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「IoT」推進企業の悩みと今後の展望

「IoT」推進企業の悩みと今後の展望

多くの企業の取組んでいるIoT(Internet of Things)。
最近ではさまざまなメディアで、ほぼ毎日のように目にするワードです。
IoTという言葉を初めて使ったのは1999年、マサチューセッツ工科大学のAutoIDセンサー共同創始者であるケビン・アシュトン氏とされています。
IoTのもともとのコンセプトは、機械同士がネットワークでつながるM2M(Machin to Machine)の考え方。そして今は、あらゆるモノがインターネットにつながり、新しい価値を創造する革新を指しています。ここでのポイントは「<Things(モノ)>とは物理的なモノにとらわれず、バーチャルなモノ(コンテンツなど)が含まれる」ということです。
当稿ではIoTに取り組む日本企業の「過去」「現在」、そして「未来」にフォーカスしていきます。

1. 多くの企業がIoTで悩んでいる

2019年に発表された調査では、世界の大企業の80%以上がIoT導入を進めており、2年以内には94%に達すると予想されています。また IoT の導入が進むなかで、ビジネスおよびテクノロジー部門のリーダー達の 97% が IoT のセキュリティに関して懸念を抱いていることが浮き彫りになっています(“IoT Signals”調査/Microsoft/米・独・日・中・仏・英の従業員数 1,000 人以上の企業で働く約3,200名対象<ビジネスおよびIT 部門>)。

テクノロジーだけではないIoTの悩み

多くの企業が抱えているIoTに関する悩みは、セキュリティに代表されるテクノロジー分野だけではありません。米IT調査会社Gartnerによると、日本企業の多くはIoTがビジネスに大きな変革をもたらすと期待する一方で、「テクノロジーの成熟度」と並んで「経営者のIoTに対する理解」「ビジネスの変革への決断」「IoTを推進する人材」等が懸念としてあげられています(2018年/従業員数500人以上の日本企業対象)。慣習やルールを刷新する決断力が足りないと感じるかという設問に対して、「Yes」と回答した企業は57.7%。さらにIoTの推進体制を確立済みであるとした企業に絞ると、その割合は80.3%に達します。
これらの調査が示す意味は、IoTが既に必要不可欠なものとなり、もはやビジネスや人事システム、経営といった領域と不可分な関係に到達していることだと考えられます。

2. IoTで押さえておきたい4つの「事実」

IoTで押さえておきたい4つの「事実」

IoTの現在の課題を考察するときに困難なことのひとつは、既にIoTが多様な業種で導入されているために、その問題・課題も多岐にわたり本質が抽出しづらい一面があることです。たとえば製造業におけるIoTの直接的な役割を例としてあげるならば「製造オペレーション」「製造アセット管理」、流通業においては「フリート管理」「オムニチャネルオペレーション」等と異なります。そのためにIoT担当者は同業種の他社事例等に解決のヒントを求めることになります。もちろん、これも有効なアプローチではありますが、ここでは一旦、原点に立ち戻って、IoTに関して押さえておきたい基本的な事実、そして原理を考えてみましょう。

IoTの価値の多くは、ビジネスや産業セクターで生まれている

コネクテッド家電やコネクテッドカーなどのコンシューマー分野でのIoT活用がニュース等でよく取り上げられています。しかし、現状ではIoTの価値はビジネスや産業セクターでより多く生み出されているのが事実。アナリストの分析によると世界規模で見た場合、B2Bにおける IoT市場は2020年には、3000億ドル以上の規模に拡大。同年のコンシューマーIoT市場は1500億ドル規模と予想されています。

IoTはセキュリティを確保して安全に活用できる

前述のようにほぼ全てのIoT導入企業がセキュリティへの懸念を持っています。しかし現在はエンドツーエンドの包括的なポリシーベースのアプローチによるIoTセキュリティ取組がスタートしており、業界団体や各国政府も積極的に関与しています(例「IoTセキュリティガイドライン<総務省/経済産業省>」)。間違っても「IoTはセキュリティを確保できないのではないか」というような疑念に取りつかれてはダメ。それはビジネスを著しく後退させることを意味します。

IoTはデータ分析からより良い意思決定を促進する

IoTに関する誤解のひとつが「大量のデバイスを接続することが肝心であり、接続台数が多いほど良い」。現在のIoTの真価は、接続されたデバイスによって生成されたデータを分析することで、価値創造につながる意思決定をサポートするフェーズへと移行しています。これからはリアルタイムにほぼ近いIoTのデータ分析能力がビジネスに欠かせないものになります。

IoTと他のテクノロジーとの連携が必要

上記のIoTにおけるデータ分析へのシフトに伴って、AI、機械学習、ブロックチェーン、エッジコンピューティング等の最新テクノロジーと連携する必要性が高まっています。いわば「IoT自体(単体で)が変革をもたらす」というのは過去の概念となりつつあります。
一例としてIoTのデータとAI/機械学習を連携させることで、より深く、そしてリアルタイムでのデータ分析が可能となります。

日本におけるIoT導入の歴史を紐解くと、製造業分野で従来からM2M(Machine to Machine)を継続活用してきた歴史があり、工場内のコスト削減のような比較的、単純用途のIoT活用は普及しています。2016年の調査ですが、日本企業のIoT利用実態は初期段階のステージ2「限定的導入」が多いという分析もあります(IDC JAPN調査)。ステージ2とは、たとえば最近になって、IoTを推進する部署をつくり、PoC(Proof of Concept)を進めている段階で、産業機械の稼働状態の「見える化」等の比較的シンプルな利用形態が多い段階を指しています。日本では本来、IoTのサブセットとも言うべきM2Mが浸透していたことが、IoTを“その先”へ進化させる阻害要因になっているという側面もあるのかもしれません。
しかし米国他の海外における先進事例をみても、IoTが最終型となるステージ5「継続的革新」=“IoTをイノベーションに使っていく”方向に進むことが必然と考えられ、その上でも、前述の「IoTに関する4つの事実」は押さえておくことが必要です。

3. データ活用のためのIT基盤とは?

データ活用のためのIT基盤とは?

IoTのミッションがデータ分析に主軸を移していることからも、データ活用のためのIT基盤が非常に重要となります。IoTの進化に伴い取扱データ量が飛躍的に増大するとともに、工場内の機器等における制御情報など、従来は取得が困難だったデータも現在は収集対象になっています。今後はデータベースに格納しやすい構造化データ以外にも、画像や音声、動画など構造定義を持たない「非構造化データ」の取扱量も拡大します。
さらに、ここに企業組織の問題も関わってきます。多くの企業では従来のビジネススキームからデータが分散しています。いわゆる各事業部門がデータを囲い込む「データのサイロ化」によって、企業全体としてデータを活用できない事例も非常に多く見られます。
現状を変革するためには何が必要なのでしょうか。

キーワードは「データのロケーション最適配置」

変革のためのポイントのひとつが、企業内にあるデータをどのIT基盤にどのように配置するかという「データのロケーション最適配置」です。ここではその全体像を考察します。まずは最適配置を実現するプロセスから見てみましょう。

データ選定基準の作成

データをリストアップし「価値あるデータ」を分ける「データ選定基準」を定義

データ管理ポリシーの策定

「価値あるデータ」に関して個別にデータ管理ポリシーを設定

最適配置の設計

使用用途・コスト等を考慮した上で個々のデータのロケーションを設計。「オンプレミス」「プライベートクラウド」「パブリッククラウド」など

一元管理の実現

データを一元管理し、データ活用による価値創出とデータ運用コストの把握/適正化を実現

データのロケーション最適化を実現し、さらにデータマネジメントを効率化するためにAIなどによるインテリジェントなデータ配置を実現する「自動化」や、データを基にした分析の「セルフサービス化」を進めていくことがポイントとなります。技術的に自動化が可能になれば、データマネジメントにかかるコストも大幅に削減可能です。
利用する目的や用途ごとに最適なデータが選別・配置され、常に最新の状況で可視化できれば意思決定も容易となり、さらに最適に配置されたデータを現場担当者が分析して、戦略的なアクション選択や意思決定を促すなどの行動も重要となります。

「データ・ガバナンス」から「データ・イネーブルメント」へ

従来、企業ではデータを適正にマネジメントする「データ・ガバナンス」を重要視してきました。現在は、より一歩進んでデータを積極的に利活用するための組織変革を含めた「データ・イネーブルメント」が重要になっています。
まず「組織全体」「(組織内の)グループ」「(組織内の)個人」といった、さまざまなレイヤーで「データ・イネーブルメント」を実現することが出発点となります。さらに社外の協働関係にあるステークホルダーを含めたシステムを構築することで、データ活用による「収益化(マネタイズ)」は加速します。最近、注目を集めるキーワード「データドリブン経営(データ駆動経営)」の本質もここにあります。

4. IoTの最新技術動向
デジタルツイン・エッジコンピューティング

IoTの最新技術動向 デジタルツイン・エッジコンピューティング

IoTに関する最新技術動向を見ていきましょう。ここでは、「デジタルツイン」「エッジコンピューティング」のふたつのトピックスを紹介し、最後にIoTセキュリティの最新動向を考察します。

デジタルの仮想空間にリアルの世界を再現。注目を集める「デジタルツイン」

デジタルの仮想空間にリアルの世界を再現。注目を集める「デジタルツイン」

「テジタルツイン」を直訳すると「デシタルの双子」。ここでいう双子とは、現実世界と一卵性双生児のように相似したデジタル空間のことです。デジタルツインは米IT調査会社Gartnerの「戦略的テクノロジーのトレンドトップ10」に2018・2019と2年連続ランクインしています。デジタルツインのポイントは 「リアルタイムの連動性をもっている」こと。
対象となるモノの稼働状況や各部位の状態といった情報はリアルタイムでデジタルツイン上のモデルに反映されます。そのため、リアルタイムで製品や工場の機器の変化に対応し、取得したデータを用いたメンテナンスや設備保全を行うことが可能になります。
“デジタルでリアルを再現”することは、「設備保全の向上」「生産体制の最適化」「コスト削減」などのメリットがありますが、最大のメリットはやはりデータ分析を通して、デジタル上で新製品開発や製造行程の改善などをおこなう「新しいビジネス価値の創造」でしょう。
著名な導入事例としては、インダストリー4.0を推進するドイツ企業シーメンスがあげられます。製品のライフサイクルを初めから終わりまでデジタルツイン上で再現し、製造プロセス・制御システムとの連携によって生産性を抜本的に高める「デジタルエンタープライズ」に取り組んでいます。

分散処理を通して全体最適化を目指す「エッジコンピューティング」

エッジコンピューティングとは「データの生成元、または、その近く(エッジ環境)でデータ処理を容易にするソリューション」と言えるでしょう。
エッジコンピューティングのメリットは、集約されたサーバにデータを送信した上で処理するクラウドコンピューティングと比べて、データを収集する端末機器や、そこから通信経路の近いエリアで処理することで、負荷分散やトラフィックの混雑解消などのトラフィックの最適化といったメリットがあります。
エッジコンピューティングはこれから、より本格化する領域と言えるでしょう。2020年以降に提供予定の5Gはエッジコンピューティングを支える次世代の移動通信システムとしても注目を集めています。エッジコンピューティングに関しては別稿にて詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

5. IoT関連の最新セキュリティ動向

IoT分野のセキュリティ対策は非常に大きな問題です。日本でも、2019年2月20日から、総務省と複数の事業者が連携し、サイバー攻撃に悪用される恐れのあるIoT機器の調査プロジェクト「NOTICE」が始まっています。
現在のIoTシステムにおけるセキュリティ対策の中心は一般的にクラウド層であり、ネットワークやエッジ層、デバイス層のセキュリティ対策は不十分な状況です。まず基本的な「やらなければならない事項」としては次の4点があげられます。

  • 管理しているIoTシステムの棚卸し
  • 通信経路の把握(通信の品質とネットワーク全体像の可視化)
  • 想定されるリスクの洗い出しと対策目標設定
  • 上記プロセスによりリスクと影響度を把握し、優先順位を踏まえて目標を設定

IoTに関するセキュリティの概念も急速に進化

最近、注目されているのが、IoT機器・ネットワーク・クラウド、さらにはデータ管理プロセス全体を通じてセキュリティ実装が必要とするワンランク上の議論です。
たとえば、工場の端末でファームウエアのアップデートをする場合、「本当にそのアップデート通知は端末メーカーが出したものなのか」「端末メーカーが出したものであっても、途中でウイルスが混入されていないと誰が保証できるのか」といった懸念をも想定することになります。
最終的にIoTのセキュリティは、エンドツーエンドのプロセスからより深化して、マニュファクチャリングの開発ライフサイクル(SDLC)のすべての段階で、デバイスおよびインフラストラクチャの観点からチェックをおこなう方向に進化していくものと思われます。今後の最新動向を常に注視することが必要です。

6. まとめ

進化した「新しい価値を創造するIoT」を実現するためには、IoT以外の関連先進技術との連携とあわせて組織の変革も必要になります。ビジネスの変革は、必然的に組織の変革を伴うものとなります。これからのITに、より柔軟性・迅速性が求められるならば、企業組織・文化にも同じことが言えるはずです。社内外を問わず最適なリソースを最大活用することが、ビジネスの未来を創りだすための、ひとつのヒントになるのではないでしょうか。

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