株式会社新潟日報社
オンプレミス&クラウドのハイブリッドな電話環境を構築
スマホの内線化により場所を問わずつながる環境を実現
株式会社新潟日報社
編集局 技術部
部次長
大岡洋平氏
「どこにいてもスマホさえあれば電話の受発信ができるようになったため、情報の取り逃しが少なくなりました」
課題
社員間の通話料高騰を抑え、どこからでも電話がつながる
報道機関特有の要件と多拠点運用に対応する電話環境の刷新へ
新潟県に基盤を持つ新聞社として、新潟日報社は多岐にわたる事業を展開。発行部数30万部を超える「新潟日報」を中核に、県内外に張り巡らされた取材・営業力を基に、放送、電光板、サイト、携帯電話などの多様なメディアを通じて「新潟の今」を伝えている。現在、新潟県ではDXによる企業のデジタル化やビジネスモデルの変革による長期的な競争力向上を目指し、DX推進を通じた新事業創出を後押しするプラットフォームをはじめ、企業の新事業創出のための取り組みを支援。こうした「新潟の今」である地元のニュースを報道する立場として、新潟日報社でも業務効率化に向けた事業のデジタライズに積極的に取り組んでいる。
その取り組みの一環として俎上に載っていたのが既存の電話環境だった。新聞社という業務上、固定電話およびFAXで社外とやり取りする機会が多く、それが自由なワークスタイルの妨げになっていたと語るのは、編集局 技術部 部次長の大岡洋平氏(以下、大岡氏)だ。「すでに記者や営業といった外勤の社員には社用スマホを貸与していましたが、もっぱら取材先やお客さまから電話がかかってくるのは社内の固定電話でした。メモやメールで要件を伝える取り次ぎなどのムダを解消したかったのです。加えて、情報共有のために仕方ないことでしたが、県内外の拠点や社員間での社用スマホ通話料の高騰も頭の痛い課題でした」(大岡氏)
2023年、従来のオンプレミスPBXによる電話環境の更改を機に、これらの諸問題を解決するためにプロジェクトが始動。コロナ禍に伴い、日本中でワークスタイルの変革が進んでいたタイミングだった。「PBXのクラウド化を検討していたのですが、いくつか懸念があったのも事実です。弊社には万代と黒埼に本社機能を持つ大規模拠点がありオンプレミスのPBXを設置しています。他の中規模以下の拠点ではビジネスフォンを展開していたのですが、従来の電話設備には報道機関ならではの特別仕様の設定が多く、すべてをクラウドPBXに切り替えることは困難でした。また、幅広い世代の社員が在籍しているため、いっきに電話環境を変えてしまうとハレーションが起きてしまう懸念もありました」(大岡氏)
このような悩ましい課題をクリアにするパートナー、サービスの選定が急務になっていた。
対策
スマートフォンを内線化できる「オフィスリンク」の導入により
新旧の電話を統合した報道機関対応のハイブリッド環境を構築
電話環境の刷新にあたり、同社ではいくつかのパートナー候補に声をかけ、各社からの提案を受けることになった。「こちらが目指したのは、社員が離席中でもエリアフリーで社内外との電話相手とつながる環境の構築。固定電話のあるデスクに縛られる働き方からの脱却です。併せて、固定電話およびモバイルの通話のコストを下げること、機器の省スペース化を図る目論見もありました。そうした要件を伝えたところ、いちばん弊社のニーズに合致する提案をいただけたのがNTTドコモビジネスでした。なお、利用中の社用スマホのキャリアであり、既存環境との親和性の高さも評価してパートナーに選定しました」(大岡氏)
NTTドコモビジネスからの提案は次のようなものだった。まず、大規模拠点のオンプレミスPBX環境は活かし、中規模以下の各拠点にクラウドPBX環境を構築するハイブリッド構成。そこにNTTドコモビジネスの「オフィスリンク」を導入するというものだ。ちなみにオフィスリンクとは、既存のPBXとドコモのネットワークをつなぎドコモのスマートフォンを内線化できるサービス。オンプレミス&クラウドの100種以上のPBXに対応していることに加え、端末1台に外線・内線番号を集約できる、インターネット環境に依存しないクリアな音声コミュニケーションが実現できるといった特長を持っている。加えて、スマートフォンの内線操作を視覚的に行えるクラウド電話帳「ProgOffice Flat for オフィスリンク」も採用。このクラウド電話帳を活用することで、ダイヤル特番を覚えなくても電話の発信や代理応答、転送といった操作が可能になる。
「報道機関において電話は重要な情報伝達手段の1つです。インターネット環境に依存せず、ドコモネットワークを利用するオフィスリンクのクリアな音声品質を評価しました。さらに、新潟県は海や山などの自然が豊かな土地柄であるため、ドコモネットワークのカバーエリアの広さに弊社の要望を満たすものだったのです。もちろん、無料の内線により通話料の削減が見込めることもポイントでした」(大岡氏)
こうして、新潟日報社ではNTTドコモビジネスとの連携のもと、特定部内でのスモールスタートによる検証を開始。想定通りの効果が見込めたため、2023年11月より新たな電話設備へ移行に踏み切る。「弊社は拠点数が多いこともあり設定などで苦労したこともありましたが、NTTドコモビジネスのていねいなフォロー、的確なサポートにより、大きな問題もなく比較的スムーズに導入できたと思っています」(大岡氏)
効果
社員間の通話料を36%削減、場所を問わない円滑な情報連携を実現
報道機関の要件を満たし、複数拠点の電話設備をクラウドに集約
オフィスリンクを利用した新たな電話環境が全社展開され、自席から離れた社内外でも手軽にスマホで内線通話が利用できるようになった。「取り次ぎや折り返しなどの手間が少なくなり、取材先やクライアントと確実かつ迅速につながるシームレスなコミュニケーションが実現できるようになったことが最大の効果です。さらに、通話品質はインターネット電話に比べて格段に高いと感じています。取材で都市部以外に行くことも多く、そういった場面でも「つながる」カバーエリアの広さにも満足しています」(大岡氏)
さらに、導入前は社用スマートフォンなどによる外線通話時間は1人あたり平均2時間程度だったが、無料の内線での利用が増えたことでかなり外線の時間は抑制された。導入前の通話料が導入後は27%削減され、その後のプラン変更により現在では平均36%も抑えられており、確かなコスト削減効果が出ているようだ。「加えて運用面でのメリットとしては、日々の電話利用で不具合、問題があってもNTTドコモビジネスにすぐに相談でき、迅速に対応してもらえるため助かっています。昨今はチャットボットなどによる窓口対応が増える中で、すぐに担当者とつながる安心感も高評価です」(大岡氏)
現在、急な変化によるハレーションを懸念して、大規模拠点を中心に従来の固定電話も併用されている状況だ。今後、新潟日報社では組織全体で新たな電話環境に慣れていく様子を見ながら、徐々に固定電話の台数を減らしていく方針だという。「今後もNTTドコモビジネスとの緊密な連携によりDXも強力に推進していく計画です。新潟日報社の地域密着型の情報発信力、NTTドコモビジネスのデジタル技術の融合により、より魅力的な新潟県の情報を発信できる仕組みづくりに力を入れていきたいですね」(大岡氏)
株式会社新潟日報社
事業概要
「県民のために、確かな情報を届ける」を使命にジャーナリズムを追求。時代の変化に合わせ、「紙もデジタルも」を合言葉に朝刊やニュースサイトなど多様な手段で情報を発信している
URL
https://www.niigata-nippo.co.jp
(PDF形式/486 KB)
(掲載内容は2025年8月現在のものです)
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