試合日程・結果 / FIXTURES & RESULTS

2021年2月28日13時00分 KICK OFFジャパンラグビートップリーグ2021

NTTコミュニケーションズシャイニングアークスNTTコミュニケーションズシャイニングアークス

vs

トヨタ自動車ヴェルブリッツトヨタ自動車ヴェルブリッツ

29vs47

前半8 - 25

後半21 - 22

今季トップリーグ初の東北開催。敗戦を糧に次戦「千葉ダービー」へ

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開幕白星スタートを切ったNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(以下アークス)。

2月28日(日)の「トップリーグ2021」第2節は、宮城・ユアテックスタジアムが舞台。アークスにとって全7試合あるリーグ戦で、唯一の東北開催となった。

2月14日に地震があったものの、東北新幹線も復旧。ラグビー界だけではない尽力により、トップリーグにとっても今季初の東北開催が予定通り実現した。

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第2節の相手となったのは、こちらも開幕戦白星のトヨタ自動車ヴェルブリッツ。

優勝経験こそないものの、4強入りを8度経験しており、強豪としての地位を確立している。

初のトップ4を目指すアークスの立場は「挑戦者」。勝利すれば2016年10月以来の凱歌となる。

リーグ戦の成績によって振り分けられる全20チームによるプレーオフは、負ければ終わりのノックアウト方式。それまでにひとつでも有意義な経験を積み重ね、揺るぎない確信を手に入れたい。

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アークスは勝利した開幕戦メンバーから2人を変更(先発1人、リザーブ1人)。

同志社で中高大を過ごした2年目のFB(フルバック)安田卓平がリザーブから先発に繰り上がり、慶大卒で6年目の石橋拓也がリザーブに入った。

その他のメンバー21人は変わらず、開幕戦で共に躍動した2人の共同キャプテンも先発。

ゲーム主将はFL(フランカー)金正奎共同キャプテンが担い、一学年下の相棒であるLO(ロック)中島進護は4番を背負った。

ゲームをコントロールする司令塔は、世界レベルの新加入コンビ。前節に続いてSH(スクラムハーフ)グレイグ・レイドロー、SO(スタンドオフ)フレッチャー・スミスだ。

東北出身者では、秋田育ちのPR(プロップ)齊藤剣(能代工-明大)もリザーブに入り、後半から途中出場を果たした。

※トヨタ自動車戦の出場メンバーはこちら

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先蹴はアークス。雲ひとつない快晴に、SOスミスのキックオフ・ボールが美しい放物線を描いた。

まずアークスが魅せたのはラインアウト・ディフェンス。スクラムにおいてもプレッシャーをかけたが、前半7分の自軍スクラムでは反則のコール。トヨタ自動車がPG(ペナルティゴール)により3点を先取する。0-3

直後の前半10分PR三宮累が敵陣ゴール前でジャッカル成功!! 強靱な足腰を持つPR三宮の好プレーから、SHレイドローがPG成功。スコアをイーブン(3-3)に戻した。

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しかしここから主導権はトヨタ自動車へ。

「前半はミスから簡単にボールを渡してしまい、そこからトライを取られました」(LO中島共同キャプテン)

相手ウイングがキックオフ・ボールを直接確保するビッグプレーを見せ、アークスは危機を察知したFB安田のタックルから一時は難を逃れるが、前半12分に押し切られて失トライ。

さらに自陣での反則により1PG、相手のビッグタックルから直後のアンストラクチャー(陣形が乱れた状態)を仕留められて前半21分に1トライを奪われ、15点(3-18)のリードを許す。

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ここからアークスも反撃に転じる。

敵陣ゴール前スクラムから前半25分、SHレイドローが3人飛ばしのロングパスをWTB(ウイング)石井魁に通し、大きなストライドの韋駄天がチーム初トライ!

ゴールは失敗も10点差(8-18)に詰め寄る。

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ラインアウトではNo.8ブリッツが完璧なスティールを見せるなど、前半は空中戦のディフェンスが効果てきめん。

しかし自陣で反則を犯してしまう悪循環で苦境に陥ると、ゴール前に下がって相手がラインアウトモールから前半31分にトライ。8-25

アークスはスクラム勝利からPK(ペナルティキック)を奪取するなど見せ場を作るが、サインプレーでのハンドリングミスも重なりスコアは伸びず。トヨタ自動車が17点(8-25)をリードして前半を折り返した。

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アークスは後半序盤でもオフサイドの反則を犯してしまい、ピンチを招いた。

この日オフサイドの反則が多かった理由をCTB池田悠希が語った。

「(オフサイドは)相手アタックの勢いに押され、それでも『前に出よう』という意識があり、下がりきれないままディフェンスをしたことが原因だと思います」

相手のハイテンポのアタックは続き、いよいよ失トライ寸前という場面。ここで閃いたのがWTB張容興の剛脚だった。

前半6分にゴール目前のピンチから相手のパスをインターセプト。そのまま約80mを独走する起死回生のトライ。ゴールキックも成功して10点差(15-25)となった。

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振り子のようにモメンタム(勢い)は交互に振れた。

トヨタ自動車は「ワイドにあれば自信を持ってボールを振る」(トヨタ自動車・SH茂野主将)というアタックで、キックカウンターから後半10分にトライ。6分後にモールからも連続トライを奪い、アークスのビハインドは20点(15-35)に拡大した。

しかしピンチの後にチャンスがくるのがラグビー。

「(途中出場した)齊藤剣、セコナイア・ポレ、平井将太郎がかなり良い仕事をしてくれたことは間違いないです」(No.8ヴィリー・ブリッツ)

上記3人に元慶大主将のLO佐藤大樹を加えた4人が後半20分から途中出場。すると直後にアークスは右ラインアウトからモールで堅実に前進。

相手は反則で崩したものの、ラックからNo.8ブリッツが抜け出して右中間にトライ!ゴール成功で22-35とした。

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さらにアークスの攻勢は続いて、後半26分の敵陣ゴール前スクラム。

スクラムでは押せなかったが、SOスミスの飛ばしパスが途中出場のWTBトロケマイケルに通り、千葉・浦安出身のフィニッシャーが右隅にトライ。

さらに右隅から高難度のコンバージョンをSOスミスが決めて、大きな歓声。ついに6点差(29-35)に詰めた。

「後半に自分たちのラグビーができて、6点差まで詰めることができました」「細かいミスを減らせばかならず自分達のアタックができる、ということは分かりました」(LO中島共同キャプテン)

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「後半に詰め寄った点は讃えたいと思います」

アークス指揮官のヒュー・リースエドワードHC(ヘッドコーチ)はそう語ったが、その後「ベストパフォーマンスとは言いがたい」と言葉を紡いだように、終盤に突き放された。

自陣での反則により窮地となる流れから失2連続トライ(後半32、38分)。アークスは最終盤にトライを目指すが、最後はハンドリングミスで相手ボールに。そのまま勝ち点なく29-47で終戦を迎えた。

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フィジカルで力負けはしていない、とLO中島共同キャプテンは力強く語った。

リースエドワードHCがまず口にした改善点も「自分たち自身を直す」こと。激しいディフェンスを重ねると共に規律意識をさらに徹底する。

世界トップレベルを知るFL(フランカー)リアム・ギルは「この試合を自分達のターニング・ポイントにしたい」と語った。

次戦のリーグ第3節は勝負所だ。相手は同じ千葉を本拠地とするクボタスピアーズ。負けられない「千葉ダービー」がやってくる。

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ヒュー・リースエドワードHCの声

結果は残念でした。ポゼッションの50%をターンオーバー(攻守交代)という形で相手に流れを与えてしまいました。

後半に詰め寄った点は讃えたいと思います。ただ最終的には自分たち自身を直さなければいけません。ベスト・パフォーマンスとは到底言えません。

来週の(クボタ戦の)プレッシャーが大きくなりましたが、そこはエキサイティングです。しっかり準備をしたいと思います。

LO中島進護共同キャプテンの声

今日は残念でしたが、負けて学んだ点がありました。前半はミスから簡単にボールを渡してしまい、そこからトライを取られました。後半に自分たちのラグビーができ、6点差まで詰めることができました。

しかし後半は我慢ができず、簡単なミス、ペナルティからトライにつなげられてしまいました。次のクボタ戦に向けて、何をしないといけないかを大事にしたいです。

細かいミスを減らせば、かならず自分達のアタックができる、ということは分かったので、次戦に向けて準備をしていきたいです。

――相手のフィジカルに圧力は感じましたか?

トヨタ自動車のフィジカルが強いことは認識していましたが、それ以上に自分達にも自信を持っていました。

相手が強い、何をしよう、といったパニックはまったくありませんでした。自分達のミスで前に出られたことが問題で、相手FWが強いといったことは感じませんでした。

――トヨタ自動車に対してどのようなラグビーをしようとしていましたか?

トヨタ自動車に対して、ということではなく、まず外にボールを持っていき、しっかり前に出てスペースにボールを運ぶ、という自分達らしいラグビーをしようとしていました。

――なぜ後半に自分達のラグビーができるようになったのでしょうか?

後半の入りから細かいミスが少なくなりました。シンプルにボールをキープして身体を当てて、ボールを外に運ぶことができた。その点が6点差まで縮められた要因だと思います。

FLリアム・ギル選手の声

――フランカーで先発した今日の試合を振り返ってください。

 

良いプレーがいくつかありましたが、プレッシャーもあってやりきることはできませんでした。この学びを活かして、この試合を自分達のターニング・ポイントにしたいです。

――次戦へ向けた修正点は?

プレッシャーをかけられなかった理由として、ボールを保持できなかったことがあります。まずポゼッションを保つことです。それがきっかけでアンストラクチャーから逆にプレッシャーをかけられることが多かったです。

フェーズを重ねてプレッシャーをかけていく。そのためにはシェイプに忠実に動かなければいけないと思います。

No.8ヴィリー・ブリッツ選手の声

――今日の試合を振り返ってください。

トヨタ自動車のプレッシャーはありました。そこで自分のポゼッションをキープすることができませんでした。巻き返すことはできましたが、最終的にはトヨタ自動車のパフォーマンスが良かった。彼らを讃えたいと思います。

――スクラムの手応えは?

前半はあまり良くなかったですが、後半になり自分達のプロセスをやることできました。齊藤剣、セコナイア・ポレ、平井将太郎もかなり良い仕事をしてくれたことは間違いないです。後半に入ってきて、点差を詰めるという大きな仕事を与えられましたが、それをこなしてくれたと思います。

――今後修正したいポイントは?

ボールキープをしてプレッシャーをかけていく。次戦のクボタはセットピースでも強いので、そこでもポゼッションを保てればと思います。

PR齊藤剣選手の声

――秋田県出身ですが、今日はリーグ初の東北開催でした。

東北に帰ってきて、試合をできたことは嬉しいです。こうした機会が増え、ラグビーを通して東北がすこしでも元気になってくれたらと思います。

――後半に途中出場しましたが、今日の試合を振り返ってください。

後半にリザーブから出場してインパクトを残したかったのですが、逆転まで持っていけなかったことが残念です。

(個人の調子は)今までは良かったのですが、今日は順調とは言えないパフォーマンスでした。また一週間準備して仕上げていきたいと思います。

――出場後にすぐスクラムもありました。

前半に上田さん(竜太郎)達が頑張ってくれたぶん、相手を分析できたので、何本か良いスクラムが組めました。もうすこしターンオーバーを狙えるような良いスクラムが組めたらと思っています。

――今日は自陣で反則が多かった印象です。

オフサイドなど、自分達がやってしまったことが多かったので、そこはいくらでも直せるところです。チームで修正していきたいです。

今日はトヨタ自動車さんの良いアタックで前に出られて、オフサイドラインが上げられて反則をしてしまいました。僕らが前に出て良いディフェンスをすれば、その分だけオフサイドは少なくなると思います。しっかりプレッシャーをかけたいです。

――今シーズンはジャッカルでも貢献しています。

今年からチャレンジしているプレーです。僕にもこうしたオプションがあると思ってもらえたら、使ってもらえるチャンスも増えると思っています。有効な武器としてチームに貢献していきたいと思います。

――次の試合へ向けたメッセージをお願いします。

スクラムでもっと盛り上げられるように頑張っていきたいです。応援よろしくお願い致します。

CTB池田悠希選手の声

――先発出場した本日の試合を振り返ってください。

今日はアタックのミスであったり、ディフェンスのペナルティなどで、自分達の流れでいいラグビーをできない状況が続きました。

(オフサイドは)相手アタックの勢いに押され、それでも『前に出よう』という意識があり、下がりきれないままディフェンスをしたことが原因だと思います。

(個人としては)良いボールキャリーを出来たところもありましたが、ミスもあったのでそこは修正したいです。

――後半追い上げた場面もありました。

試合前から準備してきたものをしっかり実行することができた結果だと思います。

――アークスは勝利と同時に、ファンも楽しませるラグビーをしています。選手もその意識は高いですか?

もちろんです。ボールを大きく動かしてアタックしようというチームで、ボールが動いた方が僕たちも、見ている方も楽しいと思います。今後もそうしたラグビーをしていきたいと思います。

――最後にファンへメッセージをお願いします。

いつもシャイニングアークスの応援ありがとうございます。この試合は負けてしまいましたが、次はクボタスピアーズというライバルチームとの対戦です。また一週間準備して勝ちにいきたいです。今後とも応援よろしくお願い致します。

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