オンプレミスとクラウドの比較 組み合わせて利用するメリットも解説

企業のIT環境を構築するには、オンプレミスやクラウド、両者を組み合わせたハイブリッドの3種類が考えられます。本記事ではオンプレミスとクラウドの違い、両者のメリットとデメリットをまとめたあとで、ハイブリッドのメリットと注意点について解説します。最後に、複数のシステムを効率的に運用・管理できるサービスも紹介します。

オンプレミスとは

オンプレミスとは、サーバーなどのハードウェアやIT機器、ファイルソフトなどのソフトウェアを自社で保有し、構築・管理する形態です。略して「オンプレ」または「自社運用型」などと呼ばれます。従来、大半の企業はこの方法でシステム構築・運用を行っていましたが、2000年代からは新たに「クラウド型」も選択肢として普及しました。こうした背景から今日では、クラウドと区別して、オンプレミスと呼称しています。

各企業がさまざまな形態で運用しているオンプレミスですが、自社自身で管理するシステムであることに違いはありません。例えば、ファイル送信システムをオンプレミスで運用するなら「ファイル送信ソフトウェアやファイルサーバーなどの調達・管理」「最適化するための設定」「システム自体の構築」「バージョンアップやセキュリティなどの保守管理」などを、すべて自社で対応する必要があります。

またサーバー設備については、自社敷地内に物理的な環境を構築することが一般的です。ただ近年は「ハウジング」「ホスティング」と呼ばれる、他社サービスの利用も増えています。ハウジングは、他社からデータセンターを部分的にレンタルして、そこに自社所有のサーバーを構築して利用する方法です。ホスティングでは、データセンター・サーバー・ソフトウェアまで他社からレンタルします。これら他社サービスでは、契約プランによって自社の管理負担が変動します。

クラウドとは

クラウドとは、外部のクラウド事業者が提供するITサービスをインターネット経由で利用するシステム運用方法です。オンプレミスとは異なり、システム構築用の各種リソースを自社で用意する必要はありません。サーバー設備をはじめ、システム構築に必要なハードウェアやソフトウェアはすべて事業者側から提供されます。

基本的には、自社で利用している各種データもクラウド上に保存されます。したがって従業員はインターネット環境さえあれば、どこからでも自社システムへアクセスし作業可能です。昨今広まっているテレワークと相性が良いこともあり、さまざまな業種・規模の企業が、クラウド化に舵を切っています。

オンプレミスとクラウドの違い

上述したようにオンプレミスとクラウドのもっとも大きな違いは、「IT機器やリソースを自社で保有・調達するか否か」という点です。

オンプレミスでは、基本的に自社リソースで自社システムを構築・運用します。クラウドでは、サービス提供業者が構築しているシステムを、インターネット上で利用します。
当然両者間では、IT機器・システム導入にかかる費用、運用コストなどで大きな差異が生じます。こうした費用面も含め、両システムのメリットや課題について、以下でおさえましょう。

オンプレミスとクラウドの主なメリットとデメリット

オンプレミスとクラウドそれぞれのメリットとデメリットを比較します。

オンプレミスのメリット

オンプレミスの代表的なメリットは、カスタマイズ性とセキュリティに長けていることです。

カスタマイズしやすい

まず、システム構築の自由度が高い点です。ITインフラを物理的リソースから自社で用意して構築・管理するため、最適なシステムにカスタマイズ可能です。基本的にシステム・ITインフラを第三者と共有せず、自社で占有しているため、自社都合にフィットするように高度で複雑なシステムにカスタマイズできます。

専属システムエンジニアなどの人材をそろえられれば、必要に応じた改善も繰り返せます。他システム・他ツールとも連携しやすいように、適宜カスタマイズを施せるでしょう。

セキュリティを高められる

「専用のITインフラを社内だけに構築し、ユーザーは自社従業員のみ」という閉じた環境のため、セキュリティを高く保持しやすいです。社外秘情報などを強固に保全したい企業は、オンプレミスで独自のセキュリティ体制を築くこともあります。

例えば、認証システムなど独自のアクセスポリシーを設定することにより、不正アクセスなどを防止します。専用のシステムエンジニアが運用・管理し、ネットワークトラブル時の対応方法もあらかじめ準備しておくと万全でしょう。これらを全うすることで、より安定的な運用が可能です。

オンプレミスのデメリット

オンプレミスの主なデメリットは、初期費用の高さと手間や時間がかかることです。

初期費用が高い

サーバーやネットワーク機器など物理的なITリソースをすべて自社で調達する必要があるため、初期費用が高額になります。例えば「数年後の業務データ容量」を想定し、サーバーなどのIT機器を複数台購入するケースなどでは、イニシャルコストはさらに上がるでしょう。

また自社の業務規模が拡大する際は、ネットワークを最適化し直さなくてはなりません。これに伴い、新規ソフトウェアやライセンス購入のための費用が発生するでしょう。拡大したサーバー設備を設置するためには物理的なスペースが必要なため、賃料上昇も想定されます。機器のメンテナンス費も自社負担なため、設備規模が大きくなるほど、日々の運用コストも上昇します。

手間や時間がかかる

システムを構築し、運用を開始するまでに時間がかかります。オンプレミスは高度なカスタマイズが可能である反面、システム要件が複雑になりやすいからです。構築から運用開始まで数カ月かかるケースもあります。比較的単純なシステムであっても、ハードウェアやソフトウェアを調達しながら構築する必要があるため、運用開始まで一定の期間はかかります。

また、システム構築・運用・保守を自社で対応しなくてはなりません。これには、専門的知識を持つ担当者を配置し、不具合・故障にまで対応できる環境を整える必要があります。社内の人材で不足している箇所については、外部技術者を確保せねばなりません。このように機材・人材を適切にそろえるには、手間と時間がかかります。

クラウドのメリット

クラウドの主なメリットは、低コストであることと導入や運用がしやすい点です。

費用を抑えられる

クラウドサービスでは、事業者が管理するサーバーやネットワークを利用します。システムの構成機器を自社で調達する必要がなく、サーバー・インフラの管理も事業者に任せられるため、その分の費用を抑えられます。またサービスのプランによっては、一定期間だけ従量課金制で契約することも可能です。こうした理由から、一般にクラウドサービスの導入・運用コストは、オンプレミスのコストと比較すると、かなり低額になります。

導入や運用がしやすい

自社で機材を調達したり設備を整えたりすることなく、事業者側とオンラインで契約を交わすだけですぐに利用を開始できます。早ければ、使用申請から数分しか要さずに使用可能になるケースも少なくありません。

また、業務量の変化に応じて常にシステムを最適化できます。例えばサーバーやシステムの規模の拡張・縮小、スペック変更も簡単に再設定可能です。リードタイムは早ければ数秒、遅くとも数分で稼働できるので、運用負担も軽減します。こうしたスピーディーなシステム対応が実現すれば、各従業員の業務改善につながったり、ビジネスの機会を逃しづらくなったりするメリットも生じます。

クラウドのデメリット

クラウドの主なデメリットは、自由度の低さと、連携可能な他システムが限られることです。

自由度が低い

ITインフラ自体がサービス提供事業者の管理下にあるため、ハードウェアを自社で管理することはできません。利用可能なサービスも、事業者側から提供されたもののみです。したがって基本的に、自社業務に最適化するためにシステムをカスタマイズしたり独自のセキュリティを組んだりすることは難しいでしょう。

ただし事業者によっては、「プライベートクラウド」サービスを提供している場合もあります。プライベートクラウドでは、他ユーザーと共有せず占有的なシステム環境を構築できるため、カスタマイズ性は高まります。

システム連携できないこともある

情報漏洩が許されないような業務を行っている企業の場合、高度で複雑な独自システムを開発しているケースがあります。このような独自性の強いシステムとは、一般のクラウドサービスは連携できない可能性が高いです。
例えば従業員のテレワーク化などに対応するため、新たなクラウドサービスを導入する必要がある場合も、「自社の既存システムと連携できるか」をよく確認してください。特に自社システム全体をクラウドへ移行させたい場合は、事業者側に直接連絡するなどして、既存の自社システムとの相性を十分に確認してください。

オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドは、オンプレミス・クラウド両者を併用可能なシステムです。オンプレミスとクラウドの両環境を、VPN(バーチャルプライベートネットワーク:仮想専用線)などでセキュアに接続し、両者のメリットを組みあわせます。

なお、ハイブリッドクラウドという概念にはまだ一貫した定義があるわけではなく、パブリッククラウドやプライベートクラウドとの比較で用いられることもあります。当記事では「オンプレミスとクラウドとの併用システム」を指してハイブリッドクラウドと呼びます。

ハイブリッドクラウドのメリット

ハイブリッドクラウドの主なメリットは、「条件に応じてオンプレミスとクラウドの併用方法を調整できること」と「低コストで自由度を確保できること」です。

オンプレミスとクラウドの利用調整ができる

オンプレミスとクラウドそれぞれを使い分け、適宜各メリットを享受することが可能です。例えば「社外に出せない機密性の高い情報処理はオンプレミスで管理し、日常的な業務情報はクラウド上で処理する」といった調整を行えます。また、基幹系システムをオンプレミスで実現し、情報系システムをクラウドで実現する、という環境も構築できます。

また普段はオンプレミスを使用している企業でも、「繁忙期でアクセスが集中する期間のみクラウドを活用して、ネットワークの負荷を分散させる」という方法を取れます。オンプレミス・クラウド両者でバックアップを取っていれば、万が一の非常時にもスムーズな復旧につながるでしょう。

費用を抑えつつ自由度も確保できる

自社システムを導入する際に多くの担当者が直面するのが、「カスタマイズが自由なオンプレミス」か「コストの低いクラウド」のどちらかに決めなくてはならない、という悩みです。しかしハイブリッドクラウドなら、カスタマイズの自由度も一定の範囲で確保しながら、コストダウンも可能です。

ハイブリッドクラウドの注意点

ただし、ハイブリッドクラウドにも注意点があります。1つはシステム構成が複雑化し、運用・管理の負担が増しやすい点です。さらに、セキュリティ向上を目的にVPN導入を選択するなど、構成方法によってコストが増していくこともあります。
このようにハイブリッドクラウドでは、システムの構成・導入・運用方法によって負担やコストが大きく上下します。こうしたコストを考慮しつつ最適な環境を成立させるには、「オンプレミスとクラウド双方に精通し、使い分けを調整できる人材」を確保する必要もあるでしょう。

クラウドサービス利用時におすすめの「Flexible InterConnect」

既存の自社システムに加えて、新規クラウドサービスの導入を検討されている方におすすめの「Flexible InterConnect」を紹介します。

Flexible InterConnectとは

「Flexible InterConnect」は、各クラウドサービスやデータセンターなどを一元的につなぐ、次世代のインターコネクトサービスです。複数のクラウドシステムや拠点間で各種データが関連しあっている複雑な状況でも、本サービスを導入することでシンプルな運用体制に移行可能です。

Flexible InterConnectの特長

ユーザーは、1つの物理ポートから、各クラウド・オンプレミスシステムへ接続可能です。最大10Gbpsの広帯域接続へ対応し、アクセスが集中する状況でも通信を安定化します。
専用ポータルサイトでは、ネットワーク帯域やアクセス先のシステムなどをオンデマンド形式で一元管理できます。操作方法も直感的なため、シンプルかつ適切な運用が可能になり、管理担当者の負担も軽減されます。
オプションでファイアウォールなども提供されるため、専用機器の調達・設定は不要です。使用時間と使用量に対する課金制で、かつ月額の上限設定も組まれており、コストを抑えられます。

まとめ

自社システムの構築には、自由度の高いオンプレミス、導入コストを抑えられるクラウド、そして両者を組み合わせたハイブリッドという選択肢があります。ハイブリッドはメリットも多いですが、複雑化とコスト上昇につながりやすいため、導入は慎重に検討しましょう。

自社内の各システムを効率的に使用・管理する体制を構築したいなら、「Flexible InterConnect」がおすすめです。あらゆる接続先へのセキュアな通信環境や、シンプル・スマートな運用管理が実現し、システム担当者の負担も軽減されます。月額上限設定も備えており、スモールスタートも可能です。詳しくは下記のURLをご覧ください。

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