人流とは? データの取得方法と人流分析への活用や課題

近年、人流をデータ化してビジネスへ活かす取り組みが重要視され、注目を集めています。この記事では、人流をデータとして取得するメリット、具体的な取得方法などについて解説します。人流データを分析する際のクリアすべき課題や、効率的に収集・分析するためのおすすめのソリューションについても紹介します。

人流とは?

人流とは?

「人の流れ」を意味する

そもそも「人流」とは、ある場所から別の場所へ人が移動する動きのことを指します。スマートフォンなどデジタルデバイスが一般社会に普及したことで、多くの位置情報を取得しやすくなりました。

人流データの活用が注目されている

人流データとは、人がどのように動いたかを数値化したものです。データを取得すれば、いつ(日時)、どこからどこへ(場所)といった情報や、特定の人が同じ場所にとどまった累計時間なども把握できます。

人流データは近年、多くの企業に重要視され、収集・蓄積されるようになりました。その背景として挙げられるのは、デジタル技術の進歩により、高精度なデータの安価かつ大量な収集・分析が可能になったことです。人流データはマーケティング施策に活かしやすく親和性も高いため、注目の的となっています。
また最近では、新型コロナウイルス感染症対策として人流データが役立ちました。

人流データを活用することで生まれるメリット

データをさまざまなビジネスに活かすためには、「鮮度」が重要です。その点、人流データは、人が持ち歩くスマートフォンなどの通信機器からリアルタイムで位置情報を取得できます。加えて、人の動きに関する詳細な情報も取得可能です。
そうしたデータを活用することで、例えば店内の混雑具合を確認できたり、顧客の動線を的確に把握できたりといったメリットが生じます。

人流データを取得する方法

人流データは主に、各基地局やWi-Fi、GPSなどによって取得ができます。

1.全国各地にある携帯電話の基地局

基地局とは、人が持っている携帯電話端末と直接交信する施設です。全国各地にあり、電波がつながっている限り24時間365日休みなく、ダイレクトに位置情報を取得できます。
取得できる位置情報の空間範囲が広いため、基地局を利用した人流データの取得は、インフラ設計や大規模な商業エリア、都市開発のケースでよく見られます。

2.施設や店舗に設置されているWi-Fi

施設や店舗などに設置されたWi-Fiからも、人流データを入手できます。来店者のスマートフォンがそのWi-Fiに接続し通信した情報から、滞在状況を検知可能です。
ただ、注意すべき点がいくつかあります。まず、施設や店舗側は、Wi-Fi接続をする機器の設置が不可欠である点。次に、機器を設置する以前の位置情報は取得できない点。そして、Wi-Fiがつながるエリア内でしか通信できず、位置情報の取得できる範囲が限られる点です。

3.人工衛星によって位置を取得するGPS

GPS(Global Positioning System)は、上空で周回している複数の人工衛星(GPS衛星)から電波を受け、地球上の位置情報を取得できるシステムで、日本では「全地球測位システム」とも呼ばれます。基地局からの受信と比較して高い精度を誇るのが特徴です。個々人の位置情報は、各人が持ち歩くスマートフォン搭載のGPS機能によって得られます。

注意点としては、スマートフォンでGPSの位置情報をOFFの設定にしているユーザーの場合、位置情報は取得できないことです。また、GPSは基本的にSNSアプリやナビゲーションアプリなどをデータソースとするため、取得できる位置情報データは、そうした特定アプリのユーザーのものに限定されてしまいます。

4.Bluetoothによって位置を取得するBLEビーコン

BLEは「Bluetooth Low Energy」の略で、少ない電力で近距離通信できる技術や仕組みです。一方ビーコンは、地上や地下に関係なく、半径数10メートル範囲といった近距離で通信できる発信機を指します。
スマートフォン向けの「BLEビーコン」は、店舗前などに設置された発信機から一定の間隔で信号が発せられ、スマートフォンが近づいた際に通信し、位置情報を取得できるシステムです。例えば店舗の前を通った際、その店舗のクーポンが送られてくるといった仕組みもこのシステムを活用していることがあります。

もっとも、ビーコンからの電波を受信できるスマートフォンは、専用のアプリをインストールしたものに限られます。また、あらかじめ店舗の前や空間内に一定の間隔を空けてビーコンを設置しなければなりません。

5.カメラの映像分析

近年はあらゆる場所でカメラが設置されるようになりました。撮影した映像の解析結果は、人がどのように流れ、どれくらい混雑しているのかを知るため、あるいは人数のカウント、属性分析などに役立てられます。

カメラでの映像分析は、特に人がスマートフォンなどのデバイスを持ち歩いていない場合であっても可能です。
ただ、前述したWi-Fiやビーコンと同様に、機器を設置する前のデータは取得不可であること、カメラが設置されている場所でしか位置情報を入手できないことなどがデメリットとなります。

人流データの活用方法

人流データは現在、さまざまなシーンで活用されています。
例えば交通系サービスなら、人流データは路線開発にあたっての最適なエリアの絞り込みや、運行スケジュールの構築に役立てられます。道路の渋滞緩和へもつなげられるのがポイントです。
一方、地域活性化を図りたい場合、観光客の人流データを分析することで、より周遊を促せます。
また、企業では、マーケティング施策の実施前後における効果測定にも使えます。
あるいは、地震や不測の事態が起きた際に、人の現在位置情報データを取得し、最適な避難誘導や救助活動がスムーズに行えるなど、防災面でも活用可能です。

国土交通省が2023年に公表した「地域課題解決のための人流データ利活用の手引きVer1.1」でも、中心市街地の空洞化対策や歩行空間の通行量把握、防災・災害対応といった人流データの活用方法が提示されました。

参照元:地域課題解決のための人流データ利活用の手引きVer1.1
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001476050.pdf

人流データ活用における課題

ですが、実際に人流データを活用するにあたっても、いくつかの課題があります。

データを扱える人材が少ない

IoTやAI(人工知能)など、新しい技術が生まれてもそれらを使いこなせるIT人材がいなければ、ビジネスに活かせません。当然、人流データ解析も専門的な知識が不可欠であり、スキルのある人材を用意する必要があります。

ただ、IT人材への需要が高まる反面、人材不足であることは、経済産業省が2019年4月に公表した「IT人材需給に関する調査」の結果にも示されています。同調査ではIT人材の需給ギャップを試算しており、2025年には約36万人、2030年には約45万人もの不足が見込まれるとのことです。

参照元:IT人材需給に関する調査
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf

従業員を育成するにも時間やコストの負担が大きいため、人流データ解析は社外の専門家へ依頼することも珍しくありません。

個人情報漏洩の可能性がある

人流の映像分析では、顔写真などの個人情報が多く含まれます。技術の発達で、昨今の映像は鮮明であるがゆえに、万一映像データが漏洩してしまうと非常に厄介です。顧客や取引先をはじめ、社会的な信用失墜は免れません。
映像分析をする際には、こうしたリスクを充分に理解した上で、使用済の映像データをその都度破棄するといった漏洩対策の実施が求められます。

人流データの収集・分析におすすめのソリューション

膨大な人流データを収集、蓄積できたとしても、目的やゴールに向けた分析は高度な作業です。また、時間や手間の負担もかかります。そこでより効率的にデータ分析を行いたい場合は、システムやツールの導入を検討しましょう。

中でもおすすめのプラットフォームサービスが「Smart Data Platform」です。データの利活用に必要な機能をまとめて搭載しており、ビジネスにおけるさまざまな課題を解決できます。
ここでは、このプラットフォームによって何が可能となるのか、3つのソリューションを紹介します。

データを蓄積・統合する仮想データウェアハウス「TIBCO® データ仮想化ソリューション」

通常、企業内にある分散したデータを統合させるためには分析用データの倉庫であるDWH(Data Ware House:データウェアハウス)へのデータの複製、データマートの作成といった工程が必要です。しかし、データ仮想化ソリューション「TIBCO® Data Virtualization」ならば、これらのプロセスを省いてリアルタイムであらゆるデータを統合できます。DWHを仮想上で一元管理することで、セキュアな環境の整備も実現可能です。

人流データを取り扱う場合でも、複数の部署で収集し別々に管理していては、分析が不十分になりかねません。加えて、情報漏洩のおそれも高まります。情報漏洩のリスクを下げるためには、TIBCO® データ仮想化ソリューションを活用し、統合したデータへのアクセスを一本化することがおすすめです。また、このソリューションではデータマートをいくつも用意する必要がなく、コスト削減にも寄与します。

ノーコードデータ分析プラットフォーム「Alkano」

収集した人流データは、さまざまな角度から分析してこそビジネスへ活かせるようになります。しかし多くの場合、プログラミングの知識やデータサイエンスのスキルがなければ、的確なデータ分析は困難です。

そこでおすすめのソリューションが、ノーコードでのデータ分析プラットフォーム「Alkano」です。一般的に分析プロセスには、DWHからデータを読み込み、分析に適した形へ整えた後で可視化し、モデリング、運用するといった流れがあります。これらを誰でも直感的に操作できるのが「Alkano」の特徴です。データの前処理・分析機能も豊富で、機械学習アルゴリズムによる予測分析のほか、さらに踏み込んだディープラーニング(深層学習)を用いたモデリング、予測など、本来高度な知識が必要とされるものでも簡単に実行できます。

ほかにも、ブラウザーベースで分析フローを組織内で共有できる機能が搭載されており、経営判断のスピードアップも見込めます。

データ収集に役立つ通信ネットワーク「ローカル5Gサービス」

人流データは膨大な量に上るため、通信のスムーズさが収集、蓄積、分析の効率に大きな影響を与えます。
NTTでは、企業や自治体などが通信キャリアを介さず、自ら5G環境を構築できる「ローカル5Gサービス」を提供しています。自社の敷地内や建物内など限られたエリアで運用され、地域や産業のニーズに対して柔軟にシステムを構築できるのが特徴です。

ローカル5Gサービスの活用により、通常、通信キャリアではカバーしにくいエリアでも常時安定した通信を確保できるようになります。高速・大容量・低遅延・多数同時接続が可能になるほか、通信障害といったリスクも生じにくいのが強みです。また自組織専用のネットワークを構築することから、セキュリティの信頼性も高く、安全に運用できます。

通常、ローカル5Gサービスを導入するには、ネットワークに関わる機器類の購入・設置など、多くの手間やコストがかかります。その点、NTTが提供するローカル5Gサービスはサブスクリプション型の機器提供で、初期費用を抑えられるため気軽に導入可能です。Smart Data Platformと連携すればスピーディかつ確実にビジネスへも利活用でき、人流データなどの膨大なデータを扱う場合にも最適です。

人流データを扱う際には、Smart Data Platformと合わせてこのようなデータ収集・分析ソリューションツールも導入すると時間やコストの削減に役立ちます。

まとめ

近年、人流データはデジタル技術が発達したことで精度が高まり、安価かつ大量に収集・分析できるようになりました。ただ、より効率よくデータ分析・利活用へつなげるためには、Smart Data Platformを土台にしたソリューションの導入がおすすめです。仮想DWHやノーコード分析ツールをローカル5Gサービスで運用することで、膨大な人流データでも的確かつスピーディに処理できます。また、高度なセキュア環境を構築可能な点もポイントです。
今後、DXの一環としてこうしたソリューションを活用し、人流データの利活用を推進していくことが、ビジネス成功へのカギとなります。

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