クラウドサービスとは? 基本をわかりやすく解説

クラウドサービスは、インターネット経由でソフトウェアやインフラなどの各種機能を利用できるサービスです。低コストで導入・運用可能な点など複数のメリットを持ち、企業間に普及しています。本記事ではクラウドの基本的知識を詳しく整理するので、自社に最適なクラウドサービスの選定などに役立ててください。

クラウドサービスとは

クラウドサービスとは、インターネット経由でさまざまなサービスを提供する事業です。クラウド事業者は、特定のアプリケーションやストレージ以外にも、サーバーや大規模なシステムなどまで幅広く提供しています。一般に事業者側が環境構築や保守・運用面を行ってくれるため、利用者側はそれらに手間・コストをかけずサービスだけを利用可能です。

各種クラウドサービスを利用する企業は近年急速に増加しています。総務省が公表した令和3年の「通信利用動向調査」によると、調査に回答した企業の7割超がクラウドサービスを利用しており、そのうち9割近くが場所を選ばず利用できることや、資産・保守体制を自社で持つ必要がないといった点で効果を認めています。会計システムやスケジュール共有、営業支援システムなど幅広い分野でクラウドサービスが利用されており、今や企業活動に欠かせないものです。
参照:
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/220527_1.pdf

なお、クラウドという言葉は「クラウドコンピューティング」の略称です。2000年代に、当時GoogleのCEOだったエリック・シュミット氏がクラウドコンピューティングの重要性について発言したことで、認識が広まったと考えられています。

クラウドサービスの種類

事業者は一般に、ハードウェア(基盤)・ミドルウェア・ソフトウェアの各機能をインターネット経由で提供します。この提供範囲によって、クラウドサービスの形態は「SaaS・PaaS・IaaS」に3分類されます。クラウドサービスを比較検討する際、この3つのどの形態が自社のニーズにフィットしているのかが、基礎的な選定軸になります。

SaaS

メール機能やグループウェアなどのソフトウェア(アプリケーション)機能だけが提供されるクラウドサービスをSaaS(Software as a Service)と呼びます。一般に事業者側は、提供対象のソフトウェア部分について、保守や管理も行います。したがって利用者は、ソフトウェアのインストールやアップデートといった作業を行う必要がありません。

PaaS

データベースやプログラム実行環境などのプラットフォーム機能を提供するクラウドサービスをPaaS(Platform as a Service)と呼びます。事業者がコンピューターのミドルウェア部分までを提供・管理するサービス形態です。利用者は、サーバーなどの設備を整えるプロセスなく、開発環境を手に入れることができます。

IaaS

サーバーやメモリーなどのハードウェア・インフラ機能を提供するクラウドサービスをIaaS(Infrastructure as a Service)と呼びます。基本的にはハードウェア部分だけが提供・管理されるため、利用者側はミドルウェアや各種ソフトウェアを自分で用意し、自社の労力を投じて運用していく必要があります。利用に際して専門知識・人材を要する分、柔軟性や自由度が高いサービス形態です。

クラウドサービスを利用するメリット

先述の3形態にかかわらず、クラウドサービスの一般的なメリットは以下の4点です。

導入がしやすい

クラウドサービスは一般に、導入・運用コストが低く済みます。利用者側は、特別なインフラ整備などを実施する必要はありません。
簡単なサービスであれば、利用者側に通常のインターネット環境が整備されているだけで使用可能です。複雑・大規模なシステムを利用する場合でも、自社で同等のシステムを構築するのと比べれば、はるかに短い期間で運用開始に至れます。
またクラウドでは契約期間中のみ使用料金が発生し、サービスによっては従量課金制も選択可能です。したがってコストを最適化しながら利用できます。

手間がかからない

クラウドサービスであれば、自社でサーバー・ソフトウェアなどを用意したり保守・管理したりする手間が発生しません。各種IT機器の日常的なアップデートから定期メンテナンスまですべて事業者側が行います。したがって専門知識や人材が備わっていない企業でも、クラウドサービスとしてなら、比較的高度なシステムを運用可能です。

利用できる場所が多い

基本的には、インターネットに接続できる環境なら、どこからでも契約中のクラウドシステムにアクセス可能です。また、携帯端末に対応しているクラウドシステムも登場しています。

BCP対策ができる

災害や有事が発生した際に事業継続・早期復旧を図るための計画を、あらかじめ準備しておくことを、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)と呼びます。クラウドサービスは、このBCPの一案としても有効です。
ほとんどのクラウドサービス利用時には、自社で使用しているデータやシステムは、自社内の設備として所有されていません。これらの理由から、自社の所在地域で大規模な災害が発生しても、データやシステムが損傷する可能性は低くなります。加えてクラウド事業者によっては、災害に強い立地に建てられた複数の設備でデータを多重管理していたり、利用者へのバックアップ体制・サポート体制を整えていたりします。

クラウドサービスの提供形態

クラウドサービスは、事業者が提供する形態によって「利用者ごとに専用で構築されるプライベートクラウド」と「複数の利用者が同じ構成を共有するパブリッククラウド」とに分類できます。

プライベートクラウド

プライベートクラウドとは、利用者ごとに専用の環境を構築してサービスを提供する形態で、特にホステッド型プライベートクラウドとも呼ばれます。利用者側は当該環境を占有的に利用できるので、自由度の高いカスタマイズを施せます。ただしその分、使用料金は高額になる傾向にあります。
また、オンプレミス型プライベートクラウドと呼ばれる形態もあります。これは事業者から設備などの提供を受けずに、自社で機器やネットワークを整備することでクラウド環境を構築する方法です。ホステッド型以上にコストはかかりますが自由度は高く、またセキュリティ体制も自社の状況に沿って任意に強化可能です。

パブリッククラウド

パブリッククラウドとは、同じ環境やアプリケーションを不特定多数の利用者に提供する形態です。基本的には、誰でも契約し利用料を支払うことで、すぐにサービスを利用できます。一般的に、単に「クラウド」「クラウドサービス」などと言った場合には、このパブリッククラウドを指していることが多いでしょう。
複数の利用者たちが環境を共有しているため、自社都合で大幅にカスタマイズすることなどはできません。しかしその分使用料は低く設定されており、使用可能な機能・課金制度などが異なる複数のプランが用意されていることもあります。

クラウドサービスの運用形態

クラウドサービスを利用する場合は、いくつかの運用形態を選べます。運用形態は「単一運用・ハイブリッドクラウド・マルチクラウド」に分類できます。

1つの提供形態やサービスのみでの運用

プライベートクラウド、またはパブリッククラウドを単体で運用する形態です。1つのクラウドサービスだけしか契約していない場合はこの運用形態に当てはまります。

ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウド・プライベートクラウド・自社内システムを連携させて、1つの環境を構築することです。これにより、パブリッククラウドの手軽さ・プライベートクラウドの自由度の高さなど、各強みを適宜享受できます。

例えば「顧客情報や機密情報はオンプレミス型プライベートクラウドで管理し、Webサイトの構築や公開にはパブリッククラウドを利用する」という運用が考えられます。セキュリティを強化したオンプレミス型で管理している情報から、Webに掲載可能なものだけをパブリッククラウド上に移して扱います。セキュリティ・コスト・拡張性を両立させるための代表的な方法です。

マルチクラウド

マルチクラウドとは、各事業者のクラウドサービスをそれぞれ契約し、それらを併用する形態です。基本的に各サービスは連携させず、状況や業務に応じて適切なものを選択して使用します。これにより、状況別に最大限の効果を享受可能です。リスク分散およびベンダーロックイン(特定の事業者に依存すること)対策としても有効です。ただし、複数サービスについて別個に管理しなくてはならないので、手間やコストが増える点に注意が必要です。

クラウドサービスの注意点

クラウドサービスのメリットを最大限に活かすためには、いくつかの注意点があります。

前提として、自社のインターネット環境をクラウド用に整えることが重要です。事業者側が提示している諸条件や、自社が通常扱っているデータ量などに注意を払い、必要があればインターネット環境を再整備します。

次に「事業者都合でサービスが停止・終了するリスクがあること」は頭に置いておかなくてはなりません。万が一サービスが緊急停止などされた場合は、復旧まで待つほかなく、自社の事業がストップしてしまうことすらあります。

また、パブリッククラウドなど低価格帯のサービスは「汎用性の高い機能が、安価に提供される」という性格を持っています。したがって個別要件に対応することは難しく、契約後のカスタマイズ性は高くありません。コストが抑えられているサービスを選択する場合は、自由度については割り切ることも重要です。

セキュリティに関しても制限があります。事業者によってセキュリティへの取り組み方が異なるため、クラウドサービスの選定時は、適切な対策が行われているかを確認してください。「自社の情報資産を、事業者の設備で保管・利用すること」に対して不安を持つ企業は少なくありません。社内の意見なども総合的に判断し、どのような形態でクラウドサービスを導入するか検討しましょう。

クラウドサービスの比較ポイント

クラウドサービスの導入を検討するなら、まず自社ではどんな目的でクラウドを利用したいのか、改めて整理しましょう。その上で以下のポイントを押さえて各種サービスを比較し、選定を進めてください。

サービス内容

まず「自社の利用目的に合致した機能を搭載しているか」を確認することが重要です。例えばオンラインストレージサービスを導入するなら、「課金単位や初期費用の有無」「保存容量」「アップロード・ダウンロード時の最大容量」といった基本的な内容を最初に確認します。加えて「契約後にプランを変更できるか」「他社サービスと連携可能か」といった柔軟性・拡張性もチェックしておきましょう。

セキュリティ対策

暗号化通信やIPアドレス制限の有無などを確認し、「安全に自社の情報資産を預けられる体制が整っているか」「セキュリティ対策がきちんと行われているか」を確認します。対策が甘い事業者を利用すると情報漏洩などのリスクが増大します。

サポート体制

トラブル発生時は、事業者側のサポートが自社事業の継続可能性に直結するケースもあります。したがって契約前に、トラブルが発生した際のサポート範囲やサポート方法について詳しく確認してください。また日常的なサポート体制や、サポート窓口の種類(電話・メール・チャットなど)もチェックしておきましょう。加えて、「導入前にも直接相談に応じてくれるか・導入アドバイスをくれるか」もおさえておくとより安心です。

「SDPF クラウド/サーバー」でデータ利活用とDX推進

政府が「2025年の崖」として警鐘を鳴らしたとおり、レガシーシステムからクラウドサービスへの移行は喫緊の課題です。しかし、自社内のシステムをクラウドサービスへ移行するだけでは不十分で、柔軟にシステムを再構築しながらデータの利活用を進めていくことが求められます。

しかし、既存の自社システムが複雑で、クラウド移行に不安を持つ企業も少なくないでしょう。そのようなケースでは、「クラウド移行・運用サポート」などもセットになったサービスを選択することも有効です。そうしたサービスの代表例が「SDPF クラウド/サーバー」です。

SDPF クラウド/サーバーとは何か

SDPF(Smart Data Platform)とはNTT comが提供する「データ利活用をスムーズに行うためのプラットフォーム」であり、DX推進にも大きな効果を発揮するサービスです。このSDPFはデータ利活用に必要な各種機能を提供していますが、その内の1つがSDPF クラウド/サーバー機能です。これはストレージやサーバーを提供するクラウドサービスであり、膨大なデータを一元的に蓄積します。これによって、データ収集・管理・分析といったデータ利活用が滞りなく進展します。

SDPF クラウド/サーバーで実現すること

各企業の状況に沿ってスムーズなクラウド移行が実現するよう、さまざまな提供メニューが用意されており、最適なクラウド環境の構築がサポートされます。
例えば、他事業のクラウドサービスやデータセンター間も柔軟に接続し、安定したハイブリッド環境を構成します。加えて、ICT基盤を統一的に可視化するなど、ハイブリッド環境の運用を効率化するソリューションも提供されます。
またSDPF クラウド/サーバーでは、各拠点間を結ぶ閉域ネットワークを無料で提供している点もメリットです。これを利用することで、コストを抑えたBCP対策にもつながります。

まとめ

DX推進なども急がれる今日、自社システムをクラウドに移行する企業が増えています。クラウドサービスなら、自社で機器・ソフトウェアを調達したり管理したりする必要がなく、低コストでシステムを構築可能です。

クラウド導入の際は、自社のニーズに合致したサービスを慎重に見つけることが重要です。複数のクラウドサービスを併用したり連携したりすることも有効です。そうした環境を最適化したい場合、SDPF クラウド/サーバーの利用も検討してください。

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