プレーオフ2回戦で無念のノーサイド。
栄冠は新リーグへ持ち越し
日本最高峰「トップリーグ2021」で初のトップ4を目指したNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(以下アークス)。
ノックアウト方式のプレーオフ・トーナメント初戦(2回戦)は、4月25日(日)の東京・江戸川区陸上競技場が舞台。
レッドカンファレンス(リーグ戦)で3勝3敗1分けだったアークスは、ホワイトカンファレンスで同じく3勝3敗だったキヤノンイーグルスと激突した。
アークスは前戦のサントリー戦から、メンバー23人中7人(先発4人、リザーブ3人)を変更した。
大阪・常翔啓光学園高-日大出身であるPR(プロップ)庵奥翔太は今季初先発。LO(ロック)には先発復帰のヴィリー・ブリッツ、FL(フランカー)には好調の鶴谷昌隆が入り、No.8(ナンバーエイト)は2試合ぶりの先発となるリアム・ギル。
リザーブには後半途中出場しデビューを飾った宮崎工業-九州共立大学出身のPR竹内柊平(しゅうへい)。フィジカルも強いベテランSH(スクラムハーフ)鶴田諒、WTB(ウイング)小泉将も、後半から出場を果たした。
※キヤノン戦の出場メンバーはこちら
2020年夏頃から始まった本格的なプレシーズンでは「昨シーズンとは比べものにならないくらい」(FL金共同キャプテン)走り込み、練習から激しく身体をぶつけてきた。
大きなスペースに仕掛けるスタイル「キープ・アタッキング・ビッグスペース」を信じ、メンバー、ノンメンバー共に入念な準備を重ねて、この日のキックオフを迎えた。
正午に開始された運命の一戦で、先制したのはキヤノンだった。
反則からの速攻で突破を許し、今季初めてCTB(センター)での先発となった石田大河が懸命に戻ったが、オフロードパス(タックルを受けながらのパス)を繋がれてトライを奪われた。
しかし、7点を先制されたアークスだが、スクラムでは優勢に立った。
前半9分、フロントローにPR庵奥、HO(フッカー)山口達也、PR三宮累を並べた強力スクラムではヒットから優勢となり、相手の反則を誘発。ペナルティをもらい、SHグレイグ・レイドローがPG(ペナルティゴール)で3点を返した。
さらに前半17分には、2021年度の日本代表候補に選ばれたSO(スタンドオフ)前田土芽が、ラックで相手に絡みついてペナルティ(ノット・リリース・ザ・ボール)を誘発。SHレイドローが30m超のPGを成功させて3点を追加し、1点差(6-7)に迫った。
この日はバックス陣もディフェンスで躍動。タッチライン際のラックでCTB石田が絡めば、WTB(ウイング)石井魁も激しいファイトで反則を誘う。
しかし前半23分、元アークスのNo.8アマナキ・レレイ・マフィがアークス陣内でジャッカルを成功せると、キヤノンが好機を仕留めて2トライ目。
ビハインドが8点(6-14)となるが、FL鶴谷がモールの守備で奮闘するなどして失点を防ぐ。
このまま前半終了かと思われた後半42分、キヤノンはスクラムからの連続攻撃で、相手13番がミスマッチを仕留めて3トライ目。キヤノンの13点リード(19-6)で前半を折り返した。
後半はキヤノンが4分のPG成功でリードを16点(22-6)に広げたが、リスタート後、アークスは守備から反則を誘い、相手陣地でプレッシャーをかける。
すると後半11分、スクラムからのアタックでSO前田がタックルを受けながらも前進する強さを見せ、この日のチーム初トライ!球際の強さをワンハンドのトライで証明し、SHレイドローのゴール成功で9点差(13-22)に迫った。
追撃ムードになったアークスだが、以後は無得点となってしまった。一方のキヤノンは後半15、33、38分に連続トライを奪い、突き放した。
「私たち自身もそうですが、ファン、家族のみなさまをガッカリさせてしまい、とても悔しい思いです。シャイニングアークスはアタッキングチームですが、前半はキヤノンさんに攻撃をさせてもらえず、後半もエラーから相手に得点を許しました」(ヒュー・リースエドワードHC)
後半24分には2年目に入ったPR竹内が途中出場してトップリーグデビュー。ファーストプレーでスクラムを組み、自慢のフィジカルを全面に押し出して動き回った。
後半31分にはSO前田のロングパスから左隅のWTB石井がロングゲインするなど、それぞれ魅了を放つ場面も見られたが、13-43でノーサイドを迎えた。
プレーオフ・トーナメントはノックアウト制で敗者復活はなく、アークスのトップリーグ2021はノーサイドを迎えた。
しかし2022年1月には新リーグが開幕予定。初のトップ4、栄冠は新リーグへ持ち越しとなった。
「今年は本当に残念な結果に終わりました。一年間ずっと支えてくれた家族、サポーター、会社の方々にまず感謝したいです。結果をコミットできるような強いチームをしっかり作っていきたいと思います」(FL金共同キャプテン)
「今シーズンはこれで終わりになりましたが、来シーズンは自分達がどこにいるのかを再認識して、絶対にベスト4以上に行けるようにチームを成長させていきたいと思います」(中島共同キャプテン)