リーグ戦最終節は大敗。
再起を誓いプレーオフ・トーナメントへ
NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(以下アークス)は4月11日(日)、リーグ戦最終節(第7節)で、トップリーグ優勝5回、準優勝4回のサントリーサンゴリアスと相まみえた。
トップリーグ2021で3勝2敗1分けのアークスに対し、サントリーは6勝全勝。対峙した舞台は、快晴に恵まれた東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場。
青空の下に集った観客は8,233人。コロナ感染予防対策に留意して来場してくださったファンの皆さまのお陰で、ラグビーのある穏やかな週末となった。
アークスは勝利した前節の宗像サニックスブルース戦から、メンバー23人中8人(先発4人、リザーブ4人)を変更した。
先発では、日本の歴史が好きという“歴史男子”のLO(ロック)ルイス・コンラディが、記念すべきアークス初キャップ。そしてフランカー経験も豊富な慶大卒の栗原大介は、8番を背負って今季初先発を飾った。
ハーフ団は入れ替えとなり、スコットランドの英雄SH(スクラムハーフ)グレイグ・レイドローが2試合ぶりにスタメン復帰し、筑波大卒のSO(スタンドオフ)前田土芽とコンビを組んだ。
4人変更のリザーブでは、元慶大主将の佐藤大樹、そして法大卒の牧野内翔馬が今季初出場。パワフルなウイングであるトロケマイケル、総合力の高いセンターである池田悠希もメンバー入りとなった。
※サントリー戦の出場メンバーはこちら
「シャイニングアークスはアタッキングなチームですが、ディフェンスから良い流れを作るチームでもあります」(FL(フランカー)金正奎共同キャプテン)
FL金共同キャプテンの言葉通り、前半3分にサントリーの絶妙な接点勝負から先制トライを奪われるものの、その2分後、韓国7人制代表のスターWTB(ウイング)張容興がディフェンスで存在感を発揮する。
自陣から攻めるサントリーに対し、相手センターのロングパスをWTB張がインターセプト!ディフェンスから得点を奪い、すぐに7-7と仕切り直してみせた。
ただFL金共同キャプテンが「本当にタフな80分でした」とも振り返ったように、アークスはここから6連続トライを許してしまう。
サントリーは前半7分、ラインアウトモールから移動攻撃をおとりにして相手HO(フッカー)が2トライ目。
アークスも前半8分にSHレイドローがPG(ペナルティゴール)を返すが、リスタート後にキックオフボールをそのまま確保されて失トライ。
さらに前半23分にはラインアウトモールから、同25分にはキックを再獲得されて失点。前半29、33分にもラインアウトからのサインプレーなどでスコアを許す。
しかし、このままワンサイドゲームかと思われた前半38分だった。
サインプレーでFWユニットの外側に回り込んだSO前田が、快足を活かして防御を突破。フォローしていた2年目FB(フルバック)石田大河にラストパスを通して、華麗にインゴールを奪った。
7点を返して17-45とすると、さらに先制トライを挙げたWTB張がこの日2度目のインターセプト!
2連続トライで劣勢ムードを一気に晴らし、ビハインドを21点差(24-45)に縮めて後半へ向かった。
さらにアークスは後半にスタートダッシュを決める。
まず後半最初のスクラムでペナルティを奪取し、8人のフォワードが吠えた。
ビッグスクラムで敵陣に入ると、近場でフォワードを当てて真っ向勝負する。
そして波状攻撃を仕掛けると後半5分、SHレイドローが右大外のWTB石井魁にロングパス。
大きなパスを受けたWTB石井は数で劣勢だったが、防御裏へショートパント。これを見事に再獲得して、観客も驚く個人技でチーム3連続トライ!個人ではリーグ2位の9トライ目をマークした。
右隅からのコンバージョンも名手レイドローが見事に決め、会場から大きな拍手。14点差(31-45)に詰めた。
「後半20分以降、ディフェンスで前に出続けられなかったりしたことが、失点を許した原因のひとつだと思います」(FL金共同キャプテン)
後半10分からの30分間は、サントリーの圧倒劇が展開された。
アークスはCTB(センター)シェーン・ゲイツの突破&ビッグゲインなど、個々で見せ場を作ったが、相手のジャッカルに遭うなどして得点を奪えず。
ラインアウトモールやペナルティからの速攻などで後半9、14、23分に3連続トライを許すと、後半22分から途中出場したNZ代表ボーデン・バレットのハットトリックなど、その後さらに計4トライを奪われた。
サントリーは前後半で7トライずつ、計14トライで94得点。ファイナルスコアは31-94となった。
この試合の収穫を問われたNo.8(ナンバーエイト)栗原は「こうした試合をトーナメント前に経験したことで自分達を振り返ることができます。それが唯一の収穫です」と答えた。
3年4か月ぶりの公式戦先発だったという、慶大卒の熱きタックラーはまた、こんな力強い言葉を残してくれた。
「今日のような試合は二度としないと誓います。今日応援に来てくださった皆さん、画面の前で応援してくださった皆さんに、トーナメントでは良い試合を見せます」(No.8栗原)
そしてFL金共同キャプテンは、試合後に再起を誓った。
「ここで、こうした経験ができたことが大きい。これをどうトーナメント戦に繋げるかが重要です。チャレンジャーの気持ちを持ち続けてやっていきます」
アークスのプレーオフ初戦は4月25日(日)、東京・江戸川区陸上競技場。
12時キックオフの一発勝負で、ホワイトカンファレンスで5位だったキヤノンイーグルスと激突する。