CSPMとは?クラウドセキュリティに欠かせない理由と主要機能、注意点を解説

CSPMとは?クラウドセキュリティに欠かせない理由と主要機能、注意点を解説 画像

CSPM(Cloud Security Posture Management)とは、クラウドサービスの設定ミスを自動で検知し、セキュリティ体制を継続的に最適化するソリューションのことです。

近年、企業のクラウド利用が拡大する一方で、設定ミスを起因とする情報漏洩やサイバー攻撃が増加傾向にあります。CSPMは、これらのリスクを未然に防ぎ、安全性を高める手段として注目を集めています。

本記事では、CSPMの概要や導入のメリットに加え、具体的な機能や実際の活用事例、導入時の注意点を詳しく解説します。また、記事の最後では、NTTコミュニケーションズが提供する「マネージドCSPM」の特長についてもご紹介します。クラウドセキュリティを強化したいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

CSPMとは?

CSPM(Cloud Security Posture Management)は、IaaSやPaaSのセキュリティ体制を継続的に管理し、設定ミスによるリスクを未然に防ぐソリューションです。クラウドサービスの構成やセキュリティ設定を可視化し、不適切な設定を自動で検出して修正提案を行います。

クラウド上で発生するセキュリティ事故の多くは、設定ミスが原因です。これにより、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが大幅に高まります。CSPMは、これらの設定ミスを効率的かつ迅速に検出し、セキュリティ体制を強化します。

クラウド技術の進化が加速する中、定期的なセキュリティの見直しは不可欠です。特に、自社で対応が難しい場合は、信頼できるマネージドサービスを活用することが、セキュリティの最適化を実現するための重要な鍵となります。

CSPMの必要性

クラウド環境の設定ミスは、情報漏洩や不正アクセスといった深刻なセキュリティリスクを引き起こす原因となります。

一方で、アクセス権や公開範囲の設定は頻繁に変更が求められ、その管理は年々複雑化しています。このような状況の中、設定ミスが原因で重大なセキュリティ事故が発生する事例も後を絶ちません。以下にいくつかの具体的な事例を紹介します。

SNSプラットフォーム運営企業:システム設定の不備により、未公開および削除された募集記事や会社ページが第三者に閲覧可能な状態に。約20万人のユーザー情報が漏洩した可能性も。

自動車メーカー:クラウド環境の設定ミスにより、サービス契約者約215万人分の車両位置情報や時刻が外部から閲覧可能な状態に。

自治体:クラウドサービスのセキュリティ設定を誤り、ユーザーID、氏名、メールアドレスなどが含まれる情報にアクセスできる状態になっていた。

このように、クラウド環境における設定ミスは深刻なリスクを招きます。CSPMは、これらのリスクを自動で検出・修正し、セキュリティ体制を強化するために欠かせないソリューションです。

CSPMの主な機能

ここでは、CSPMの主要な機能を紹介します。

  • システムの監視
  • アラート通知
  • グローバル基準に紐づいたセキュリティチェック
  • クラウドサービスの一元管理

これらの機能を活用することで、クラウドセキュリティの課題に効果的に対処できます。

システムの監視

CSPMは、クラウド環境の設定ミスを防ぐため、システム全体を継続的に監視します。この機能により、設定ミスを早期に発見し、セキュリティリスクを低減できます。

チェックルールはCSPMに標準で組み込まれており、自社のセキュリティ要件に応じて柔軟にカスタマイズが可能です。さらに、これらのルールは定期的に更新され、新たな脅威や攻撃手法にも対応します。

また、CSPMは、設定ミスの検出だけでなく、変更やアクセス履歴を記録する機能も備えています。これにより、不正アクセスや異常な操作の発見を支援し、再設定にかかる時間や労力を削減可能です。

アラート通知

CSPMには、設定ミスやルール違反を発見した場合、担当者へアラート通知を出す機能が搭載されています。これにより、目視では確認しづらい設定ミスにも早い段階で気づくことが可能です。

クラウドサービスには、セキュリティに知見のある担当者でも気づきにくい以下のような設定ミスがあります。

  • 不要な仮想サーバーの誤作成
  • 不適切なロギング容量設定
  • セキュリティグループの不適切な設定
  • 重要データの公開設定ミス

CSPMは、こうした設定ミスを発見し、アラートで注意を促すことで、迅速な対応を支援します。さらに、自動修正機能を備えたCSPMを活用すれば、設定ミスを解消し、セキュリティ管理を効率化できます。

グローバル標準に紐づいたセキュリティチェック

CSPMでは、PCI DSSやCIS Benchmarkesといった国際的なセキュリティ標準に紐づけてチェックルールを設定できます。

  • PCI DSS:クレジットカードの会員データを安全に取り扱うために策定されたセキュリティ基準。
  • CIS Benchmarkes:システムを安全に構成するための国際的なガイドライン。アメリカの非営利団体であるCISが発行。

国際標準に準拠することで、サイバー攻撃がセキュリティ侵害に発展するリスクを効果的に軽減できます。CSPMを活用してこれらの基準に基づいたチェックルールを設定することで、より強固で信頼性の高いセキュリティ体制を構築できます。

クラウドサービスの一元管理

CSPMは、複数のクラウドサービスにおけるセキュリティ設定を一元管理できる機能が搭載されています。

クラウドサービスごとにセキュリティ設定の仕様が異なるため、設定の管理は大きな手間です。アップデートの内容や時期がサービスごとに異なる場合、担当者の負担はさらに増加するでしょう。

CSPMを導入すれば、統一されたチェックルールに基づいて、異なるクラウドサービス間でも一貫したセキュリティ管理が可能です。これにより、管理業務を効率化し、担当者の負担を大幅に軽減できます。

CSPMを導入するメリット

CSPMを導入することで、以下の3つのメリットが得られます。

  • セキュリティレベルが向上する
  • 保守・運用コストを削減できる
  • ガバナンスとコンプライアンスを強化できる

これらのメリットにより、クラウド環境の管理業務を効率化し、企業全体のセキュリティ体制を強化することが可能です。以下でそれぞれのメリットについて詳しく解説します。

セキュリティレベルが向上する

CSPMを導入することで、クラウド環境に潜むセキュリティの脆弱性を可視化し、設定ミスを自動で検出・修正できます。これにより、セキュリティ事故の主な原因である設定ミスを排除し、サイバー攻撃や情報漏洩を未然に防ぐことが可能です。

特に、人的ミスや複雑な設定が原因で見過ごされがちなリスクの軽減に効果を発揮します。

保守・運用コストを削減できる

CSPMを導入することで、システムの保守・運用コストを削減可能です。

システムの保守・運用では、セキュリティの監視や修正など、多くの業務が発生します。これらの作業には人員が必要であり、人件費が長期的に発生することが課題となります。

CSPMを活用すれば、監視や修正プロセスの一部を自動化できるため、保守・運用にかかるコストを大幅に削減できます。

ガバナンスとコンプライアンスを強化できる

CSPMを導入することで、クラウドガバナンスの強化が可能です。セキュリティポリシーやコンプライアンス要件への準拠状況を常時モニタリングできるため、不適切な設定やルール違反を迅速に検出し、ポリシーの徹底的な遵守を実現します。

さらに、セキュリティ評価や監査に必要な情報を迅速に提供できるため、監査対応が効率化されます。また、クラウド環境の変化や新たな要件への柔軟な対応も可能です。

CSPMとSSPM、CASB、CWPP、CNAPPとの違い

ここでは、CSPMと類似するソリューションであるSSPM、CASB、CWPP、CNAPPについて、それぞれの特徴とCSPMとの違いを解説します。

CSPMとSSPMの違い

CSPMとSSPM(SaaS Security Posture Management)は、監査対象のクラウドサービスが異なります。

CSPMはIaaSやPaaSを対象とし、インフラレベルの設定ミスを検出するのに対し、SSPMはSaaSアプリケーションの設定不備や権限管理、コンプライアンスを監視します。

SSPMは、アカウント設定やアクセス権のミスに起因する情報漏洩リスクを軽減する役割を持ち、SaaS特有の課題に対応するのが特徴です。

CSPMとCASBの違い

CSPMとCASB(Cloud Access Security Broker)では、セキュリティチェックの対象範囲が異なります。

CASBとは、クラウドサービスの利用を監視・制御するソリューションのことです。クラウドサービスの設定や構成をチェックするためにシステム担当者やセキュリティ担当者が使用するCSPMとは異なり、CASBは社員などの利用者によるクラウドへのアクセスを監視し、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐことに特化しています。

CSPMとCWPPの違い

CSPMとCWPP(Cloud Workload Protection Platform)では、セキュリティ機能が異なります。

CWPPはクラウド上で動作するワークロード(仮想サーバーやコンテナなど)に対して、ウイルス対策や脆弱性対策、侵入防御を行います。

CWPPを活用することで、アプリケーションや機能単位でのセキュリティガバナンスを強化可能です。

CSPMとCNAPPの違い

CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)とは、CSPMにCWPPをはじめとしたさまざまな機能を加えたソリューションのことです。

CNAPPでは、クラウドサービスの設定からワークロードに至るまで、幅広く監視することが可能です。

特にクラウド化を進める企業が増加している現代では、クラウドサービスへのサイバー攻撃が増加傾向にあります。クラウドへのサイバー攻撃に対する強力なソリューションとして、CNAPPは注目を集めています。

CSPMを導入する際の注意点

CSPMを導入する際には、以下の3つの点に注意が必要です。

  • クラウドとCSPM間で互換性がない場合もある
  • チェックルールが国際基準に準拠していないCSPMもある
  • 初期導入に手間がかかる

これらの注意点について、次のセクションで詳しく解説します。

クラウドとCSPM間で互換性がない場合もある

CSPMはAPIを通じて設定情報を収集し、セキュリティ体制を監視します。しかし、すべてのクラウドサービスがAPI対応を保証しているわけではありません。特に、小規模なクラウドプロバイダーや独自開発の環境では、この互換性が課題となる場合があります。

そのため、CSPM導入前にAPIの互換性を確認することが重要です。主要なクラウドサービスであるAWSやAzureでは問題が起きにくいものの、利用するサービスによっては適切な監視ができないリスクも考慮する必要があります。

チェックルールが国際標準に準拠していないCSPMもある

CSPMはセキュリティチェックのためのルールをあらかじめ備えていますが、すべてのツールが国際的な基準を満たしているわけではありません。そのため、CSPMの選定時には信頼性のある基準に準拠しているかを確認することが重要です。

たとえば、PCI DSSやCIS Benchmarksといった国際標準は、多くの企業でセキュリティ要件として採用されています。これらに対応していないCSPMでは、適切なセキュリティチェックを行えず、コンプライアンス違反のリスクが高まる可能性があります。導入前に基準への対応状況を慎重に検討しましょう。

初期導入に手間がかかる

CSPMを導入する際には、ライセンスの取得やアカウント作成、ポリシー設定など、多岐にわたる準備作業が必要です。これらの作業には専門知識が求められることが多く、担当者に大きな負担がかかる可能性があります。

こうした負担を軽減するには、導入支援サービスの活用が有効です。専門家による代行設定や運用サポートを利用すれば、導入プロセスをスムーズに進めることができ、担当者のリソースを確保しながら正確な設定が可能になります。

セキュリティ事故を未然に防ぐ!NTTのマネージドCSPMとは

NTTコミュニケーションズの「マネージドCSPM」は、企業のクラウド環境に潜むさまざまな脅威を自動で検出・管理できるサービスです。AWS、Azure、GCPなど主要なクラウドプラットフォームに対応し、複雑化するセキュリティ体制を包括的に支援します。

以下では、「マネージドCSPM」がどのように企業のセキュリティ向上に貢献するのか、その特長とメリットを詳しく解説します。

マネージドCSPMの特長

マネージドCSPMは、クラウド環境のセキュリティリスクを可視化し、設定ミスや脅威を検知・防御するサービスです。NTTコミュニケーションがポリシー設定やサポートを提供し、安全な運用を支援します。

マネージドCSPMは、クラウド環境における多様な脅威を可視化し、効果的に管理することで、企業のセキュリティ体制を大幅に向上させます。具体的には、以下のような特長があります。

1. 脅威検出とリスク管理
クラウド環境では、設定ミス、不正アクセス、外部からのポートスキャン、マルウェアの混入など、様々なリスクが存在します。マネージドCSPMはこれらをリアルタイムで検出し、迅速な対応を支援します。

2. 独自のポリシー
NTTコミュニケーションズは、独自の検知ポリシーを提供し、クラウド環境におけるセキュリティリスクをより精度高く検出。標準ポリシーでは見逃される可能性のある脅威にも対応し、クラウド環境全体の安全性を強化します。

3. 万全のサポート体制
パロアルトネットワークス認定技術者1,000人以上が在籍。クラウド設定の監視や問い合わせ対応、レポートの提供などを通じて、万全なサポート体制を実現。

このように、マネージドCSPMは複雑化するクラウド環境のセキュリティ運用を効率化し、企業のセキュリティ体制を強化します。

マネージドCSPMの提供機能

マネージドCSPMでは、以下の機能を提供します。

1. 初期設定サポート
専用ポータルの準備、Prisma Cloudライセンスの調達、推奨ポリシーの適用。

2. 運用サポート
ヘルプデスクがアラート対応や問い合わせを受け付け。月次レポートでセキュリティ状況を可視化。

3. 依頼作業への対応
ポリシー変更、アラート設定、レポート作成などをポイント制で柔軟に対応。

4. 包括的管理
Prisma CloudのCSPMとCWPP機能を活用し、クラウド環境全体を一元的に管理。

これらの機能により、リスク低減と運用効率化を両立できます。

クラウドセキュリティの強化を目指すならCSPMの導入を!

CSPM(Cloud Security Posture Management)は、クラウド環境における設定ミスを検知し、セキュリティリスクを未然に防ぐソリューションです。情報漏洩やサイバー攻撃から企業を守るだけでなく、運用コスト削減やコンプライアンス遵守の支援も行い、クラウド利用を安全かつ効率的にサポートします。

NTTコミュニケーションズが提供する「マネージドCSPM」は、AWS、Azure、GCPに対応し、独自ポリシーと専門チームのサポートで、導入から運用までを徹底支援。クラウド環境のセキュリティを大幅に強化します。

クラウドセキュリティの強化を目指す企業は、ぜひCSPMの導入をご検討ください。

このページのトップへ