幸和建設興業株式会社 土木部 部長 木下 晴仁 氏

幸和建設興業株式会社
土木部 部長

木下 晴仁 氏

「事故発生時に運転者がドラレコのボタンを押すことで、管理者に通知がされます。管理者はこの通知をもとに、遠隔から衝突前後の状況を映像で取得・確認することができます。この機能を備えたサービスは、私が調べた範囲内ではLINKEETH DRIVEのみでした」

 

課題

大型ダンプで工事現場から土砂を運搬しており、
移動は長距離に及ぶため交通事故は日常的なリスク

幸和建設興業株式会社は、千葉県を拠点に活動している建設会社だ。ゼネコンからの一次請けとして主に道路や上・下水道などのインフラ整備を手掛け、縁の下で「見えないモノづくり」を通じて都市の発展を支えている。また、千葉県や松戸市など地元自治体からも高い評価を受けており、さまざまな公共工事でも確かな実績を培ってきた。

そんな同社にとって、大きな課題となっているのが交通事故対応だ。同社は最大積載量10トン級の大型ダンプを複数台所有しており、工事現場からの土砂運搬を行っているが、目的地までの移動距離は50~100kmに及ぶことも珍しくない。それだけに交通事故は常に起こりうるリスクなのだ。

同社 土木部 部長の木下晴仁氏は、こう語る。

「以前は交通事故が起きた場合、その責任は運転者にあるとして法的にも処理されてきました。しかし、CSR(企業の社会的責任)に対する意識が高まった近年、交通事故も建設工事に伴う災害の一部とみなされる傾向が強まっています。事故を起こした運転者に対して会社は使用者責任や運行供用者責任を負っており、発注者からペナルティを科されるケースも見られるようになりました。こうした状況下では、交通事故の防止を大前提とした上で、万一事故が発生した際の迅速な対応が重要となっています」

そこで同社は、これまでも所有する全てのダンプにドライブレコーダーを搭載していたが、警察による現場検証を終えて帰着したダンプからSDカードを回収し、映像を確認するとなれば、どうしても半日程度の時間を費やしてしまう。「結果として発注者への状況報告など初動対応が遅れ、自社の信頼を失いかねません」(木下氏)

一方で、飲酒運転に向けられる目もますます厳しくなっており、運転者のアルコールチェックが義務付けられている。当然、同社もしっかり対応しているが、紙のチェックリストと日報による確認では、管理が非効率に陥っている側面もあった。

「ダンプの車庫は本社から離れた場所にあります。また工事は昼夜を問わずに行われており、出発・帰着時刻もバラバラであることから、安全運転管理者による対面での確認は困難な状況にありました」(木下氏)

幸和建設興業株式会社 土木部 部長 木下 晴仁 氏

 

対策

事故前後の映像を遠隔地から取得することで、
発注者への報告など迅速な初動対応を実現したい

万一の交通事故のリスクの低減に向けて、同社が調査を開始したのがクラウドベースの通信型ドライブレコーダーである。

「わざわざSDカードを回収しなくても、事故前後の映像を遠隔地から取得できるようにすることで、迅速な初動対応を実現したいと考えました」(木下氏)

そして、4~5社の製品に対する情報収集や問い合わせを行った結果、同社はNTTドコモビジネスのクラウド型車両管理サービス「LINKEETH DRIVE」を選定するに至った。

「元々弊社ではNTTドコモの通信回線をはじめモバイル関連のソリューションを導入してきた経緯があり、長年取引している代理店に相談したところ、LINKEETH DRIVEを紹介していただきました。選定の決め手となったのは、任意の時間帯のドラレコ映像を取得できることです。例えば軽微な追突事故などでは衝撃が感知されず、SDカードに映像は残っているものの、クラウドへのアップロードが自動的に行われない可能性があります。そんな場合も運転者がドラレコのボタンを押すことで管理者に事故の通知がされます。管理者はその通知をもとに、遠隔から衝突前後の状況を映像で取得・確認することができます。このような機能を備えたサービスは、私が調べた範囲内ではLINKEETH DRIVEのみで、他社にはありませんでした」(木下氏)

加えてLINKEETHシリーズには、クラウド型アルコールチェックサービス「LINKEETH ALC CHECK」も用意されている。改正された道路交通法で記録が義務付けられた全てのチェック項目をシステムで一元管理するもので、アルコール検知器をスマートフォンと連携することで、測定データを自動的に管理簿上に入力するほか、手入力項目の一部は選択式項目に対応しているため、より正確で効率的な記録が可能となる。

「LINKEETH ALC CHECKを利用すれば、運転者の呼気の測定データが自動送信されるため、安全運転管理者は遠隔地からでも対面点呼と同等の酒気帯び確認が昼夜問わず可能となります。LINKEETH DRIVEとあわせてこのサービスも導入することで、日々の飲酒検査をより正確・スマートに行える体制を整えたいと考えました」(木下氏)

 

効果

実際に発生した“もらい事故”で証拠映像を迅速に提出し
自社側の過失割合はゼロと判定された

LINKEETH DRIVEとLINKEETH ALC CHECKを選定した同社は、2025年5月から1カ月間にわたるトライアルを経て同年6月に正式契約を結び、現在それぞれ5アカウントでの運用を行っている。

そうした中での同社独自の工夫点として注目すべきが、LINKEETH DRIVEで提供されているサブカメラ(車内カメラ)の活用法だ。もともとは脇見運転や居眠りの警告など、運転者の状態をモニタリングして安全運転を支援するために用意された機能なのだが、同社はこのサブカメラをあえて運転席の左側(助手席側)の窓際に取り付けて、車両側面の映像を記録しているという。

「大型ダンプによる事故では、車線変更や合流時に他車に側面から衝突されるケースが少なくないため、その状況を詳細に記録することが目的です」(木下氏)

この証跡は、交通事故発生時の過失割合の判定にも大きな影響を及ぼすことがある。

実はLINKEETH DRIVEを取り付けてまだ間もない頃、同社の大型ダンプが“もらい事故”を受ける出来事があった。国道を直進していたところ、一般車が突然前方に割り込んできて衝突したものだ。不幸中の幸いにも、その状況を記録した映像を警察や保険会社に迅速に提出できたことで、同社の過失割合はゼロと判定されたのである。

「双方が走行している途中で発生した事故でもあり、なおかつ頑丈なダンプと一般車では見た目の損傷度合いも大きく異なることから、通常では過失責任がゼロと判定されることはまずありません。ところが今回は弊社側にまったく問題がなかったことが実証され、証跡となる映像情報の重要性をあらためて認識しました」(木下氏)

また、この事故の際には発注者への状況報告もスムーズに行われ、LINKEETH DRIVEにおける期待どおりの効果を確認することができた。

一方のLINKEETH ALC CHECKについても、現場への順調な定着化が進んでいる。

「もともとゼネコンや自治体などから直に工事を請け負ってきた経緯から、運転者も厳しい条件や決め事を遵守して仕事をすることに慣れており、新しいアルコールチェックの仕組みに対する理解も早く、ほとんど反発もなく受け入れてくれました。現在は紙の管理台帳と併用する形で運用を行っていますが、もう少し皆の慣れが進んだ段階で、LINKEETH ALC CHECKに完全に切り替える予定です。その暁には、安全運転管理者の作業負担も大幅に軽減されると見込んでいます」(木下氏)

さらに同社は、今回のLINKEETH DRIVEおよびLINKEETH ALC CHECKの導入を通じて培った知見とノウハウを、幅広い協力会社にも提供していく意向にある。

「建設業界の中でも特に中堅・中小の事業者における交通事故対策や車両・運転者管理に関するシステムの導入率は非常に低いと思われ、他業界に比べて大きく遅れていると言わざるを得ません。ただし万一の事故発生時に受ける損失や信用低下のリスクを考慮したとき、このシステム導入は必要不可欠な投資であることは明らかで、他社からの相談にも親身になって乗っていくつもりです」と木下氏は語っており、業界全体の安全対策の底上げに向けてリーダーシップを発揮していく考えだ。

幸和建設興業株式会社 土木部 部長 木下 晴仁 氏

導入サービス

LINKEETH

LINKEETHは安全運転支援や動態管理、アルコールチェックを一元的にご提供、安全運転管理者やドライバーの業務効率化を実現するクラウド型車両管理サービスです。

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幸和建設興業株式会社

幸和建設興業株式会社

事業概要
道路や上・下水道などのインフラ整備を手掛け、縁の下で「見えないモノづくり」を通じ、都市の発展と地域社会の基盤整備に貢献。

URL
https://www.kouwaken.com/


(掲載内容は2025年9月現在のものです)


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