スケールアウト・スケールアップとは?サーバー構築時のポイントも解説

システムの処理能力を業務量に応じて最適化するにはスケール変更が有効です。本記事では、一般的な方法であるスケールアウト・スケールアップを取り上げ、変更する理由や両者の違い、サーバー構築時のポイント、スケール変更がスムーズにできるクラウドサーバーなどについて解説します。オンプレミスからクラウド移行へ移行する際におすすめのサービスも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

スケールアウト・スケールアップとは?

「スケールアウト」はシステムを構築するサーバーの台数を増やし、分散処理で運用を安定させ、処理能力や可用性を高める方法です。機器や仮想マシンの数を並列に増やすイメージから、「水平スケール」とも呼ばれます。例えば、サーバー1台で1分間に20件のアクセスを処理できるケースにおいて、サーバーを2台にすれば1分間に40件のアクセス処理ができるイメージです。

「スケールアップ」はシステムを構築するサーバー機器の性能を高めます。システム設計は変更せず、CPUやメモリーなどハードウェア機能を増設し、処理能力を高める方法です。スペックを向上させるイメージから、「垂直スケール」とも呼ばれます。例えば、CPUを上位モデルやシリーズの最新版にしたり、メモリーを増設したりするイメージです。

サーバーをスケールアウト(アップ)する理由

「スケール」とは一般的に規模や大きさ、測定器具や目盛りなどを指しますが、サーバーの「スケール」は性能を意味します。CPU・メモリー・SSDなどの能力や容量、データ通信速度や帯域などが代表的です。ユーザーはサーバーの処理性能を活用し、想定した予算内でサービスを快適に利用するために、性能の向上を求めます。

サーバーは設置したら終わりではなく、アクセス数の増減によって変動する負荷に応じて運用・管理を見直す必要があります。処理能力を超えると通信速度が低下し、システムトラブルにもつながるためです。例えば、利用者の急増や一時的なアクセスの集中、大人数のイベントやセミナーの開催などが挙げられます。新型コロナウイルス感染症対策で普及したリモートに柔軟に対応する際にも、サーバーの性能強化が必要です。

スケールアウトとスケールアップの違い

スケールアウトとスケールアップはサーバーの性能を高める目的は同じですが、手法が異なります。それぞれの方法のメリットやデメリット、適した利用方法を解説します。

スケールアウトの特徴

スケールアウトは複数台のサーバーを用意することで情報処理を分散できるので、急にアクセスが集中してサーバーに負荷がかかり、ダウンするという事態を防ぎます。1台のサーバーが故障や停止しても、ほかのサーバーで接続を継続できるため、安定したシステムの運用が可能です。サーバーを増やすほど性能が上がり、上限はありません。

一方でサーバーの内容を変更した場合、増やした数だけ設定が必要になることもあり、運用・管理の作業量が増えます。また、機器を保守する費用も台数を増やした分だけ必要です。

常に性能を強化する必要がある大規模システムや、Webサーバーやアプリケーションサーバーとしての利用、急激なアクセス増への対応、新規事業のスモールスタートなどに適しています。

スケールアップの特徴

スケールアップはサーバー自体の性能を向上させるため、設計変更をする必要がなく、設置するスペースの確保も検討せずに済みます。利用しているサーバーのスペックを向上させる方法であるため、システム変更に伴うサーバーの各種設定などの作業量が少ないです。現在の運用環境における機器のスペックだけを改善するため、スケール変更の効果も確認しやすくなります。

一方でサーバー機器の性能向上は物理的な制限があり、一定レベルまでの対応となります。スケール変更の作業中は一旦サーバー機器を停止する必要があり、ダウンタイムが発生します。サーバーが故障した場合のリスクも検討課題です。

スケール変更をあまり実施しないシステムや、データベースなどを扱う特定のサーバー、小規模でシンプルなWebサービスの運用などに適しています。

近年はスケールアウト型が主流

前述したように、スケールアウトもスケールアップもサーバーの性能を高める目的で行い、それぞれの手法に適した使い方があります。一概にどちらの手法が優れているとは断言できません。ただし、スケールアウトのみが対応できることがあります。それはサーバー負荷の分散です。スケールアップで1台のサーバーの性能を向上させても、不具合が起きればシステムダウンにつながり、安定しません。一方、スケールアウトでサーバーの数を揃えておけば、不具合が起こったサーバー以外でシステムを維持可能です。

また、最近はクラウドサービスの台頭により、業務拡大に応じてサーバーのスケールを拡大するという傾向が強まっています。スケールアウトなら必要に応じてすぐに増設が可能で、システム全体を止めることもありません。そのため、利便性が高いスケールアウトを導入するユーザーが増えています。

サーバー構築時に意識すべきポイント

ここでは、企業がサーバーを構築する際に押さえておきたいポイントについて解説します。

自社の目的にあったサーバー選定

サーバー構築は自社の目的を明確にし、利用人数やコストなど必要な条件を満たすサーバーを選定することが重要です。選ぶサーバーにより、設置スペースやOS、スペック、セキュリティレベルが異なります。社員20人ほどの企業が1,000人規模で同時にアクセスできるハイスペックなサーバーを導入しても、コストパフォーマンスは下がります。逆に1,000人規模での同時アクセスの可能性があるケースでは、その規模に合ったスペックのサーバーを用意しないと、安定した接続環境が作れません。

堅牢なセキュリティ対策

近年では、サーバーに対する攻撃が増加しており、サーバーダウンや個人情報の流出などのリスクに備えたセキュリティ対策も重要です。サーバーはインターネット上の不正アクセスやウイルス侵入の脅威に常にさらされている状態にあります。仮に取引先や顧客情報が外部に流出してしまうと、企業の信頼を失うだけでなく、損害賠償金を支払わなければならないリスクもあります。そうならないためには、サーバー自体のアクセス範囲を制限するといったセキュリティ対策も必要です。

BCP対策

BCPとは事業継続計画を指す言葉であり、企業が自然災害や通信障害などに備え、業務やサービスが滞らないように対策を立てることは重要です。BCP対策として施設や設備、人的リソースを確保するだけでなく、企業情報が損なわれないように耐障害性を高める必要があります。その有効な手段として、広域災害のリスクに備えた遠隔地でのデータバックアップが求められます。システム全体に及ぶ被害を受けた場合でも、早急にシステムを復旧して事業を継続するため、システムを移行して現行システムを再現するための対策も必要です。

スムーズなサーバー構築にはクラウドサーバーがおすすめ

クラウドサーバーは複数のサーバーを一元的に管理し、1台の仮想サーバーを構築する仕組みです。特に導入コストを大きく抑えられ、初期設定後、時間をかけずに利用を開始できます。サーバー提供事業者に管理・運用・保守を任せられるため、インフラ管理・運用の担当者を確保する必要がありません。

クラウドサーバーでは「オートスケール」が利用可能

「オートスケール」はクラウドサーバーなどが備えている機能で、あらかじめ設定したサーバーの負荷状況に対応し、自動的にサーバー台数や性能を増減させます。システムがサーバーの負荷状況を常時監視し、アクセスが急増すれば自動的に割り当てるサーバー台数を増やし、アクセスが減少すれば、台数を減らすことが可能です。サーバーの故障など運用リスクを軽減し、無駄のない運用でコストを最適化します。省エネやサーバーの仮想化によりグリーン化の効果も期待できます。

オンプレミス⇒クラウド移行なら「SDPF クラウド/サーバー」

「SDPF クラウド/サーバー」は、企業のDXに欠かせないネットワークやデータセンター、管理サービスを連携させ、質が高く信頼性の高いデータ利活用ができるシステム環境のインフラを構築します。また、SDPF クラウド/サーバーではDXを進めるデータ利活用のため、収集データを蓄積するストレージや、データ加工・分析のためのリソースも提供します。多様なクラウドサービスやデータセンターへの接続を一元管理した上で、ゼロトラストを考慮した高いセキュリティ性能を有するシステム構成が可能です。加えて、各種障害・災害に備えたディザスターリカバリー対策にも注力していて、サービスの中断が許されないシステムの安定的運用を実現します。

サーバーの処理性能を向上させる方法として、台数増加など水平的に対策するスケールアウトと、スペック向上などの垂直的な対応をするスケールアップがあります。近年では、クラウドサービスの普及もありスケールアウトが一般化しつつあります。事業において安定的なサービス提供を目指す場合は、スケールアウトしやすくBCP対策面でも有利なクラウドサーバーを利用するとよいでしょう。

まとめ

リモート勤務や一時的な業務量増大などに対応するため、サーバーのスケール変更は柔軟に行う必要があります。クラウドサービスの利用増加に伴い、スケール変更の主流な手法はスケールアウトになりつつあります。クラウドサーバーはコストを抑え、スムーズに導入できる上、運用・保守が不要でオートスケールなどによってスケール変更の自動化が可能です。「SDPF クラウド/サーバー」はオンプレミスからクラウドへのスムーズな移行を実現し、データ利活用で企業のDXを促進します。

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