本記事では、情報セキュリティ教育の必要性や進め方について解説しました。情報漏洩や金銭的被害、信用の失墜などのセキュリティリスクを防ぐには、従業員一人ひとりのセキュリティ意識向上が不可欠です。
NTTコミュニケーションズが提供する「WideAngle セキュリティ教育&メール訓練」は、実践的なトレーニングを通じて従業員のリスク意識を高め、企業全体のセキュリティレベルを向上させることができます。
このサービスでは、最新のセキュリティ動向に基づいた豊富なコンテンツを低コストで提供し、知識習得から実践訓練、効果測定までを一元管理できます。「セキュリティ教育を強化したいが、何から始めるべきかわからない」という企業にも最適なソリューションです。
効率的かつ継続的なセキュリティ教育を実施し、組織全体の安全性を高めたい企業は、ぜひ導入をご検討ください。
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